第七段落の言葉一覧
余が車を下りしは~
【カイゼルホオフ】⇒ベルリン市内にある高級ホテル。
【門者(かどもり)】⇒門を見張り守る人。ドアボーイ。
【プリユツシユ】⇒ビロードの一種。パイル織物。
【ゾファ】⇒ソファ。
【前房(ぜんぼう)】⇒控え室。
【廊(わたどの)】⇒廊下。
【踟樶(ちちう)】⇒躊躇。ためらうこと。
【品行の方正なる】⇒品行方正であること。きちんとしていること。
【激賞(げきしょう)】⇒大いに褒めること。
【失行(しっこう) 】⇒あやまち。道徳や常識からはずれた行為。
【さまで】⇒それほど。
【意に介せざりき】⇒気にかけなかった。
【細叙(さいじょ)】⇒細かく述べる。
【委託(いたく)】⇒ゆだね任せること。
【答へき】⇒答えた。
【生路(せいろ)】⇒生きてきた道。
【平滑(へいかつ)】⇒平坦で順調なこと。
【轗軻数奇(かんかさくき)】⇒不遇。不運。
【胸臆(きょうおく)】⇒胸のうち。心の中。
【閲歴(えつれき)】⇒過去の経歴。
【譴(せ)める】⇒責任を問う。しかる。
【凡庸(ぼんよう)】⇒平凡な。
【諸生輩(しょせいはい)】⇒留学生仲間。
【色を正す(いろをただす)】⇒あらたまった顔つきをする。
【諫(いさ)むるやう】⇒忠告するように。
【かひなし】⇒仕方がない。
【かかづらふ】⇒かかわりあう。こだわる。
【成心(せいしん)】⇒先入観。既成概念。
【曲庇者(きょくひもの)】⇒道理を曲げて人をかばう者。
【朋友(ほうゆう)】⇒友人。
【薦む(すすむ)】⇒推薦する。
【情交(じょうこう)】⇒親しい交際。男女の親密な交際。
【人材を知りてのこひ】⇒お互いの才能を認め合っての恋。
【慣習(かんしゅう)】⇒慣れること。慣れ親しむこと。
【惰性(だせい)】⇒これまでの流れや勢い。
【前途(ぜんと)】⇒行き先。将来。
【方鍼(ほうしん)】⇒方針。進路。
【重霧(じゅうむ)】⇒深い霧。
【往(い)きつきぬとも】⇒到着したとしても。
【中心(ちゅうしん)】⇒ 心のなか。心中。
【思ひ定む】⇒決心する。
【姑く(しばらく)】⇒とりあえず。一時的に。
【情縁(じょうえん)】⇒男女の間をつなぐ縁。
【失はじ】⇒失うまい。
【抗抵(こうてい)】⇒抵抗。あらがうこと。
【え対(こた)へぬ】⇒答えることができない。
【撲(う)てり】⇒打った。たたきつけた。
【玻璃(がらす)】⇒ガラス
【緊しく(きびしく)】⇒しっかりと。厳重に。
【鎖して(とざして)】⇒閉ざして。
【陶炉(とうろ)】⇒陶器でできた暖炉。
【殊(こと)さらに】⇒格別に。とても。
【膚粟立つ(はだへあはだつ)】⇒鳥肌が立つ。
第八段落の言葉一覧
翻訳は一夜になし果てつ。
【近比(ちかごろ)】⇒最近。
【失錯(しっさく)】⇒あやまち。失敗。
【来べきか】⇒来ることができるか。
【公務(こうむ)】⇒おおやけのつとめ。国の事務。
【卒然(そつぜん)】⇒突然。急に。
【うべなふ】⇒同意する。承諾する。
【耐忍(たいにん)】⇒我慢。忍耐。
【屡々(しばしば)】⇒しばしば。たびたび。
【代(しろ)】⇒代金。
【賜りし(たまわりし)】⇒いただいた。
【費(ついえ)】⇒生活費。
【支へつべし】⇒支えることができるだろう。
【性(さが)】⇒体質。
【常ならぬ身(つねならぬみ)】⇒普通ではない身体。
【心づかでありけん】⇒気づかなかったわけなのだろう。
【籍(せき)を除きぬ】⇒除籍にした。
【言ひおこせつ】⇒言ってきた。
【故(ゆえ)あればなるべし】⇒理由があるからだろう。
【いたく】⇒甚しく。
【鉄路(てつろ)】⇒鉄道。
【用意とてもなし】⇒用意というほどもない。
【ゴタ板(ばん)】⇒ドイツ中部の小都市ゴタで刊行された。
【魯廷(ろてい)】⇒ロシアの宮廷。
【貴族譜(きぞくふ)】⇒貴族の系譜。
【物憂かるべく(ものうかるべく)】⇒つらいだろうから。
【うしろめたかるべければ】⇒気がかりだろうから。
【知る人がり】⇒知人のもとへ。
【何事をか叙(じょ)すべき】⇒何を書き記すべきだろうか。
【舌人(ぜつじん)】⇒通訳をする人。
【拉し去りて(らっしさりて)】⇒連れ去って。
【青雲の上(せいうんのうえ)】⇒ここでは「ロシアの宮廷」を表す。「青雲」とは地位や学徳が高いことのたとえ。
【ペエテルブルク】⇒当時のロシアの首都。
【囲繞(いにょう)】⇒取り囲む。
【驕奢(きょうしゃ)】⇒おごりと贅沢。
【王城(おうじょう)】⇒帝王の居住する城。
【粧飾(そうしょく)】⇒美しい化粧と装い。
【黄蝋の燭(おうろうのしょく)】⇒はぜ(黄櫨)から採った蝋で作る蝋燭(ろうそく)。
【勲章(くんしょう)】⇒国家に対する功労を表彰して国から授けられる記章。
【エポレット】⇒肩章。礼服などの肩につけて官職・階級を示すしるし。
【映射(えいしゃ)】⇒照り映える。
【彫鏤の工(ちょうるのたくみ)】⇒彫刻の技巧。
【カミン】⇒暖炉。
【賓主(ひんしゅ))】⇒客と主人。
【周旋(しゅうせん))】⇒間に立って世話をすること。なかだちをすること。
【事を弁ずる(ことをべんずる)】⇒用事を述べる。
【書(ふみ)】⇒手紙。
【え忘れざりき。】⇒忘れることができなかった。
【いねつ】⇒寝た。
【心細さ(こころうさ)】⇒つらさ。
【もの語し】⇒世間話をして。
【かかる思ひ】⇒このような思い。
【生計(たつき)】⇒生活手段。生活のやりくり。
【略(あらまし)】⇒概略。事柄のだいたいのところ。
【ほど経て】⇒しばらく経って。
【頗る(すこぶる)】⇒相当。たいそう。
【今ぞ知りぬる。】⇒今こそ知りました。
【族(やから)】⇒親族。親戚。
【世渡(よわたり)】⇒生活していくこと。
【~ことやはある】⇒~ことがあるだろうか。「やは」は反語を表す。
【我が愛もて】⇒私の愛を持って。
【繋ぎ留めでは止まじ】⇒繋ぎとめないではおきません。
【愜(かな)はで】⇒できずに。
【か程(ほど)に】⇒これほど。
【世に出づ】⇒出世する。
【日をこそ待ため】⇒日を待とう。
【日にけに】⇒日に日に
【袂を分かつ(たもとをわかつ)】⇒関係を断つ。離別する。
【苦艱(くげん)】⇒苦しみ。苦難。
【迷ひなりけり】⇒心の迷いなのであった。「けり」は「気づき」の用法。
【しるくなれる】⇒わかってきて。
【それさへあるに】⇒それだけでもどうかと思うのに。
【よしや~とも】⇒たとえ~でも。
【ゆめ】⇒決して。禁止や打消の語と呼応する。
【過ぎしころには似で】⇒昔とは似ず。
【思ひ定む】⇒決心する。
【心折れぬ】⇒心が折れました。あきらめました。
【ステッチン】⇒ベルリン郊外の町。
【縁者(えんじゃ)】⇒親戚。
【いふなる】⇒言っているようです。
【ともかくもなりなん。】⇒(きっと)なんとかなるでしょう。
【地位(ちい)】⇒ここでは「置かれた立場」を表す。
【明視(めいし)】⇒はっきりと見る。はっきりと理解する。
【順境(じゅんきょう)】⇒物事が都合よく運んでいる境遇。
【逆境(ぎゃっきょう)】⇒不運や苦労の多い境遇。
【胸中の鏡(きょうちゅうのかがみ)】⇒心の中の鏡。知恵や判断力を表す比喩表現。
【厚し(あつし)】⇒手篤い。
【職分(しょくぶん)】⇒職務の役割。しなければならない仕事。
【神も知るらむ】⇒神も知っているのだろうか。
【冷然(れいぜん)たり】⇒冷静であれただろうか。
【屋上の禽(とり)の如く】⇒捕まえられそうで捕まえないというたとえ。
【かくてあらば】⇒こうしていられたならば。
【かく】⇒このように。
【公事(こうじ)】⇒公務。政府のおおやけの仕事。
【告げやしけん】⇒告げていたのではなかろうか。
【本領(ほんりょう)】⇒その人が備えているすぐれた才能や特質。
【解くに由(ゆえ)なし】⇒ほどく方法がない。
【あなあはれ】⇒ああ悲しい。
【あたかもこれ】⇒ちょうど。
【旦(あした)】⇒朝。
【駆(か)りつ】⇒走らせた。
【除夜(じょや)】⇒大晦日。
【習(ならい)】⇒習慣。慣習。
【万戸(ばんこ)】⇒すべての家。
【寂然(せきぜん) 】⇒静かでもの寂しいさま。
【稜角(りょうかく)】⇒とがったかど。
【氷片(ひょうへん)】⇒氷のかけら。
【馭丁(ぎょてい)】⇒御者。馬車の運転手。
【絶えなんを】⇒必ず絶えてしまったことでしょう。「な」は強意の用法。
【栄達(えいたつ)】⇒)出世すること。高い地位、身分を得ること。
【刹那(せつな)】⇒一瞬。
【低徊踟蹰(ていかいちちゅう)】⇒思い悩むこと。
【幾階か(いくかいか)】⇒何階へ。
【鑼(どら)】⇒どら(銅鑼)。打楽器の一。
【いち早く】⇒すばやく。さっさと。
【ねぎらふ】⇒苦労に感謝していたわる。
【伴ふ(ともなう)】⇒連れて行く。
【一瞥(いちべつ)】⇒ちらっと見ること。
【レエス】⇒レース編みの布。
【堆い(うずたかい)】⇒積み重なって高く盛り上がっている。
【何とか見玉ふ】⇒何だと思いますか。
【心がまへ】⇒準備。用意。
【襁褓(むつき)】⇒おむつ。おしめ。
【黒きひとみをや持ちたらん】⇒黒い瞳をもっているでしょう。
【あだし名】⇒他の姓名。
【幼い(おさない)】⇒幼稚だ。愚かだ。
【寺に入らん日】⇒洗礼を受けさせるために教会に行く日。
【嬉しからまし】⇒嬉しいことでしょう。「まし」は推量。
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