今ここにある無数の未知 問題 学習の手引き テスト対策 意味調べ

『今ここにある無数の未知』は、教科書・現代の国語で学ぶ評論文です。ただ、本文を読むと内容が分かりにくいと感じる人も多いと思われます。

そこで今回は、『今ここにある無数の未知』のあらすじや要約、語句の意味などを簡単に解説しました。

『今ここにある無数の未知』のあらすじ

 

本文は、行空けにより3つの段落に分けられています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①地球上には現在、未知の場所はどこにもないのだろうか。私は今まで辺境の地を多く歩いてきたが、そこには生き物の痕跡が確かにある。都市に住む人々が北極は辺境だと思っても、そこには動物や人間の営みは、細々と脈々と受け継がれている。そこに暮らす人々にとっては、辺境などではなく中心なのだ。

②一般的な観光旅行は、ガイドブックなどに紹介された通りに進む。一方で、そうした旅行から離れて、旅を続ける人もいる。ここで言う「旅」とは決められたスケジュール通りに動くことではなく、精神的な営みを含んでいる。旅で大切なのは、何を体験するかではなく、心を揺さぶる何かに向かい合ってるかどうかである。本来の旅とは、自己と世界との関係を確かめ、身体を通して自分が生きている世界について知る方法ではないだろうか。

③世界は自分との関係の中で存在する。また、自分も世界との関係の中で生きている。地理的な未踏の地がなくなったとしても、「一人の私」はさまざまな境界線を飛び越え、未知を発見する旅に出ることができる。旅のフィールドは、目の前に今ここにあるのだ。

『今ここにある無数の未知』の要約&本文解説

 

200字要約都市の人々が辺境だと思ってる場所でも、その地に暮らす人々にとってみれば辺境など存在せず、生きている人の数だけ「中心」がある。本来の旅は、自己と世界との関係を確かめ、身体を通して自分が生きている世界について知る方法であり、精神的な営みを含んでいる。世界は自分との関係の中で存在し、自分は世界との関係の中で生きている。旅のフィールドは目の前の今ここにあり、無数の未知を発見する旅に出ることができるのだ。(199文字)

筆者はまず第一段落で、「地球上に未知の場所はどこにもないのだろうか?」という問題提起をしています。筆者はこれまで、北極や南極、チョモランマといった辺境の地を歩いてきました。そこでは数々の動物の営みがあり、今自分がここにいることを奇跡だと感じました。

そして、そこで暮らす人々にとっては辺境などは存在せず、生きている人の数だけ中心があることに気付きます。つまり、辺境などという言葉は私たちの心の中にあるだけであり、住んでいる場所自体がその人の「中心」だということです。

第二段落では、「本来の旅」について触れています。筆者は、旅とは精神的な営みを含むものであり、心を揺さぶる何かに向かい合うことが大事だと述べています。

例えば、人を好きになったり、新しい仕事を始めたり、生まれ育った土地を離れたり、結婚したり子育てをしたりといったことです。これらはすべて旅の一部なのだと筆者は言います。

そして、本来の旅とは、自分探しのような内面へ向かうものではなく、自分が生きている世界について知る方法(自分の外面へと向かうこと)だと述べています。

第三段落では、地理的な未踏の地はなくなったとしても、「一人の私」は様々な境界線を飛び越え、無数の未知を発見する旅に出ることができると述べています。ここでは、第一段落の問題提起に対して筆者自身が答えているのがポイントです。

最終的に筆者は、旅のフィールドは、ここやあそこではなく、目の前に今ここにあるのだ。という一文で締めくくっています。これはつまり、私たちの日々の生活が「旅」そのものであり、身近な日常生活の中に「旅」は存在する、という意味です。

『今ここにある無数の未知』の意味調べノート

 

【未踏(みとう)】⇒まだ誰も踏み入れたことがないこと。

【久しい(ひさしい)】⇒時が長く経過している。長い時間がたっている。

【記載(きさい)】⇒書物などに、書いて記すこと。

【既知(きち)】⇒すでに知っていること。

【衛星写真(えいせいしゃしん)】⇒人工衛星を使い、上空から撮影した写真。

【隅々(すみずみ)】⇒あらゆる方面。

【未知(みち)】⇒まだ知られていないこと。

【辺境(へんきょう)】⇒中央から遠く離れた地帯。

【著しい(いちじるしい)】⇒はっきりとわかる。

【極北(きょくほく)】⇒北の果て。はるか北の方。

【氷海(ひょうかい)】⇒一面に氷の張った海。

【痕跡】⇒何事かがあったあと。

【奇跡(きせき)】⇒常識では考えられない不思議な出来事。

【荒野(こうや)】⇒荒れ果てた野原。

【営み(いとなみ)】⇒物事をすること。行為。

【脈脈(みゃくみゃく)】⇒長く続いて絶えないさま。

【彼の(かの)】⇒あの。その。

【ほかならない】⇒それ以外のものでは決してない。

【瞬時に(しゅんじに)】⇒すぐに。またたく間に。

【なぞる】⇒事実や文章などをたどって、再現する。

【逸脱(いつだつ)】⇒本筋からそれること。

【か否か(かいなか)】⇒もしくは、そうではないか。

【没頭(ぼっとう)】⇒物事に熱中すること。

【多かれ少なかれ(おおかれすくなかれ)】⇒多くても少なくても。いずれにしろ。

【途上(とじょう)】⇒途中。

【違和感(いわかん)】⇒しっくりこない感じ。

【ナショナル】⇒国民的。民族的。

【フィールド】⇒場所。

『今ここにある無数の未知』のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

ミトウの地を発見する。

エイセイ写真をとる。

ミャクミャクと続く精神。

④本来の目的からイツダツする。

⑤仕事にボットウする。

⑥隣の家とのキョウカイ

解答①未踏 ②衛星 ③脈々 ④逸脱 ⑤没頭 ⑥境界
問題2「生きている人の数だけ「中心」がある」とはどういうことか?
解答例住んでいるところがその人の「中心」になるということ。
問題3「精神的な営み」とは、ここではどういうことを表すか?本文中の語句を使い答えなさい。
解答例心を揺さぶる何かに向かい合うこと。
問題4「様々な境界線」とは、ここではどのようなものを指しているか?本文中の語句を使い答えなさい。
解答例ナショナルな枠組みや言語、性など、旅の中で意識させられるような、自分について回るあらゆるもの。
問題5

次の内、本文の内容を表したものとして適切でないものを選びなさい。

(ア)筆者は辺境の地を歩いた際に、生き物の痕跡と出会ったことでほっとし、わけもなく涙が出そうになった。

(イ)一般的な観光旅行は、実際に見たり触れたりする喜びはあるが、事前に知っていた情報を大きく逸脱することはない。

(ウ)「自分探しの旅」に違和感を覚えるのは、それは自分自身が心を揺さぶられる何かにとらわれているからである。

(エ)人は旅の中で、国籍や母国語、性別など自分について回るあらゆるものを意識させられることになる。

解答(ウ)筆者は、「自分探しの旅」に違和感を覚えるのは、目的が外界ではなく自分の内面へと向かっているからだと述べている。また、本来の旅は自分を変えるために行うものでも癒しのために行うものでもないと述べている。

まとめ

 

以上、今回は『今ここにある無数の未知』について解説しました。ぜひ定期テストなどの対策として頂ければと思います。