結婚している女性が自分の配偶者の話題をする機会は多いです。プライベートでの食事やビジネスシーンなどあらゆる場合が考えられます。
ただ、いざ自分のパートナーを呼ぶ際に「夫」「主人」「旦那」「亭主」など様々な言い方があるため、迷うという人も多いです。そこで本記事では、これらの言葉の違いについて詳しく解説しました。
夫の意味・使い方
「夫(おっと)」とは「配偶者である男性」を表す言葉です。
主に公的な場で使われることが多く、会社や役所に提出する書類などには「夫」と記載します。他には私的な場、例えば親しい間柄での日常的な会話のシーンなどでも使うことができます。
「夫」は配偶者を表す呼び名として最も一般的なもので、自分の配偶者以外だとその場にいない第三者の配偶者を指して言う場合もあります。
【例】⇒「私の親友の夫は、今年30歳を迎えるそうです。」
しかし、実際に直接的に話している相手の配偶者に対しては使う言葉ではありません。
例えば、「あなたの夫は、○○でしょうか?」のような言い方は通常はしません。この場合は「あなたの旦那様は、○○でしょうか?」のように言います。
なお、「夫」の対義語は「妻」なので、両者は平等かつ対等な関係を表しています。したがって、「夫」は公の場では最も適している言葉とも言えます。
主人の意味・使い方
「主人(しゅじん)」とは「一家の主・自分が仕える人」という意味です。
「主人」は「夫」よりも丁寧でかしこまった言い方で、自分の配偶者を立てるような意味が込められています。主に職場や親族の集まりなど、年配の人が多い場で使われることが多いです。
ただ、「主人」という言葉は元々、封建制度や主従関係の元で使われていたものなので、近年では避けられることも増えてきました。
これは昔の主流であった「男尊女卑」という考え方から「男女平等」という考え方へ世の中全体が移り変わってきたという時代背景もあります。
しかしながら、依然として「主人」という言葉は広く使われている現状があります。自分より目上の人や、知らない人と初めて会話をする際にはこの「主人」を使う人が多いです。
もしも自分の配偶者ではなく相手の配偶者を指す場合は、「主人」ではなく「ご主人」や「ご主人様」と丁寧に呼びます。相手の配偶者に対しては、通常「主人」とは言いません。
旦那の意味・使い方
「旦那(だんな)」とは「配偶者である男性をくだけた表現にした言葉」です。
主に、プライベートでの友人など親しい間柄同士で使う言葉で、公的な場では通常使いません。
「旦那」は元々、サンスクリット語の「ダーナ」に由来する言葉です。
サンスクリット語とは古代インドにおけるアーリア語のことを指します。意外かもしれませんが、「旦那」の正式な由来は日本でも中国でもなくインドにあるということです。
「ダーナ」は日本では「与える・贈る」などと訳され、「寺院の施主」を指すようになりました。「施主(せしゅ)」とは「寺に物を施す人」すなわち「お布施(ふせ)を行う人」のことです。
この「施主」が次第に「生活の面倒を見る者」「お金を出してくれる者」といった意味に派生し、奉公人が主人を、商人が客を、そして妻が夫を呼ぶときの呼称として定着するようになりました。
この事から、配偶者である男性の事を次第に「旦那」と呼ぶようになったのです。
「旦那」は本来は敬意を込めた丁寧な表現ですが、現在ではごく親しい相手に対してしか使わない表現です。目上の人と話す際に「旦那」を使うのは避けた方が無難だと言えます。
その他、自分以外の相手の配偶者に対しては、「旦那さん」「旦那様」などのように丁寧に呼ぶのが一般的です。
亭主の意味・使い方
「亭主(ていしゅ)」とは「一家の主・その家の主人」という意味です。
主に、親しい人との間柄などプライベートな場で使う言葉で、公的な場では通常使いません。
「亭主」の語源は「宿屋や茶店を経営している主」から来ており、本来は敬意が含まれた表現でした。
しかし、現在ではかなりくだけた表現として使われ、「旦那」と同じような使い方がされています。
「旦那」は第三者の配偶者に対して「旦那さん」などと言うことができますが、「亭主」は、第三者の配偶者に対して使うようなことはほとんどありません。
一応、「ご亭主」という言い方はありますが、頻繁に使われるものではないです。「亭主」はあくまで自分の配偶者に対して使う言葉だと考えて問題ありません。
その他、「亭主関白」などの使い方をすることもあります。「亭主関白」とは「家庭内で、夫の支配権が妻よりも強いこと」を表した言葉です。
夫・主人・旦那・亭主の違い
それぞれの違いを整理しますと、まず最も一般的な呼び名として「夫」があります。
「夫」は公的な場、公的な書類などフォーマルな場面において使うことができる唯一の言葉です。さらに、日常的な会話など私的な場面においても特に違和感なく使うことができます。
そのため、どれを使うか迷った場合は「夫」を使えば問題ありません。
ただ、相手の配偶者を指すような場合は「夫」は使えないのでそこだけ注意が必要です。この場合は「旦那さん」「旦那様」などのように言います。
そして、「主人」は夫よりも丁寧でかしこまった表現です。
「主人」は役所などの公的な書類には使えませんが、相手への敬意を込めた表現なので公的な場では普通に話し言葉として使うことができます。
しかし、元は封建制度の名残りから出来た言葉なので、「主人」に関しては無理して使う必要性はありません。
もしも本来の語源などに詳しい人がその場にいた場合は、使用を避けるという選択肢も考えた方がいいです。
また、「旦那」と「亭主」はどちらも親しい間柄のプライベートで使う言葉です。
逆に言えば、この2つは公的な場では使うことができませんので目上の人などに対しては使う際は注意する必要があります。
目上の人と会話をするときは「旦那」や「亭主」ではなく、「夫」もしくは「主人」を使うのが適切です。
その他、細かい両者の使い分けとしては、相手の配偶者は「ご亭主」ではなく「旦那さん」「旦那様」などを用いるのが一般的です。
「ご主人」などの言い方も可能ですが、先述したように「主人」には男尊女卑の意味が残されているため、相手によっては嫌がられてしまう可能性もあります。
したがって、相手の配偶者に触れる場合は「旦那さん」「旦那様」を使うのが無難です。
夫・主人・旦那・亭主の使い方・例文
最後に、それぞれの使い方を具体的な例文で紹介しておきます。
【夫の使い方】
- 夫から届いたメールをすぐに確認する。
- 夫と妻、子供2人の計4人で構成された家族です。
- 役所へ提出する各書書類に「夫」と記入しました。
- 夫とは学生時代に共通の知人を通して出会いました。
- 夫と妻の共同名義で自宅を購入することに決めた。
【主人の使い方】
- 主人がいつもお世話になっています。
- 主人と結婚してから、今年でもう10年目になります。
- 私事ですが、先日主人と離婚することが決まりました。
- ご主人は今日は帰宅されていないのでしょうか?
- 隣家のご主人は休みの日はゴルフをしているようだ。
【旦那の使い方】
- ウチの旦那は最近家に帰る時間が遅いのよ。
- 旦那が私の手料理に文句をつけるのが本当ストレスだわ。
- 旦那さんは、お仕事は何をされている方なのでしょうか?
- 旦那さんは一部上場会社に務められていると聞きました。
- 奥様と旦那様の間でよく相談してからお決めください。
【亭主の使い方】
- うちの亭主は、外出や旅行が嫌いな性格なのよ。
- 年下の亭主だけど、頼れる部分がかなりあるよ。
- 彼は亭主関白な男として知られている人物である。
- 先日、ご亭主に会って軽く挨拶をしてきました。
- このお店の亭主は、気さくで本当に話しやすいね。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「夫」=配偶者である男性。(公的な場・私的な場どちらでも使える。)
「主人」=一家の主・自分が仕える人。(夫よりも丁寧な言い方。差別的な要素が多少ある)
「旦那」=配偶者をくだけた表現にした言葉。(私的な場で使い、公的な場では使わない)
「亭主」=一家の主・その家の主人。(私的な場で使い、相手の配偶者には通常使わない)
いずれの言葉も「妻と結婚している男性のこと」を指した言葉です。しかし、各々の場面によって使い方が異なってきます。ぜひ正しい使い分けを覚えて頂ければと思います。