いたちごっこ 意味 語源 由来 使い方 類義語 英語

「いたちごっこ」という慣用句をご存知でしょうか?

使い方としては、「まるでいたちごっこだ。」「いつまでたってもいたちごっこだ」などのように用いられます。ただ、そもそもなぜ「いたち」なのかと疑問に思う人も多いはずです。

そこで本記事では、「いたちごっこ」の意味や由来、類義語、英語などを解説しました。

いたちごっこの意味

 

最初に、「いたちごっこ」の意味を辞書で引いてみます。

【いたちごっこ(鼬ごっこ)】

双方で同じようなことの繰り返しで、いつまでもらちのあかないこと。

子供の遊戯の一。

出典:三省堂 大辞林

「いたちごっこ」には二つの意味がありますが、多くは①の意味として使われます。

すなわち、「双方で同じことを繰り返して、いつまでもらちがあかないこと」です。「らちがあかない」とは「物事が解決しないこと・決着がつかないこと」などを意味します。

例えば、オレオレ詐欺などの犯罪は、警察が取り締まったとしてもなかなか世の中からなくなることはありません。再び別の形の詐欺に変わり、同じような犯罪が繰り返されてしまうのが世の常です。

そこで、このような場面では「警察が詐欺を取り締まっても、いたちごっこである」などのように用いられることがあります。

つまり、両者が同じことを繰り返し、いつまでも決着がつかないことを「いたちごっこ」と呼ぶわけです。

いたちごっこの語源・由来

 

「いたちごっこ」は、江戸時代に行われていた子供の遊びに由来する言葉です。江戸時代では、「いたちごっこ」と呼ばれる子供の遊びが流行った時期がありました。

遊び方は、二人が「いたちごっこ、ねずみごっこ」と唱えながら、相手の手の甲をつねって自分の手をその上に乗せ、それを交互に繰り返すというものです。「ずいずいずっころばし」や「むすんでひらいて」のような手遊びと同じものと考えれば問題ありません。

では、なぜ「いたち」でなければならなかったのでしょうか?うさぎやくま、コアラやパンダといった、もっと子供たちに人気のある動物ではいけなかったのでしょうか?その理由は、手遊びのルールにあります。

相手の手の甲をつまみ、自分の手を重ねていくというシンプルなルールですが、この遊びは「素早くつまみ合う」という決まりがありました。その様子がいたちやねずみが素早く噛み付く様子に似ていたので「いたちごっこ」と呼ばれるようになったのです。

当時は、今のように娯楽があまりない時代ですから、子供たち同士でお互いにいたちが噛みつく真似をするように遊んでいました。それが、現在の「いたちごっこ」という言葉の由来なのです。

なお、「ごっこ」は「交互」もしくは「事」が転じたものと言われています。これは「鬼ごっこ」「おままごと」などの言葉もあるように、「お互いが交互に何かをすること」「まねごとをすること」といった意味で使われています。

いたちごっこも同様に、「いたちのように交互に噛みつくこと」「いたちのようなまねごとをすること」という解釈で考えれば分かりやすいでしょう。

いたちごっこの類義語

いたちごっこ 類義語 言い換え 同義語

続いて、「いたちごっこ」の類義語を紹介します。

押し問答(おしもんどう)】⇒お互いに自分の主張を譲らない様子。
水掛け論(みずかけろん)】⇒いつまでも結論が出ない議論のこと。
千日手(せんにちて)】⇒将棋やチェスで同じ手順を繰り返し、いつまでも局面が進まないこと。
埒が明かない(らちがあかない)】⇒事態が進展しないこと。決着がつかないこと。
堂々巡り(どうどうめぐり)】⇒思考・議論などが同じことの繰り返しで、全く先へ進まないこと。

類義語は「物事が進まない様子・決着がつかない様子」などを表した言葉となります。いずれも良い意味として使われるものではありません。

この中でも「埒が明かない」は、決着が着かないことを表す慣用句としてよく使われます。「埒が明かない」は、「いたちごっこ」とほぼ同じ意味なので、同義語と定義してよいでしょう。

いたちごっこの英語訳

 

「いたちごっこ」は、英語だと次のように用います。

doing a cat and mouse game(いたちごっこをする)」

a cat and mouse game(いたちごっこ)」

「いたちごっこ」を英語で表す場合、猫とネズミを使って表現するのが一般的です。猫はネズミを獲物として追いかけることから、転じて「延々と続くこと」を表します。

例文だと、次のような言い方となります。

They are playing a cat and mouse game.(彼らはいたちごっこをしている。)

This is like a cat and mouse game.(これはまるでいたちごっこだ。)

いたちごっこの使い方・例文

 

最後に、「いたちごっこ」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 警察と犯罪者のいたちごっこは、いつまで経っても終わらないものである。
  2. 偽ブランド品を摘発してもいたちごっこだ。いつも新たな偽物が出てくる。
  3. 新種のウイルスに対するワクチンの開発競争は、常にいたちごっこである。
  4. 彼らの喧嘩はいたちごっこで終わりがないので、聞いている方が疲れてしまう。
  5. どんなに頑張っても意味がない。これではまるでいたちごっこじゃないか。
  6. 彼と彼女の言い争いはいつもいたちごっこで、決着がつかないのは当たり前だ。
  7. 先週の会議は最終的にいたちごっことなり、次回へと持ち越すことになった。

 

「いたちごっこ」は、元々は子供の手遊びであったものの、現在ではあまり良い意味として使われることはありません。具体的には、「犯罪」と「取り締まり」、「ウイルス」と「ワクチン」、「口喧嘩」と「口喧嘩」といったものです。

世の中には、どう頑張ったとしても終わらないようなこと、らちがあかないようなことなどは存在します。これらの物事を「いつまでも同じことの繰り返しである」と嘆くような場面で「いたちごっこ」を使うようにします。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

いたちごっこ」=双方で同じことを繰り返して、いつまでもらちがあかないこと。

語源・由来」=子供の手遊びが、いたちが素早く噛み付く様子に似ていたため。

類義語」=「押し問答・水掛け論・千日手・埒が明かない・堂々巡り」

英語訳」=「playing a cat and mouse game」「a cat and mouse game」

「いたちごっこ」という言葉は江戸時代からありますが、現在でも日常的に使うことができます。由来を知ったからには、ぜひ普段の文章でも使ってみてはどうでしょうか?