「恋慕」という言葉をご存知ですか?
小説などではよく出てくるので、聞いたことがあるという人もいるかもしれません。ただ、その具体的な使い方まで把握している人は少ないかと思います。
そこで今回は、「恋慕」の意味や読み方・類語・英語表現などを簡単にわかりやすく解説しました。
恋慕の意味・読み方
まずは、意味と読み方からです。
【恋慕(れんぼ)】
⇒特定の異性を恋い慕うこと。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「恋慕」は「れんぼ」と読みます。「こいぼ」とは読まないので注意してください。
意味としては、「特定の異性を恋い慕うこと」を表します。
「恋い慕(した)う」とは「相手のことを恋しく思うこと」です。
念のため、「慕う」の意味も確認しておきます。
【慕(した)う】
①恋しく思う。懐かしく思う。
②離れがたく思ってあとを追う。
③目上の人の人格・識見などにひかれる。憧れる。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
つまり、相手のことを恋しく思ったり憧れたりするような時に、「恋慕」を使うということです。
例えば、旅先で偶然出会った異性に一目ぼれしたとしましょう。家に帰って落ち着いたときに、ふとその異性のことを思い出したとします。
そんな時に、「恋慕の情を抱く」などと言うわけです。簡単に言えば、「恋慕」とは「恋愛感情」のことだと考えても構いません。
恋慕の使い方
「恋慕」という言葉は様々な使い方ができます。以下に、代表的なものを挙げました。
恋慕の情
「恋慕の情」とは「異性のことを恋い慕う感情」のことです。
異性に対して、心の中で好きな感情が芽生えた時に使います。
- 偶然出会った女性に対して恋慕の情を抱くようになった。
- まさか自分が恋慕の情を抱くようになるとは思わなかった。
- 恋慕の情をきっかけに、二人は付き合うようになった。
「情」という言葉は、「感情」「情熱」などの熟語があるようにその人自身の気持ちを表した言葉です。
したがって、「心の中で恋愛感情を抱く」という意味でこのような使い方をします。
横恋慕
「横恋慕(よこれんぼ)」とは「他人の配偶者や愛人などに対して、横から想いを馳(は)せること」を意味します。
例えば、結婚している人妻や結婚している夫などを好きになってしまうことです。
すでに存在しているカップルに対して、横から邪魔をするという意味があるので「横恋慕」と言います。
- 彼は人妻に対して横恋慕の感情を抱いたようだ。
- 彼女は10歳年上の他人の夫に横恋慕してしまった。
- あいつは横恋慕したようだが大丈夫だろうか?
この言葉自体は、あまり良い意味では使わないので注意が必要です。基本的には浮気や不倫をする人限定で使うようにします。
恋慕する
「恋慕する」とは、文字通り「異性のことを恋い慕う」という意味です。
後ろに動詞の「する」を付けることにより、自然な形にすることができる表現となります。
- 恋慕するような気持になったのは初めてです。
- まさか彼女に対して恋慕するとは思わなかった。
- 一目ぼれしてからは、ずっと毎日恋慕する思いです。
場合によっては、「する」を「した」にして「恋慕した」と言うこともあります。
現在ではなく過去の状況を表す時は「恋慕した」と言うようにします。
恋慕の類義語
続いて、「恋慕」の「類義語」を見ていきます。
- 恋(こい)
- 恋情(れんじょう)
- 色恋(いろこい)
- 傾慕(けいぼ)
- 愛着(あいちゃく)
- 愛寵(ちょうあい)
- 好(す)く
- 想う
- 恋する
- ときめく
- 愛おしむ
- 惚れる
基本的にはどれも「相手のことを好きだと思う気持ち」を強く表した言葉です。
全くの「同義語」と呼ばれるものはありませんが、この中では「想う・惚れる」などは比較的近い意味だと言えます。
また、「慣用句」では「胸を焦(こ)がす」「胸をときめかす」なども類義語と呼べます。どちらも恋に対して思いをはせるような時に使える慣用句です。
その他、「四字熟語」だと「意中之人(いちゅうのひと)」「昼想夜夢(ちゅうそうやむ)」なども類義語と言えるでしょう。
恋慕の英語訳
「恋慕」は、英語だと次のような言い方をします。
①「love」
②「be fall in love with」
日本語だと相手を恋い慕う気持ちを表す言葉は多くありましたが、英語の場合はそこまで多くありません。
英語では、シンプルに「love」を使うことが多いです。また、②のように熟語表現として使うこともあります。
例文だと、それぞれ以下のような言い方です。
He loves his wife deeply .(彼は妻のことを深く愛している。)
He is fall in love with her.(彼は彼女に恋慕している。)
恋慕の例文
最後に、「恋慕」の使い方を具体的な例文で確認しておきましょう。
- 彼はあそこの飲食店で働いている彼女に恋慕したようだ。
- 恋慕の情を抱くほど、彼女のことを好きになった。
- 一方的な恋慕ではなく、彼女も彼のことを好きらしい。
- 昔、恋慕していた相手と偶然再会することができた。
- 残念ながら、彼女はすでに彼への恋慕の気持ちは消えていた。
- 人妻に横恋慕するなんて、あの夫は大丈夫だろうか?
上記のように、「恋慕」は恋愛対象者への恋の気持ちを表す時に使います。
男性、女性どちらを主語にすることもできますが、どちらかというと男性を主語にすることの方が多いです。
男性が意中の女性に対して、あれこれ思い考えたりするような時によく使います。
良い意味、悪い意味の両方で使える言葉ですが、最後の例文のように「横恋慕」と言う時は否定的な意味として使います。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「恋慕(れんぼ)」=特定の異性を恋い慕うこと。
「使い方」=「恋慕の情・横恋慕・恋慕する」
「類義語」=「恋・恋情・好く・想う・惚れる・ときめく」など。
「英語訳」=「love」「be fall in love with」
「恋慕」という言葉は普段は見慣れませんが、実際には様々な場面で使われています。恋愛小説、恋愛漫画などで登場したら、ぜひこの記事を思い出してみて下さい。