「贈り物」としてのノブレス・オブリージュ 要約 意味調べノート 解説 あらすじ

「贈り物」としてのノブレス・オブリージュは、教科書・論理国語で学習する文章です。そのため、定期テストの問題にも出題されています。

ただ、実際に文章を読むと筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、本文のあらすじや要約、意味調べなどを解説しました。

「贈り物」としてのノブレス・オブリージュのあらすじ

 

本文は、三つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①贈り物とは、「価値あるもの」を贈ることではない。「これは贈り物」と思った人がそう思った瞬間に価値は生成する。例えば、挨拶はある種の贈り物であり、挨拶された人は返礼義務を感じる。負債感と言ってもいい。挨拶の言葉は単なる単語だが、私たちはそれを予祝の言葉、「自分に対する贈り物」だと解釈することができる。贈り物は、それ自体に価値があることが自明であるようなものではない。それは、受け取った側が自力で価値を補填しないと贈り物にはならない。

②「天賦の才能」は、「天からの贈り物」なので、返礼義務がある。天賦の才能を豊かに持ちながら、それを自己利益のためだけに使用し、敬意や称賛を得ようとする人間を、私は人間として評価できない。人間が持つ能力は、能力それ自体によってではなく、天賦の贈り物に対してどのような返礼をなしたかによって査定されるべきだ。それは腕力でも知力でも同じであり、自分に例外的に与えられた能力は、それを持たない人たちの役に立つように使うべきだ。

③「ノブレス・オブリージュ」という言葉がある。一般的には、貴族(ノブレス)は普通の人よりも重い負荷を引き受けなければならないという意味で使われる。だが、私の解釈は少し違う。万人はそれぞれ固有の仕方で「ノブレス」であるというのが私の解釈である。すべての人間にはさまざまな種類の「他人にはできないことが自分にはできる、他人にはわからない言葉が自分にはわかる。」という固有の能力がある。ノブレスとは、そのような特異性、多様性、個別性を指す言葉だと解したい。力のある人は腕力を、知力のある人は知識を、隣人たちのために捧げるのが、私の考えるノブレス・オブリージュである。

「贈り物」としてのノブレス・オブリージュの要約&本文解説

 

200字要約贈り物は、それ自体に価値があるわけではなく、受け取った側が価値を見出し、返礼の義務を感じることで成り立つ。挨拶はその一例で、言葉そのものに価値があるわけではないが、予祝の意味を込めて受け取られる。天賦の才能も「天からの贈り物」として、自己の利益のためではなく、他者に返礼する形で使うべきである。ノブレス・オブリージュは、貴族に限らずすべての人が持つ固有の能力と捉え、社会のために活かすべきである。(198文字)

本文では、「ノブレス・オブリージュ」という言葉を、従来の「貴族の義務」という意味から拡張し、全ての人が持つべき心のあり方として捉えています。

まず筆者は、「贈り物」の概念を提示し、それが単に価値ある物を贈るのではなく、贈る側と受け取る側の相互作用によって価値が生まれるものだと説明しています。

例えば、挨拶は相手への予祝の言葉としての贈り物であり、受け取った側は挨拶をされると返礼の義務を感じます。同様に、天賦の才能も「天からの贈り物」なので、それを持つ者は社会への返礼義務を負うべきだと主張しています。

そして、「ノブレス・オブリージュ」の独自の解釈も展開しています。筆者は、人は誰もが特別な能力を持っているという点で「ノブレス(貴族)」であると述べ、その能力を他者のために使うことこそが現代における「ノブレス・オブリージュ」であると説きます。

腕力、知力、その他の才能を持つ者は、それらを周りの人のために捧げることで、個々の能力が社会全体の利益につながるという考えです。

このように、筆者は私たち一人一人が持つ「贈り物」をどのように活かし、他者に対してどのように使うべきかを問いかけています。

「贈り物」としてのノブレス・オブリージュの意味調べノート

 

【歳暮(せいぼ)】⇒年末に贈る贈り物。

【実用性(じつようせい)】⇒実際に役立つ性質。

【生成(せいせい)】⇒新しく生じること。生み出すこと。

【贈与(ぞうよ)】⇒物や財産を他者に与えること。

【負債感(ふさいかん)】⇒返済義務を感じること。

【予祝(よしゅく)】⇒未来の幸福や成功を祝うこと。

【十全な(じゅうぜんな)】⇒十分に整っていて、危なげのないこと。

【解釈(かいしゃく)】⇒物事を自分なりに考えて理解すること。

【自明(じめい)】⇒特に証明などをしなくても、明らかであること。わかりきっていること。

【補填(ほてん)】⇒不足を補うこと。

【天賦(てんぷ)】⇒生まれつき与えられた才能や能力。

【賦与(ふよ)】⇒与えること。

【排他的(はいたてき)】⇒他を排除し、自分だけを重視するさま。

【天変地異(てんぺんちい)】⇒自然界の異常や災害。

【帰依(きえ)】⇒信仰や指導者に心から従うこと。

【威嚇(いかく)】⇒恐れさせるための脅し。

【揚げ足を取る(あげあしをとる)】⇒相手の言葉や行動の小さな誤りを指摘して、非難すること。

【弁舌(べんぜつ)】⇒話し方。話しぶり。

【駆使(くし)】⇒自由に使いこなすこと。

【負荷(ふか)】⇒物事にかかる負担や圧力。

【固有(こゆう)】⇒そのものに特有の他にはない性質。

「贈り物」としてのノブレス・オブリージュのテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

セイボの品を贈る。

ギレイを重んじる。

カイシャクの違いが生じる。

④それはジメイの理である。

ハイタ的思考をする。

解答①歳暮 ②儀礼 ③解釈 ④自明 ⑤排他
問題2「負債感」とあるが、ここではどのようなことか?
解答挨拶をされた人が、同じ言葉を返さなければならないと感じること。
問題3「贈与と返礼のメカニズム」とは、ここではどのようなことか?
解答超能力者が自分の才能を天からの贈り物だと認識し、それを他者のために役立てなけれならないという返礼義務を感じること。
問題4筆者の考える「ノブレス・オブリージュ」とはどのようなものか?
解答すべての人間の中にはさまざまな種類の固有の能力があり、それぞれが自分の能力を人々のために捧げるべきであるということ。

まとめ

 

今回は、『「贈り物」としてのノブレス・オブリージュ』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。なお、本記事を読んだ後は、以下の記事もおすすめです。