家族化するペット 解説 200字要約 意味調べノート あらすじ テスト問題

『家族化するペット』は、教科書・論理国語で学習する文章です。そのため、定期テストの問題にも出題されています。

ただ、本文を読むと筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、『家族化するペット』のあらすじや要約、意味調べなどを簡単に解説しました。

『家族化するペット』のあらすじ

本文は、三つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①近年、ペットを巡る状況は大きく変わった。これは、日本社会の大きな変動の中で、「ペットを家族とみなす人」が大きく増えたことによる構造的な現象である。宗教が衰退し、共同体が崩壊しかけている近代社会では、人々は存在論的不安を感じ、それを解消する手段として家族が心理的拠り所になる。加えて、市場原理主義が進行する現代社会では、家族の重要性がさらに増している。

②現実には、家族がいない人や、家族がいても家族に必要とされていない人が増えている。そんな中、ペットは、自分が必要で心配されている存在であることを「日々」実感させてくれる存在だ。理想的な家族への欲求と、現実の家族への不満のギャップに入り込んできたのが、家族ペットなのだ。

③豊かで格差のある現代社会では、ヴァーチャルなものに心理的にはまることで、存在論的不安から逃れようとする。なかでも、ペットは「自分が必要であり、心配されている」という感覚を毎日得られるので、他のバーチャルな存在より優れたものである。となると、ペットを心理的に必要不可欠な存在として、社会制度的に位置づける必要がある。そのために、ペットに関する社会的常識を作り出して、ペットの家族化を使いこなす知恵を社会は求められている。

『家族化するペット』の要約&本文解説

 

200字要約近年、ペットを家族とみなす人が増えてきたのは、社会の変化の中で存在論的不安に直面する人々が、不安を解消する手段として家族に心の拠り所を求めているからである。家族への理想と現実のギャップに入り込んできたのが、家族ペットなのだ。豊かで格差のある社会では、バーチャルな存在であるペットが救いになっているという現実がある。となると、ペットを心理的に必要不可欠な存在として、社会制度的に位置づける必要がある。(199文字)

まず第一段落では、近年、「ペットを家族とみなす人」が大きく増えている現象が取り上げられています。それは、社会の変化の中で孤独や不安を感じる人が多くなり、「家族の重要性」が増しているからだと筆者は分析しています。

次の第二段落では、ペットの存在について述べられています。1960年頃の高度経済成長期では、ほとんどの人が結婚し、仕事や家事、子育てなどに忙しく、ペットが入り込む余地はありませんでした。また、この頃は自分の働きで豊かな生活を築くことができたため、家族から必要とされている実感もありました。

しかし、現代のように豊かで成熟した社会では、家族の絆を実感する機会が以前と比べて減りました。このような、理想と現実のギャップに入り込んできたのが、ペットなのだと筆者は述べています。

第三段落では、最終的な筆者の結論が述べられています。

筆者は、豊かで格差のある社会では、ペットのことを心理的に必要不可欠な存在として、社会制度的に位置づける必要があると結論付けています。

これはつまり、ペットが重要な存在であることを社会全体で認め、それに基づいて法律や支援などの仕組みを整える必要があるという意味です。

具体的には、ペットに過度にお金を使うことを法律で規制したり、捨てられて処分されるペットを減らしたりといったことです。

現代社会の人にとっては、ペットはもはやなくてはならない存在になっています、そのため、ペットと人間がより良い関係を築くために、社会全体で責任を共有し、ペットと飼い主を支える仕組みを作る必要があるということを筆者は訴えているのです。

『家族化するペット』の意味調べノート

 

【ゆりかごから墓場まで】⇒人生の始まりから終わりまで。「ゆりかご」とは「赤ん坊を入れて揺り動かすかご」を指す。

【葬式(そうしき)】⇒死者をほうむる儀式。

【癒やし(いやし)】⇒心や体が楽になったり、疲れが取れたりすること。

【不可欠(ふかけつ)】⇒なくてはならないこと。

【拠り所(よりどころ)】⇒頼みとするところ。支えてくれるもの。

【共同体(きょうどうたい)】⇒共通の目的や価値観を持つ人々が集まり、協力し合って生活する集団のこと。例えば、家族や地域、会社などが共同体に当てはまる。

【崩壊(ほうかい)】⇒崩れること。

【看病(かんびょう)】⇒病人に付き添って世話をすること。

【余地(よち)】⇒余裕。機会。

【投影(とうえい)】⇒反映させること。映し出すこと。

【矛盾(むじゅん)】⇒つじつまが合わないこと。

【飢え(うえ)】⇒食べ物が足りなくてお腹が空いている状態。

【維持(いじ)】⇒物事の状態をそのまま保ちつづけること。

【つのる】⇒ますます激しくなる。漢字だと「募る」と書く。

【歯止めをかける(はどめをかける)】⇒物事が進行するのを止める。制限を加える。

『家族化するペット』のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

①宗教がスイタイする。

コドクを感じる。

③妻をカンビョウする。

④理想をトウエイする。

⑤生活をイジする。

解答①衰退 ②孤独 ③看病 ④投影 ⑤維持
問題2「構造的な現象」と対比的な語句は何か?本文中から8文字で抜き出しなさい。
解答一時的な流行現象
問題3『このような状況の中で、「ペットを家族とみなす人」が増えてきている』とあるが、このような状況とはどのような状況か?
解答現実に家族がいない人や、将来家族がいなくなる可能性が大きい人々が増え、現実に家族がいても、その家族が心の拠り所になるとは限らない状況。
問題4『そのギャップに入り込んできたのが、家族ペットなのだ。』とあるが、ペットはどのように入り込んできたのか?
解答家族の絆を実感したいが、現実にはそれを実感する機会が少ないというギャップがある中で、自分が必要であり、自分が心配されている存在であることを日々実感させてくれる存在として入り込んできた。
問題5『現代社会では、生活の中で、ヴァーチャルなものの占める比重が高まっている』とあるが、なぜか?
解答将来への不安がつのる現代社会では、人々は「心理的にはまる」ものを求め、はまることで存在論的不安から逃れようとするため。

まとめ

 

今回は、『家族化するペット』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。