「男に二言はない」というセリフを聞いたことがあるでしょうか?ドラマや漫画の1シーンなどでよく使われており、日常会話で使われることも少なくありません。
ただ、具体的な使い方や語源が分かりにくい言葉でもあります。「男」ではなく「女」に使ってもよいのかも気になる所です。
本記事では、そんな「男に二言はない」の意味や例文、類義語、反対語などを詳しく解説しました。
男に二言はないの意味・読み方
「男に二言はない」は、「おとこににごんはない」と読みます。意味は「男は一度言ったことは取り消さない・男は一度言ったことは必ず守る」というものです。
例えば、一度「約束を守る」と言った人が、相手から「本当か?」と尋ねられた場合に「男に二言はない。俺を信じろ」などと言います。
また、一度「目標を達成する」と宣言した人が、自分を追い込むような意味も込めて「男に二言はない。必ず目標は達成する。」などと言ったりします。
つまり、「男に二言はない」とは「前言を撤回しない」というその人の強い意思を表したセリフということです。
「二言」とは「一度言った言葉をなかったことにする二度目の言葉」という意味です。すなわち「二言はない」とは「発言を訂正するような二度目の言葉がない様子」を表すことになります。
この事から、「一度言った発言は取り消さない・必ず守る」という意味になるわけです。「二言はない」は「二言以上言葉を発することができない(口下手な様子)」などの意味ではないので注意してください。
男に二言はないの語源・由来
「男に二言はない」は「武士に二言はない」というセリフが語源となっています。「武士に二言はない」とは「武士は一度言ったことは曲げずに貫き通すものだ」という意味のことわざです。
信義や面目を重んじる武士の世界では、一度口にしたことを取り消して約束を破るようなことはご法度でした。場合によっては、嘘をついたということで責任を取って切腹するような武士もいました。
そのため、昔から「武士に二言はない」「侍に二言はない」などのことわざがよく使われていたのです。現在使われている「男に二言はない」はこれらのことわざが派生していったものだと言われています。
なお、現代において「女に二言はない」というセリフは基本的には使いません。理由は簡単で、この言葉の由来になった武士や侍などは女性を表す職業ではなかったからです。
元々、「男に二言はない」「武士に二言はない」などは勇ましさや誠実さを美徳とする男性社会で使われていました。一方で、女性社会に関しては「男は度胸、女は愛嬌」という言葉もあるように勇ましさのようなものを求めるのは稀でした。
そのため、女性に対しては基本使われないことわざだったのです。
ただ、男女の社会的な役割に差がなくなってきた現代では、場合によっては「女に二言はない」と言うこともあります。
これはつまり、「女だって信念は通す」というあえて男性的な要素を含ませたセリフということだと思われます。しかし、このような言い方は基本的にはしないものと考えて問題ありません。
男に二言はないの類義語
「男に二言はない」の類義語は次の通りです。
「男に二言はない」は、四字熟語や慣用句で言い換えることが可能です。基本的には、「約束を守ること」「発言と行動が一致していること」などを表す言葉が類義語となります。
この中では「有言実行」がよく使われるので覚えておいた方がいいでしょう。その他、「保証する」「確約する」「責任を持つ」なども広い意味では類義語だと言えます。
男に二言はないの対義語
逆に、対義語としては次のような言葉が挙げられます。
こちらは主に、「発言と行動が一致していない様子」を表す言葉となります。その他、「信念のない」「一貫性のない」「節操がない」なども反対語に含まれます。いずれも基本的に良い意味として使われることはありません。
男に二言はないの英語訳
「男に二言はない」は、英語だと次のように言います。
①「A man’s word is his bond.」
②「A man never breaks his word.」
①は直訳すると「男の言葉はその保証である。」となります。「bond」とは「約束」や「契約」などの意味です。②は「男は決して言葉を破らない。」という訳です。「break one’s word」は「言葉を破る」という意味の熟語です。
英語では、このように「約束を守る」「言ったことを守る」といった意味の文で表すことになります。他には、次のような言い方も可能です。
「A real man keeps his word.」(本当の男は約束を守る。)
「A man is as good as his word.」(男は必ず約束を果たす。)
「keep one’s word」は「約束を守る」、「be as good as one’s word」は「言行が一致する・約束を果たす」という意味の熟語です。
なお、「男に二言はない」は「中国語」だと次のように言います。
【中国語】⇒君子一言 駟馬難追(君子が言ったことは取り消すことができない。)
男に二言はないの使い方・例文
最後に、「男に二言はない」の使い方を例文で紹介しておきます。
- 男に二言はない。君との約束は必ず守るよ。
- 男に二言はないと言うだろう。私を信じて付いてきてくれ。
- 男に二言はないと言ったからには、最後までやり抜くつもりです。
- 社長の生き方を見ていると、男に二言はないという言葉がよく似合う。
- 彼の二転三転ぶりには呆れるよ。つい数日前まで男に二言はないと言っていたのに。
- 男に二言はないとは言うが、今回ばかりは発言を撤回した方がいいのでは?
「男に二言はない」は、例文のように「約束を守る」「信念を貫く」といった意味で使うことが多いです。したがって、基本的には良い意味として使う表現だと考えて問題ありません。
ただ、場合によってはあまり良くない意味として使うこともあります。例えば、例文5や6のように他者の言動について触れるようなケースです。この場合は、「約束を守らない」「信念が強すぎて頑固である」といった文脈で用いられています。
男に限らず、人間は一度言ったことは取り消さないことが基本です。しかし、変化の激しい現代においては、状況に応じて臨機応変に対応し、場合によっては前言を撤回する事も必要なのかもしれません。
まとめ
以上、本記事のまとめです。
「男に二言はない」=男は一度言ったことは取り消さない・男は一度言ったことは必ず守る。
「語源・由来」=「武士に二言はない」ということわざから。「二言」とは「一度言った言葉をなかったことにする二度目の言葉」という意味。
「類義語」=「有言実行・言行一致・初志貫徹・君子に二言なし・綸言汗の如し・男子の一言金鉄の如し」
「対義語」=「二転三転・朝令暮改・荒唐無稽・支離滅裂・嘘八百」
「英語訳」=「A man’s word is his bond.」「A man never breaks his word.」
「二言」とは「一度発した言葉を取り消す二回目の言葉」という意味です。この「二言」を「ない」と否定する事から「発言を取り消さない」「約束を必ず守る」などの意味に派生していったのが「男に二言はない」だと理解しておきましょう。