片頭痛 偏頭痛 違い 正しい どっち

「へんずつう」を漢字で書く場合、「片頭痛」と「偏頭痛」の二つがあります。両方ともよく目にする漢字ですが、正しい漢字はどちらなのでしょうか?

今回は、「片頭痛」と「偏頭痛」の使い分けについて詳しく解説しました。

片頭痛と偏頭痛の意味

 

まず、「へんずつう」の意味を辞書で引いてみます。

【片頭痛/偏頭痛(へんずつう)】

頭の片側に生じる、発作性のずきんずきんと脈打つような激しい頭痛。嘔吐 (おうと)を伴うこともある。へんとうつう。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

上記のように、「片頭痛」と「偏頭痛」は一つの項目として載せられています。つまり、辞書の定義としては同じということになります。

意味としては、「頭の片側が激しく痛くなること」を表したものです。

「頭痛」には様々な種類があります。

  • 頭の真ん中が痛い
  • 頭の後ろが痛い
  • 頭のてっぺんが痛い
  • おでこ付近が痛い

どれも辛くてきつい症状だと思いますが、「へんずつう」とはその中でも「頭の横の部分が痛くなること」を表します。

一般的には、「左側か右側のどちらかが痛くなること」を「へんずつう」と言います。ただし、場合によっては両方とも痛くなる場合も「へんずつう」と呼ぶようです。

片頭痛と偏頭痛の違い

片頭痛 偏頭痛 違い 漢字

「へんずつう」の大まかな意味は理解できました。では、両者にはどのような違いがあるのでしょうか?

それぞれの語源を説明しておくと、「」には「片方・一方」などの熟語があります。一方で、「」には「偏食・偏見」などの熟語があります。

つまり、漢字の成り立ちから考えると

片頭痛」=頭の片方が痛くなること。偏頭痛」=頭が偏って痛くなること。

となります。

「片方が痛い」と「偏って痛い」は、ほとんど同じことを言っています。

食事で例えれば、色んなメニューがある中、片方の料理ばかりを食べるか偏った食事を食べるかの違いです。

よって、結論としてはどちらも意味には違いはないということになります。

片頭痛と偏頭痛の使い分け

 

「片頭痛」と「偏頭痛」のどちらを使うか迷った場合は、「片頭痛」を使えば問題ありません。なぜなら、医学界の標準が「片頭痛」だからです。

元々「へんずつう」という言葉は、かなり昔から使われていました。最も古い辞書だと、1604年の『日葡辞書』に「偏頭痛」という記述が残っています。

その後の1863年の『医方類聚』にも「偏頭痛」と記述されています。要するに、大昔の頃から「偏頭痛」で固定されていたのです。おそらくですが、医学の用語としてはそれ以前から存在していたと思われます。

しかし、時は過ぎて、時代とともに「片頭痛」の方が使われるようになっていきました。1921年の『ことばのいづみ言泉』には、「片頭痛(かたづつう・へんとうつう)」と記述されています。

また、比較的近年の辞書だと、1989年の『新明解国語辞典』では、「片頭痛」と「偏頭痛」が併記されています。そして、現在の多くの辞書では、両方とも記述されているという状況です。

なぜこのような変遷を辿ったかと言いますと、日本医学会の「医学用語辞典」に「片頭痛」が採用されたためです。

これは医学の専門用語として正式な手続きが踏まれた上での措置です。そのため、現在の医学界では「片頭痛」の方で統一しているのです。

医学界が「片頭痛」で統一しているので、新聞やテレビなどの報道業界も「片頭痛」を使う傾向にあります。したがって、私たちが一般に使う際には「偏頭痛」ではなく「片頭痛」の方を用いるという結論になるわけです。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

片頭痛・偏頭痛」=頭の片側に生じる、発作性の激しい頭痛。

違い」=厳密には「片頭痛」は頭の片方が痛くなることで、「偏頭痛」は頭が偏って痛くなることだが違いはない。

使い分け」⇒医学界の標準に合わせて「片頭痛」を使う。

どちらも辞書的な意味としては同じですが、「へんずつう」という言葉はもはや医学の専門用語となっています。したがって、医学業界に従って「片頭痛」を使うのが正しいということになります。