『言葉についての新しい認識』は、池上嘉彦による評論文です。教科書・現代の国語にも収録されています。
ただ、本文を読むと筆者の主張が分かりにくい箇所もあります。そこで今回は、『言葉についての新しい認識』のあらすじや要約、語句の意味などを解説しました。
『言葉についての新しい認識』のあらすじ
①私たちは日ごろ使い慣れている言葉についてわかったつもりでいる。だが、子どもや外国人の思いがけない指摘に、言葉の持つ隠れた「意味する力」に気づくことがある。一つ一つの言葉には、かけがえのない個性があり、それは長い間にわたって文化の中で培われてきたものだ。そのことを認識しないかぎり、言葉を使っているつもりでも、言葉を使いこなせているとはいえない。
②言葉の問題が現在、多くの人たちの強い関心の的となっている。これは、今までのような関心の持たれ方とは違う。これまでの言葉の定義は、「言語は思想を表現し伝達する手段である。」というものであった。この定義だと、「思想」という中身が重要であり、手段である言語の役割は表面的、付随的なもの、要するにつまらないものとなる。だが、現代における言語への関心は、言語は「手段」以上の何かであるという認識から来ている。
③言語は、文化を象徴する機能も持つ。言語が違うと物の見方も変わってくる。それは言語が文化的な背景や思考様式と深くかかわっているからだ。私たち人間は、むしろ言語に支配されているのかもしれない。こうしたことに気がつくと、言語は単なる表現や伝達の手段以上のものであることが分かる。やはり、言語は表現、伝達の手段以上の何かである。
『言葉についての新しい認識』の要約&本文解説
本文は、内容により三つの段落に分けることができます。
まず第一段落では、私たちが日ごろ使い慣れている言葉について、わかったつもりでいることが問題視されています。
そして、日ごろの言葉の使い方を新しい目で見つめ直し、一つ一つの言葉が長い間にわたる文化によって培われてきたということを理解しない限り、言葉を使いこなすことはできない、ということが述べられています。
次の第二段落では、言葉の定義について言及しています。
言葉が単に思想を表現し、伝達する手段であるという定義を述べた上で、本当にそれだけのものとしてとらえてよいのか、新しい認識があるのではないか、という論理が導かれています。
第三段段落では、言語についての最終的な筆者の主張が述べられています。
言語は身についた文化や思考様式と深くかかわっており、このことを認識すると、言語はやはり表現や伝達の手段以上のものであるという結論が述べられています。
全体を通した筆者の主張としては、最後の第三段落に集約されていると言えます。
『言葉についての新しい認識』のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①体力をツチカう。
②物をソマツに扱う。
③過去をナイセイする。
④フズイ的な内容を示す。
⑤道徳心がケツジョしている。
⑥床とセッショクする。
⑦言語についてのニンシキ。
まとめ
今回は『言葉についての新しい認識』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。なお、本文中の重要語句については以下の記事でまとめています。