『沖縄戦を聞く』は、教科書・論理国語で学習する文章です。そのため、高校の定期テストにも出題されています。
ただ、本文を読むと筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は『沖縄戦を聞く』のあらすじや要約、意味調べ、テスト問題などを解説しました。
『沖縄戦を聞く』のあらすじ
①沖縄戦の経験談には様々なものがある。たとえば、激戦地の南部のもの、北部の避難生活、戦闘がほとんど行われなかった離島での暮らし、熊本や鹿児島への疎開といったものだ。どれも沖縄戦の経験だが、区別せずに聞き取り調査をしている。聞き取りの内容も、沖縄戦だけでなく、その後から現在まで続く「生活史」をすべて聞くようにしている。それは、戦中どこにいたとしても、沖縄戦を生き延びた人たちが、いまの沖縄をつくったと思うからだ。
②多くの沖縄の人たちが、戦中に那覇港の石油タンクが燃えた火を見た。その瞬間、それぞれの人生を歩む沖縄の人たちの人生が交差した。あの火を目撃した人びとは、それぞれ別の人生を歩んでいった。いまの沖縄は、この交差した視線を共有する人たちがつくり、その祖先の人たちが住んでいるのである。
③ある方のご自宅で、激戦の南部を体験を話してくれた人がいた。いまは食べ物もあり、孫たちの写真に囲まれ、平穏な暮らしをしているが、戦の話を語っている途中で、私は何度も名前を呼ばれた。その時に、日本は戦争の被害者ではなく加害者なのだと言われた。私は自分の名前を呼ばれたことを、一生忘れないと思う。
『沖縄戦を聞く』の要約&本文解説
本文で筆者が伝えたかったことは、沖縄戦の実態やその影響を記録し、後世に伝えることの重要性です。
沖縄戦は、日本の歴史の中でも特に過酷で悲惨な戦争だったと言われています。そのため、当時の人たちの体験を可能な限り聞くことで、悲惨な記憶を忘れずに受け継ぐことが、次の世代にとって重要だと筆者は考えています。
また、最後のエピソードに出てくる「日本は戦争の被害者ではなく加害者なんです」という言葉は、第二次世界大戦や沖縄戦に関する歴史的な反省と責任を表現しているものです。
この言葉は、沖縄戦が単なる戦闘の一環ではなく、日本本土を守るために沖縄を戦場とした日本政府の加害的な行動を指摘しています。
具体的には、日本軍が沖縄の住民に対して戦闘に参加させたり、避難を強制させたりといったことです。
このように、筆者は、沖縄戦における日本の行動を単なる「被害者」としてではなく、「加害者」という視点からも捉え直すことで、読者に対して戦争の悲惨さをより深く理解させようとしているのです。
『沖縄戦を聞く』の意味調べノート
【戦況(せんきょう)】⇒戦争や戦闘の状況。
【艦砲射撃(かんぽうしゃげき)】⇒軍隊による砲撃。
【避難(ひなん)】⇒安全な場所へ立ちのくこと。
【偵察(ていさつ)】⇒ひそかに敵の動きを探ること。
【生活史(せいかつし)】⇒個人の生涯の歴史。
【凄惨(せいさん)】⇒ひどくむごたらしいさま。目をそむけたくなるほどいたましいさま。
【膨大(ぼうだい)】⇒きわめて数量の多いさま。
【着の身着のまま(きのみきのまま)】⇒今、着ているもの以外は何も持っていないこと。
【鬱蒼(うっそう)】⇒樹木が茂って、あたりが薄暗いさま。
【亜熱帯(あねったい)】⇒熱帯に次いで温暖な地域。
【飢餓(きが) 】⇒食べ物がなくて飢えること。飢え。
【蓄積(ちくせき)】⇒たくわえること。
【疎開(そかい)】⇒戦争や災害の影響を避けるために、特定の地域から人々を安全な場所に移動させること。
【筆舌に尽くしがたい(ひつぜつにつくしがたい) 】⇒あまりにひどくて、文章や言葉ではとても表現できない。
【分岐(ぶんき)】⇒行く先が別々に分かれること。
【軌跡(きせき)】⇒ある人や物事がたどってきた跡。
【捕虜(ほりょ)】⇒戦争などで敵に捕らえられた人。
【沿道(えんどう)】⇒道路に沿った所。道の沿いや道路の脇にある場所のこと。
【平穏(へいおん)】⇒変わったこともなく、おだやかなこと。
『沖縄戦を聞く』のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①戦争でギセイ者が出る。
②田舎にソカイする。
③北部へヒナンする。
④努力のキセキを振り返る。
⑤近所のシンセキが集まる。
⑥多くのホリョが解放される。
まとめ
今回は、『沖縄戦を聞く』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。