こそそめスープ 問題 あらすじ 意味調べノート 授業 解説 異世界とは

『こそそめスープ』は、高校教科書・現代の国語に出てくる作品です。ただ、本文を読むとその内容や筆者の主張が分かりにくい箇所もあります。

そこで今回は、『こそそめスープ』のあらすじや要約、語句の意味などを含めわかりやすく解説しました。

『こそそめスープ』のあらすじ

 

本文は、内容により3つの段落に分けることができます。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①私は大学を卒業して一年くらいたつまで、コンソメスープをコソソメスープだと思っていた。皆がそのスープを「こんそめ」と呼んでいることには気付いていたが、現実を改ざんしてまで、ずっとそれを信じ続けていた。私は、皆があえて「こんそめ」という間違った呼び名で呼んでいると勝手に解釈した。そして、レストランで本当のシェフが作った本物のスープこそが「こそそめ」という正式名称なのだろうと勝手な思い込みを発達させていった。

②大学を出て一年ほどしたあと、私はファミレスでアルバイトを始めた。その時のお客さんの反応とその後の友達からのメールで、私はこの世にこそそめスープが存在しないことを知った。だが、それからいくら日がたっても自分の中から「こそそめスープ」という存在が完全に消滅することはなかった。色々と考えた結果、私はこれからもこっそりと、こそそめスープのある世界で暮らしていくことにした。

③私以外にも、人は皆自分の作り上げた思い込みの世界で暮らしているのではないか。今、同じ場所を歩いている隣の人も、自分の作り上げた異世界で暮らしているのだと思う。同じ場所を歩いていても、脳が違う限り、私たちは違う光景の中にいるのだ。私はそれはすごく楽しいことだと思う。それぞれの世界を行き来できたらもっと楽しいし、そのドアをぜひ開けてみたいと思う。

『こそそめスープ』の要約&本文解説

 
200字要約私は現実を改ざんしてまでコンソメスープをコソソメスープだとずっと信じ続けていたが、ファミレスでアルバイトをした時の経験で、この世にこそそめスープが存在しないことを知った。私以外にも人は皆自分の作り上げた思い込みの世界で暮らしているところがあるだろう。今、同じ場所を歩いている隣の人も自分の作り上げた異世界で暮らしているのだと思うとそれはすごく楽しいことに思えるし、そのドアをぜひ開けてみたいと思う。(199文字)

筆者はまず、現実を改ざんしてまであることを信じ続けていたと言います。それは、「コンソメスープ」を「こそそめスープ」だと思っていた、ということです。

筆者は、「こんそめ」と呼ぶ場合は缶やレトルトのスープであり、「こそそめ」と呼ぶ場合は本格的なレストランのスープだと勝手な思い込みをしていました。

ところが、ファミレスでアルバイトをしていた時に、お客さんの激しいリアクションを見て、こそそめスープという呼び名はひょっとしてこの世に存在しないのでは?と思うようになります。さらに友達にメールで確認してみたところ、この世にそんな呼び名は存在しないということを知ります。

筆者はここで「ここそめスープ」とは口にしないようにしたものの、心の中では「こそそめスープ」という名前を消さずに生きていくことを決めます。その理由は、筆者にとってはこそそめスープのある世界の方が真実だと思うようになったためです。

筆者はこの経験により、人は皆自分の作り上げた思い込みの世界で暮らしているところがあることに気付くようになります。言い換えれば、人はそれぞれ違う考えや価値観を持っているということです。

そして筆者は、「人それぞれが持っている世界のドアを開けてみたい」「私の住む世界にも遊びに来て欲しい」などと述べています。

これはつまり、「他人の世界と自分の世界を共有して認め合いたい」という筆者の主張でもあります。

私たちは皆それぞれ違う考えを持っているため、相手の考えと違っていることが分かると、自分の心の中にある扉を閉めようとしがちです。

そうではなく、他人の考えを積極的に受け入れ、お互いの価値観を認め合うことが重要だということを、この作品は教えてくれるということです。

『こそそめスープ』の意味調べノート

 

【卒業(そつぎょう)】⇒学校の全課程を学び終えること。

【改ざん(かいざん)】⇒勝手に改め直すこと。

【修正(しゅうせい)】⇒不適当と思われるところを改め直すこと。

【解釈(かいしゃく)】⇒物事を自分なりに考えて理解すること。

【本格的(ほんかくてき)】⇒本来の方式に従うさま。

【さぞかし】⇒きっと。「さぞ」を強めていう語。

【称号(しょうごう)】⇒呼び名。名称。

【売り(うり)】⇒魅力。長所。セールスポイント。

【常連(じょうれん)】⇒いつも来る客。

【手前みそ(てまえみそ)】⇒自分で自分のことをほめること。自慢。

【うやうやしい】⇒相手を敬い、礼儀正しく丁寧である。

【凝視(ぎょうし)】⇒目をこらしてじっと見つめること。

【図に乗る(ずにのる)】⇒調子にのってつけあがる。

【消滅(しょうめつ)】⇒消えてなくなること。

【理屈(りくつ)】⇒物事の筋道。道理。

【すえ】⇒結果。あげく。※「いろいろ考えてみた末」で「いろいろ考えてみた結果」という意味。

【概念(がいねん)】⇒個々の事物から共通する性質を抜き出して構成される意味内容。

【~と言って疑わない】⇒~と信じてやまない。~と信じて疑わない。

『こそそめスープ』のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

①大学をソツギョウする。

ケンリを主張する。

③学士のショウゴウを得た。

④肩をフルわせる。

⑤自然にショウメツする。

リクツに合わない。

⑦異世界へのトビラ

解答①卒業 ②権利 ③称号 ④震 ⑤消滅 ⑥理屈 ⑦扉
問題2本文2行目の「片仮名だと分かりづらい」のはなぜか?
解答片仮名の「ソ」と「ン」は字の形が似ているため。
問題3「私は現実を改ざんしてまで、ずっとそれを信じ続けていた」とあるが、「現実を改ざん」とは、ここではどうすることを意味しているか?
解答現実にないものを、勝手な解釈や思い込みによって、あるものにしてしまうこと。
問題4「今、同じ場所を歩いている隣の人も、~自分の作り上げた異世界で暮らして~」とあるが、ここでの「異世界」とはどのような世界か?
解答それぞれの人間が自分の心の中に独自に作り上げた世界
問題5

次の内、本文の内容を表したものとして適切でないものを選びなさい。

(ア)私は大学を卒業して一年くらいたつまで、コンソメスープをコソソメスープだと思っており、皆がそのスープを「こんそめ」と呼んでいることに気づかなかった。

(イ)私はファミレスでアルバイトをした時に、お客であるおじさんの反応によりこそそめスープというものは、ひょっとしてこの世には存在しないのではないかと考えるようになった。

(ウ)私はこの世にこそそめスープが存在しないことを知ったが、ある意味では私にとってこそそめスープのある世界の方が真実なのではないかと思うようになった。

(エ)人は自分の作り上げた異世界で暮らしているのであり、私たちは皆違う光景の中にいるのだと考えるようになれば、それはすごく楽しいことである。

解答(ア)本文中には、皆がそのスープを「こんそめ」と呼んでいることに気づいていた。とある。「こんそめ」と呼ぶのは缶やレトルトのコンソメスープであり、皆はあえて「こんそめ」という間違った呼び名で呼んでいると勝手に解釈していたということ。

まとめ

 

以上、今回は『こそそめスープ』について解説しました。この作品は定期テストだけでなく感想文としても取り上げられることが多いです。ぜひ内容を正しく理解して頂ければと思います。