ページ 漢字 頁 意味や使い方 違い 語源 由来 部首

本や雑誌における一つの面のことを「ページ」といいます。

ただ、この場合漢字表記の仕方が問題になってきます。つまり、「」と書いて本当に良いのか?ということです。

そこで本記事では、「ページ」と「頁」の違い、語源・由来などについて詳しく解説しました。

「ぺージ」は外来語が由来

 

ページ」とは「書籍や帳簿などの紙の一つの面。また、そこに記した数字」という意味です。

「ページ」という言葉はカタカナで書くことからも分かるように、元は外来語が由来です。外来語として広くページを使うようになったのは、明治時代に入った後しばらく経ってからだと言われています。

明治2年の『薩摩辞書(さつまじしょ) 』には「page」に対して「書籍ノ帋一枚の半面(ショセキノカミイチマイノハンメン)とあるだけです。また、『和英語林集成』の初版、再版には和英の部に「ページ」の見出しがありません。

さらに、『言海』『日本大辞書』『日本大辞林』『帝国大辞典』『日本新辞典』『言葉の泉』など明治24年から明治31年にかけて出た国語辞典にも「ページ」の見出しはないです。

ところが、同じ時代である明治22年1月付の『言海』の予約募集の内容見本には「紙数、概算一千ページ」とあり、明治24年のものには、「洋装大本紙数一千二百五十」とあります。

この事から、出版業界ではすでに外来語として「頁」を用いていたことが分かります。

そして、その表記は先述したように初めは「ページ」であったものが後に「頁」に変わっています。

新聞業界においても、例えば朝日新聞では『新聞広告百年 上』の明治12年から明治45年までの広告で、「ページ」から「頁」へ移っていることが確認できます。

もっとも、そのどちらを使うかは出版社にもより、同じ出版社の同じ広告中に「ページ」とあったり「頁」とあったり表記がゆれていました。

しかしながら、大まかな傾向としては「ページ」から「頁」へと移り変わっていったということは分かります。

「ページ」か「頁」か

 

その後、明治41年刊行の『ことばの泉 補遺』には、見出しに「ぺえじ」とあり、漢字書きで「頁」と書かれるようになります。さらに、戦後の国語施策の実施までの辞典では、見出しの語が「ページ」になったものの、「頁」の字を当てていることに変わりはありません。

この事から、戦後になって「頁」という漢字表記が一般的になって来たことが分かります。

ではなぜ現在でも「ページ」と書く場合があるのか?という話ですが、これは戦後の国語施策に起因しています。「頁」という字は昭和21年内閣告示の「当用漢字表」にも昭和56年内閣告示の「常用漢字表」にも掲げられていません。

簡単に言えば、「頁」=「常用漢字にはない漢字」ということです。

したがって、この国語施策に従って「page」という語を外来語として書く際は、カタカナで「ページ」と書くことになるわけです。

ただ、現在でも書物の広告や内容見本などには広く「」が使われています。これは出版業界や広告業界などでは必ずしも常用漢字を使うというルールがあるわけではないからです。

場面や状況次第ですが、「ページ」と三文字で書くよりも「頁」と一文字で書いた方が、簡潔でわかりやすく伝えられるメリットもあります。そのため、「頁」と記しているケースも多いということです。

「ページ」を「頁」と書く理由

 

なお、どうして「page」を「頁」と書くのか?という理由ですが、これについては二つの説があります。

①「頁」の字が「員=かず」の字に似ているため。

②中国語で「頁」と「葉」との音が共に「yè」であるので、中国で用いていたのを借用したため。

どちらの説も考えられますが、現在では②の説が有力であると言われています。

『大漢和辞典』を調べてみると、「頁」は「ケツ」とは別に「ヨウ」という読み方も記されています。さらに、「ヨウ」と読む場合に「ページ」という意を表すと記されています。

また、『中華大字典』という中国の辞書だと、「頁の読み方は葉と同じである」とも書かれています。紙などの薄いものを数える単位として「一葉」「二葉」のように「葉」を使うことがあります。

ここから転じて、同じ読み方をする「葉」⇒「頁」となり、「頁」をページの意味で使うようになったというのが②の説です。

中国では現在でもページの意を表すのに「頁」を用いています。(ただし、字体は異なる)

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

ぺージ・頁」=書籍や帳簿などの紙の一つの面。また、そこに記した数字

語源・由来」=外来語の「page」をカタカナにしたもの。「ページ」から「頁」へと移り変わっていった。

違い・使い分け」=「頁」は常用漢字に含まれない漢字なので、国語施策に従う場合は「ページ」を用いる。

書物の広告や内容見本に対しては、一般に「頁」が使われる傾向にあります。ただ、常用漢字を使うような文書においては「ページ」を使うことが多いです。状況に応じて両者を使い分けるようにしてください。