『鏡としての他者』は、教科書・論理国語で学習する文章です。そのため、定期テストの問題にも出題されています。
ただ、本文を読むと筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、『鏡としての他者』のあらすじや要約、意味調べなどを解説しました。
『鏡としての他者』のあらすじ
本文は、三つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。
①私たちは、日常のあらゆる場面で、相手からどう思われているかを気にする習性を身につけている。どうしてそんなに人の目が気になるのか。それは、人の目が自分の姿を映し出してくれる鏡だからだ。自分の姿が客観的にどのように見えるのか。それを教えてくれるのが人の目である。
②人は、鏡がなければ、自分がどんな顔をしているのかを知ることはできない。それと同じで、他者の目という鏡に映し出されない限り、私たちは自分の人柄や能力といった内面的な特徴を知ることができない。他者の目に自分がどのように映っているかを知ることにより、誇りや屈辱のような感情が生じる。ただし、自分の評価された点やダメな点に認知的に反応できる人は、たとえ否定的評価を受けていることがわかっても、今後の改善に生かすことができる。その意味で、辛口の他者、価値観や性格の異なる他者とのつき合いも大切だ。そういう他者との出会いが、自分に対する気づきを与え、自分の成長のきっかけになることもある。
③自分のことは自分がいちばんよくわかっているつもりでも、結局はよくつかめない。人のことはよく見えるのに、自分のことがよく見えなかったりするのだ。そうしてみると、一番身近であるはずの自分が、実は遠い存在なのかもしれない。そういう意味では、自己とは他者であると言える。自己イメージは、いろいろな他者がこちらに抱くイメージによって作られていることが分かる。つまり、私たちが自分に対して持つイメージは、もともとは他者がこちらに対して抱いていたイメージなのだ。そのような意味で、自己は他者であるということになる。
『鏡としての他者』の要約&本文解説
筆者の主張を簡潔に述べると、「自己とは他者によって形成されるものだ」ということになります。
私たちは他者の評価を通して、自分の性格や能力を理解し、それによって喜んだり、落ち込んだりします。しかし、ここで大切なのは、他者の評価に振り回されるのではなく、それを成長のきっかけにすることです。
例えば、批判を受けても、それを改善のヒントとして活用できれば、自分をより良く変えていくことができます。
また、人は他人のことはよく見えるのに、自分自身のことはよくわからないものです。これは、自分自身が一番身近な存在でありながら、客観的に見ることが難しいからです。だからこそ、私たちは他者との関わりの中で自己を知る必要があるのです。
筆者は、「自己とは他者である」と述べています。つまり、私たちが持つ「自分のイメージ」は、結局のところ、他者が私たちに抱くイメージによって作られているということです。
具体例を挙げると、学校のクラスで周りから「明るい人」と言われている人は、自分でも「私は明るい性格なんだ」と認識するようになります。逆に、「おとなしいね」と言われ続けると、「私はおとなしい性格なんだ」と思うようになります。このように、他者の目が私たちの自己認識に大きく影響を与えているのです。
この考え方は、普段の人間関係を見直すヒントにもなります。他人の意見を気にしすぎる必要はありませんが、まったく無視するのも良くありません。むしろ、異なる価値観を持つ人や、自分に厳しい意見をくれる人と関わることで、新たな気づきを得て成長することができます。
筆者の主張を意識すると、他者の存在が単なる「評価者」ではなく、「自己を映す鏡」としての重要な役割を持つことがわかるでしょう。
『鏡としての他者』の意味調べノート
【正論(せいろん)】⇒一般的に正しいとされる意見や主張。
【習性(しゅうせい)】⇒長い時間をかけて身につけた、無意識の行動や傾向。
【客観的(きゃっかんてき)】⇒主観を抜きにして、公平な視点で物事をとらえるさま。
【好意的(こういてき)】⇒相手に対して親しみや思いやりを持つさま。
【腹を割る(はらをわる)】⇒遠慮せずに、正直に気持ちを話すこと。
【内面的(ないめんてき)】⇒外見や行動ではなく、心や性格に関するさま。
【屈辱(くつじょく)】⇒侮辱され、非常に恥ずかしい思いをすること。
【肯定的(こうていてき)】⇒物事を前向きに、良い面を認めるさま。
【認知的(にんちてき)】⇒認識や理解に関するさま。
【論理的(ろんりてき)】⇒筋道立てて考え、理屈に基づくさま。
【お節介(おせっかい)】⇒他人のことに過剰に干渉しすぎること。
【辛口(からくち)】⇒厳しく批判的なこと。
【一理(いちり)】⇒一部分において理屈が通っていること。
【突き詰める(つきつめる)】⇒細部まで徹底的に考え抜くこと。
【神経質(しんけいしつ)】⇒細かいことに過度に気を使うこと。
『鏡としての他者』のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①アイサツは人間関係の基本だ。
②テキセツな言葉遣いを心がける。
③コウテイ的な意見を大切にする。
④業務のカイゼンに取り組む。
⑤シンチョウに計画を進める。
いちばん身近であるはずの自分が、実はとても遠い存在なのかもしれない。
僕たちの自己イメージは、いろいろな他者がこちらに抱くイメージによって作られている。
次のうち、本文の内容を表したものとして最も適切なものを選びなさい。
(ア)人は他者の目を気にするが、それは本来不必要なことであり、できるだけ気にしない方がよい。
(イ)自分のことは自分が最もよく理解しており、他者の意見に左右される必要はない。
(ウ)自己の認識は他者の目を通して形成されるため、異なる価値観を持つ他者との関わりが成長につながる。
(エ)人は誰からも肯定的な評価を得ることで、より正確に自己を理解できるようになる。
まとめ
本記事では、『鏡としての他者』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。