まちの豊かさとは何か 現代の国語 学習の手引き 意味調べノート テスト問題 漢字

『まちの豊かさとは何か』は、教科書・現代の国語に収録されている評論文です。ただ、本文を読むとその内容や筆者の主張が分かりにくい箇所もあります。

そこで今回は、『まちの豊かさとは何か』のあらすじや要約、語句の意味などを含め簡単に解説しました。

『まちの豊かさとは何か』のあらすじ

 

本文は、内容により5つの段落に分けることができます。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①私は今まで、建築物の設計というのは、一人の人間の頭の中でなければできないものと考えていた。だが、何度か住民が参加するワークショップに参加するうちに、それは間違いであることが分かってきた。これまで知り合いでなかった人と知り合いになり、一緒に活動するのは設計する以上に楽しいことであり、コミュニティーの力を目の当たりにした。

②コミュニティーでは、自分たちが楽しむだけでなく、自分たち以外の人たちも楽しませようとしている。そのことが公園やまちを楽しい場所にすれば、利用者からも感謝され、そして感謝された本人たちもうれしい気持ちになる。これは「豊かな人生」につながるのではないかと考えた。

③「豊かさ」が時代とともに変化し、「金」や「物」などの物質的な豊かさだけでなく、人とのつながりが充実していることも人生を豊かにする要素だと認識されるようになった。人とのつながりが重視されるようになると、デザイナーもつながりやアクティビティーをデザインする必要がある。

④コミュニティーではほとんどの場合、お互いのやり取りにお金が発生しない。世話をした人に感謝の気持ちを伝え、今度はまたお返しをすることで、いつまでもつながりが持続されることになる。現金を介さない関係を多様に持っておくことで、つながりを豊かに持った人生をおくることができるのだ。

⑤僕らはもう一度、「豊かさ」とは何かをじっくり考えなければならない。人とのつながりや人からの感謝、自分の役割や自分のできることの価値。こうしたものがお金や物などの要素と組み合わさり、豊かさは成り立っている。まちの豊かさも同じような要素で成り立っているはずだ。

『まちの豊かさとは何か』の要約&本文解説

 

200字要約「豊かさ」が時代とともに変化したことで、「金と物」を多く持つことだけでなく、人とのつながりが充実していることも人生を豊かにする要素と認識されるようになった。コミュニティにおける現金を介さない人間関係は、つながりを豊かに持った人生を作ることになる。まちの豊かさも同様に、人とのつながりや人からの感謝、自分の役割やできることが増えることの価値が金や物を持っていることと組み合わさり、成立しているのだ。(198文字)

筆者は、元々はドイツのデザイン学校の教え通り、建築のデザインというのは一人の建築家の頭の中で組み立てられるものだと信じていました。ところが、何度か住民とワークショップを経験するうちに、コミュニティーの力を目の当たりにすることになります。

コミュニティーでは、皆が楽しむために集まり、自分たち以外の人も楽しませようとします。そして、次第に仲間が増え、自分たちのできることや役割も増え、公園やまちを利用する人からも感謝されるようになります。

コミュニティーでの経験は、お金や物などの物質的な豊かさだけでなく、人とのつながりという豊かさを人生にもたらしてくれます。筆者はこういった豊かさによって、町の豊かさも成り立っているはずだと最終的に述べています。

一見すると、「まちの豊かさ」と聞くと、華やかなビルや建物、商店街などがあり、多くの人が物質的に豊かな生活をするようなイメージをもちがちです。

そうではなく、人とのつながりや感謝、自分の役割やできることが増えることの価値が、物質的な豊かさと組み合わさることで、本当の意味での「まちの豊かさ」というのは成り立つはずだと筆者は考えているわけです。

『まちの豊かさとは何か』の意味調べノート

 

【統合化(とうごうか)】⇒二つ以上のものを合わせて一つにすること。

【後世(こうせい)】⇒のちの世。

【付箋(ふせん)】⇒付け紙。目印にはる紙。

【予定調和(よていちょうわ)】⇒大方の予想した通りに物事が進み、意外性のない結末に落ち着くさま。

【反映(はんえい)】⇒影響が他に及んで現れること。

【有意義(ゆういぎ)】⇒意味や価値があること。

【目の当たり(まのあたり)】⇒自分の目で実際に見ること。

【違和感(いわかん)】⇒しっくりこない感じ。

【総じて(そうじて)】⇒一般に。全般の傾向として。

【提供(ていきょう)】⇒さし出して相手の用に供すること。

【都度(つど)】⇒毎回。物事が行われるたびごと。

【介する(かいする)】⇒両者の間に立てる。

【成果(せいか)】⇒あることをして得られる良い結果。

【指標(しひょう)】⇒物事を判断したり評価したりする際の目じるしとなるもの。

【概念(がいねん)】⇒大まかな意味内容。

『まちの豊かさとは何か』のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

①図面をセッケイする。

②音が周囲にヒビく。

コウセイに残る作品。

ジュウジツした生活。

カンシャの気持ちを伝える。

⑥事件をカイケツする。

⑦豊かさのシヒョウ

解答設計 ②響 ③後世 ④充実 ⑤感謝 ⑥解決 ⑦指標
問題2『いわば、いつまでも「お釣り」が残る関係だ。』とあるが、「お釣りが残る」とはどういうことか?
解答例世話をした人と世話になった人の間で、互いに感謝の気持ちとお返しの気持ちが残るということ。
問題3「まちの豊かさも同じような要素で成立しているはずなのである。」とあるが、これはどういうことか?
解答例まちの豊かさも人生の豊かさと同様に、人とのつながりや人からの感謝、自分の役割やできることが増えるといった価値が物質的な豊かさと組み合わさることで成り立っているということ。
問題4

次の内、本文の内容を表したものとして適切でないものを選びなさい。

(ア)筆者は元々はコミュニティーのことを自分達にしか分からない価値を共有し、群れている仲良しグループという印象を持っていたが、実際にワークショップを経験したことで、その考え方が変わった。

(イ)「豊かさ」が時代とともに変化したことで、デザイナーは豊かな生活を実現するために物をつくるだけでなく、つながりやアクティビティーをデザインする必要がでてきた。

(ウ)コミュニティーのような現金を介さない人間関係は、人とのつながりが持続されることで、お互いが豊かな人生を作り出すことを可能とする。

(エ)経世済民という言葉は、元々お金だけを意味する言葉だったが、次第に世の中をうまく治めて、人々の幸せな生活を実現させることが目的となるようになった。

解答(エ)本文中には、「経世済民という言葉も金だけを意味する言葉ではなかったはずだ。」とあるため、誤り。

まとめ

 

以上、今回は『まちの豊かさとは何か』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。