『なぜ多様性が必要か』は、教科書・論理国語で学習する文章です。高校の定期テストにも出題されています。
ただ、本文を読むと筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、『なぜ多様性が必要か』のあらすじや要約、テスト問題などを簡単に解説しました。
『なぜ多様性が必要か』のあらすじ
①なぜ、人は虫を集めて標本にしたいのか。それは、絶え間なく動き回り、すぐにも飛び去ってしまったりする美しさとデザインの精妙さを、自分の手のうちにとどめて、ずっと眺めていたいからだ。
②個々の生命体の活動は、生態系が長い時間をかけて作り出したバランスを維持している。これを生物学では「ニッチ」と呼ぶ。ニッチは、生態系全体の動的平衡を担保している。
③秩序あるものに対して、等しく破壊しようとする力が降り注ぐ、エントロピー増大の法則がある。エントロピーの増大を防ぐために、生命は、自らをあえて壊し、壊しながら作り直すという動きを繰り返しながら恒常性を保つことを選んだ。また、生命の仕組みを構成する要素は多様性に満ち、相互依存的、相互補完的である。だからこそ、消長、交換、変化を同時多発的に受け入れられ、大きくバランスを失うこともない。
④生物は地球環境というネットワークの結節点に位置する。このネットワークを強靭で柔軟、可変的で回復力を持つものとし、地球環境という動的平衡を保持するためには、生物多様性が必要なのだ。だが、ヒトだけがニッチという分際を逸脱し、連鎖と平衡を攪乱している。今、私たちが考えるべきことは、生命観と環境観のパラダイム・シフトである。
『なぜ多様性が必要か』の要約&本文解説
本文は、その内容から四つの段落に分けることができます。
まず第一段落では、人間には、虫の美しさとデザインの精妙さを、自分のものにしてずっと眺めていたいという欲求があることが述べられています。
次の第二段落では、蝶をはじめとするすべての生物が、ニッチを守ることで、生態系全体の動的平衡を担保していることが述べられています。ここでの「ニッチ」とは、すべての生物が守って受け継いでいる、食べ物や棲む場所を含む活動すべてのことです。
第三段落では、生物というのは自らを壊しながら作り直すことで、恒常性を保つことができ、大きくバランスを失うことがないのだという生物の本質的な特徴が述べられています。
第四段落では、最終的な筆者の結論が述べられています。
筆者は、他の多くの生物がニッチを守って生きているものの、ヒトだけが他の生物のニッチに踏み込み、連鎖と平衡を攪乱していると批判的しています。その上で、私たちは、生命観と環境観のパラダイム・シフトを考えなければならないと結論付けています。
これはつまり、私たちは今までの生命や環境に対する考え方を改めて、自分たちの思考の枠組みを根本的に変えなければならないということです。
『なぜ多様性が必要か』のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①セイミョウな仕組みをつくる。
②ムエキな争いをしない。
③血液がジュンカンする。
④食物レンサの頂点に立つ。
⑤家をガンジョウに作る。
⑥任務をイツダツする行為。
まとめ
今回は、『なぜ多様性が必要か』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。なお、本文中の重要語句については以下の記事でまとめています。