目くじらを立てる 意味 例文 語源 類義語 由来は

体の一部を使った慣用句というのは多くあります。特に「目」を使った表現はよく使われていると思います。

「目が離せない」「目からうろこが落ちる」。ただ、「目くじら」という言葉はなかなか聞かないのではないでしょうか。

そこで今回は、「目くじらを立てる」の意味や由来、使い方・類義語などを含め詳しく解説しました。

目くじらを立てるの意味・読み方

 

最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。

【目くじらを立てる(めくじらをたてる)】

目をつりあげて人のあらさがしをする。他人の欠点を取り立てて非難する。目角 (めかど) を立てる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

目くじらを立てる」は、「めくじらをたてる」と読みます。意味は「他人の欠点を取り立てて非難すること」です。

例えば、相手が作ってくれた料理に対していちいち欠点を指摘するような人がいたとします。

具体的には、「味が少し薄い」「見た目があまり良くない」「栄養バランスが悪い」などのように取り立てて欠点を指摘するようなことです。

このような行為は、まさに「目くじらを立てること」だと言えます。

「目くじらを立てる」は相手の細かい欠点をネチネチと指摘するような時に使われます。ポイントは、普通の欠点ではなく細かい欠点を指摘するという点です。

「目くじらを立てる」は、目に見えるような大きな欠点に対しては使いません。普通の人ならば許せる程度の細かい欠点に対して使うのです。

したがって、この慣用句は多くの場合否定的な使い方をします。もしも「目くじらを立てる人」などと言われたら、周りから疎まれている存在だと考えて問題ありません。

目くじらを立てるの語源・由来

 

「目くじらを立てる」という慣用句で注目すべきは「くじら」という部分です。

現在では、「くじら」=「海の生き物」という認識が一般的だと思われます。しかし、ここでの「くじら」は生き物とは一切関係ありません。

元々、「くじら」という言葉は「物の両端・端っこ」などの意味を持つ語として古くから使われていました。つまり、「目くじら」を直訳すると「目の両端・端っこ」となります。

この「目の両端部分を立てる」というのは、人が怒った時にする表情です。現在でも、「目を釣り上げて怒る」などの言い方をする場合があります。

転じて、「怒る」⇒「人を責める」⇒「短所をとやかく言う」という意味に変化していったわけです。

なお、「目くじらを立てる」にはもう一つの語源があります。それは、「目尻(めじり)が変化したもの」という説です。

「目尻」とは「耳側に近い方の目の端部分」を指します。この「目尻」が変化して、「目じり」⇒「目くじり」⇒「目くじら」になったとも言われているのです。

いずれにせよ、「目くじらを立てる」は目の両端を鋭く釣り上げた様子からできた言葉です。そのため、間違っても漢字で「目鯨」などとは書かないようにしましょう。

目くじらを立てるの類義語

目くじらを立てる 類義語 言い換え 同義語は

続いて、「目くじらを立てる」の類義語を紹介します。

けちをつける】⇒人の欠点を批判すること。
苦言を呈する(くげんをていする)】⇒相手の欠点などを注意すること。
目に角を立てる(めにかどをたてる)】⇒ひどく怒って、にらみつけること。 
目口を立てる(めくちをたてる)】⇒「目くじらを立てる」とほぼ同じ意味。
揚げ足を取る(あげあしをとる)】⇒人のミスや失敗を取り上げて、責めること。

以上、五つの類義語を紹介しました。意味としては、「相手のミスを批判する・責める」といったものが多いです。

似た意味のことわざとしては「目に角を立てる」「目口を立てる」、「同義語」だと「粗探しをする・ケチをつける」などが当てはまるでしょう。

また、先ほども説明した通り、「目くじら」は元々は「怒った表情」からできた言葉でした。したがって、「怒る・興奮する」などの語も広い意味で考えると類義語と考えていいです。

目くじらを立てるの英語訳

 

「目くじらを立てる」は、英語だと次のような言い方をします。

①「get angry over small things(小さなことで怒る)」

②「find fault with trivial matters(ささいなことで欠点を探す)」

①は直訳すると「小さいことで怒る」という意味です。「get angry」で「怒った様子」を表すことができます。

また、②の「find fault」は「欠点を探す」、「trivial」は「ささいな」、「matters」は「問題」を表します。以上の事から、「ささいな欠点を見つけ出す」と訳すことができます。

例文だと、それぞれ次のように言います。

You should not get angry over small things.(ささいなことで目くじらを立てないほうがいいよ。)

Don’t find fault with trivial matters.(目くじらを立てるようなことはやめてくれ。)

目くじらを立てるの使い方・例文

 

最後に、「目くじらをたてる」の使い方を例文で紹介しておきましょう。

  1. 彼は部下の欠点にすぐ目くじらを立てる小さい男だ。
  2. そんな細かいことで目くじらを立てるなんて情けない。
  3. 目くじらを立てて、常に彼女の粗探しをしているようだ。
  4. いちいち他人に目くじらを立てるのは、器が小さい証拠だよ。
  5. 目くじらを立てて非難されそうなので、しっかり準備しておこう。
  6. 彼らはこんなささいなことで目くじらを立てるのでしょうか?
  7. もしもの話だから、どうか目くじらを立てずに聞いてほしい。

 

目くじらを立てる人というのは、基本的に細かくて神経質な性格だと考えてよいでしょう。もちろん、細かな指摘をすることで、時には仕事の成果が向上するようなことがあります。

しかし、世間一般的には人の粗探しをするような人が好まれるわけがありません。

相手からしたら、「なんでこんなささいなことを指摘するのだろう?」「そこまでいちいち批判しなくてもいいいのでは・・・」などのように思われてしまいます。

そのため、「目くじらを立てる」は、基本的に否定的なニュアンスとして用いることとなります。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

目くじらを立てる」=他人の欠点を取り立てて非難すること

語源・由来」=目くじら(目の両端)を釣り上げるのは怒った表情だから。

類義語」=「揚げ足を取る・けちをつける・目に角を立てる・目口を立てる・苦言を呈する」

英語訳」=「get angry over small things」「find fault with trivial matters」

相手を批判するのは、お互いにとって気持ちよくありません。できることなら目くじらを立てずに人と接することが大事だと言えますね。