「許可」と「認可」は、どちらも似たような使い方がされています。
「行為を許可する」「大臣が認可する」
この二つはどのように使い分ければよいのでしょうか?本記事では、「許可」と「認可」の違いについて解説しました。
許可の意味
まずは、「許可」の意味からです。
【許可(きょか)】
①願いを聞き届け、ある行為・行動を許すこと。
②ある行為が一般に禁止されているとき、特定の場合にそれを解除し、適法にその行為ができるようにする行政行為。警察許可・財政許可・統制許可などがある。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「許可」には二つ意味があります。
一つ目は「ある行為や行動を許すこと」という意味です。この場合は、「入場を許可する」「アクセスを許可する」などのように人の具体的な行為を許す際に用いられます。
そして二つ目は、「禁止されていることを解除すること」という意味です。
この場合は、警察許可、財政許可、統制許可などのように一般に禁止されている行為を行政側が許すような際に用いられます。
例えば、車の運転というのは、免許を取得していない人は法律で禁止されています。しかし、18歳以上で免許を取得することができればその禁止が解除され、公道を走ることができます。
このような禁止されている事項を許すことを「許可」と呼んでいるわけです。
認可の意味
続いて、「認可」の意味です。
【認可(にんか)】
①適当と認めて、許可すること。
②公の機関(行政庁)が第三者の行為を補充して、その法律上の効力を完成させる行政行為。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「認可」には二つの意味があります。一つ目は、「適当と認めて許可すること」という意味です。
この意味の場合は、「許可」と書かれているように「許可」と同じ意味です。したがって、一つ目の意味の場合は特に違いを意識する必要はありません。
問題は、二つ目の意味です。「認可」には「公の機関が法律上の効力を完成させること」という意味があります。わかりやすく言うと、「国がOKを出す」ということです。
この場合は、「運賃の値上げを大臣が認可する。」のように使います。運賃というのは、運輸大臣が認可することにより値段が上がる仕組みになっています。これは道路運送法という法律によって決まっていることです。
ここで大事なのは、運賃の値上げは別に禁止されているわけではないということです。言い換えれば、大臣を無視して勝手に行ってもよいということです。ただし、勝手に値上げした場合は法律的に無効となるので、事実上はなかったことになります。
許可と認可の違い
ここまでの内容を整理すると、
「許可」=ある行為や行動を許すこと。禁止されていることを解除すること。
「認可」=適当と認めて許可すること。公の機関が法律上の効力を完成させること。
ということでした。
どちらも一般用語として使う場合はほぼ同じ意味ですが、法律用語として使う場合は意味が異なります。
「許可」とは「国が禁止の解除をすること」です。つまり、やってはいけないことを特別に許すということです。
一方で、「認可」とは「国が同意すること」を意味します。そのため、「認可」の場合は指定の手続きをすれば基本的には許すことになります。
それぞれの例を出しますと、「許可」は運転免許の取得や古物商・飲食店の営業開始などが挙げられます。そして、「認可」は運賃の値上げや公共料金の値上げ、保育園の設立などが挙げられます。
「許可」の方は、一般に禁止されていることなので、もしも勝手に飲食店などを始めたら罰則が適用されることになります。
対して、「認可」の方は特に禁止されていることではないため、勝手に保育園などを設立しても、極端な話罰則されることはありません。ただし、先ほども言った通り、認可を受けないで行った場合は効力がないので無効となります。
使い方・例文
最後に、それぞれの使い方を実際の例文で紹介しておきます。
【許可の使い方】
- 彼は自分の部屋に友人が入ることを許可していない。
- 農地の売買は、農作物保護のため、許可制度となっている。
- 土地の開発行為を行うには、都道府県知事の許可が必要である。
- 古物取引の営業は、公安委員会が許可することで行えるようになる。
- 国の許可が下りていない違法建築物なため、罰則の適用を受けた。
【認可の使い方】
- 土地の売買に関して国土交通省からの認可が下りた。
- 電気料金を値上げするために認可の申請をしました。
- バスの運賃値上げを申請し、運輸大臣の認可をもらった。
- 保育園の設立要件を満たしたため、認可が下りた。
- 保育園には認可保育園と認可外保育園がある。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「許可」=ある行為や行動を許すこと。禁止されていることを解除すること。
「認可」=適当と認めて許可すること。公の機関が法律上の効力を完成させること。
「違い」⇒「許可」は「禁止の解除(特別に許すこと)」を表し、罰則がある。「認可」は「同意(基本的には許すこと)」を表し、罰則がない。
「許可」は国が禁止されていることを解除することです。対して、「認可」は国が同意をすることです。それぞれの意味を理解して、正しく使い分けて頂ければと思います。