遺憾の意を表する 意味 レベル 効果 文章 例文

日々のニュースを聞いていると、「遺憾の意を表する」という言い方をよく聞きます。特に、大臣や総理大臣などの政治家が好んで使っています。

ただ、「遺憾の意」とはどのような意味を持っており、どれほどの怒りのレベルなのか?といった疑問があります。そこで今回は、「遺憾の意」の例文や効果、類義語・英語訳などを含め詳しく解説しました。

遺憾の意の意味

 

遺憾の意」は「いかんのい」と読みます。意味は「残念である・心残りであるという気持ち」を表したものです。

主に、「遺憾の意を表する」「遺憾の意を表明します」などのように用います。通常は、相手の行動が期待外れであったり思いもよらない残念な行動であったりすることを非難するような際に使われます。

例えば、よくあるケースとして北朝鮮がミサイルを発射した際に、日本政府の外務省が「遺憾の意を表明します。」などのように言います。

他には、企業の社員が不祥事を起こしてしまった際に、社長が記者会見で「遺憾の意を表明します。」と言ったりもします。

「遺憾」の「遺」は、「遺産」「遺書」などの熟語があるように「のこす」という意味があります。また、「憾」という字は会意兼形声文字で「恨み・不満足」という意味があります。

この事から、「恨みや不満足をのこす(消えない)」という意味で「遺憾」は使われているわけです。

「遺憾」の語源を確認すると、通常の残念な気持ちよりも、やや強い不満感や恨みが継続している精神状態である事が分かるかと思います。

遺憾の意のレベル

 

「遺憾の意」は、他国の取った行動に対して政府が公式に文書を発表する際によく使われます。

ただ、実際にはどれほど残念な気持ちを表しているのかが分かりにくいです。実際の所、「何もしない」という場合も多いからです。

この件について、国が出す怒りのレベルがどれくらいの程度なのかを示した目安があるようです。

日本の怒りレベル

———— (仏のニッポン) ————

Lv1 推移を見守りたい

Lv2 対応を見守りたい

Lv3 反応を見守りたい

———— (意思表示するニッポンの壁) ————

Lv4 懸念を表明する

Lv5 強い懸念を表明する

———— (怒りを示すニッポンの壁) ————

Lv6 遺憾の意を示す ← 今ココ

Lv7 強い遺憾の意を示す

———— (キレ気味のニッポンの壁) ————

Lv8 真に遺憾である

———— (キレちまったよ・・・) ————

Lv9 甚だ遺憾である

———— (大日本帝國) ————

Lv10 朕茲ニ戦ヲ宣ス

出典:ピクシブ百科事典

この目安によると、「遺憾の意」はレベル10段階まである内のレベル6に該当します。レベル6というのは、キレ気味の段階まではいかないものの、一応は「怒りを示す」というレベルには達しています。

したがって、表向きでは「残念です」とは言っていても内心は「怒り」という感情を示唆しているのが「遺憾の意」だと言えます。

ただ、一言で「遺憾の意」と言っても前後の文脈次第で変わってくるのがこの言葉の特徴です。

例えば、「強い遺憾の意を示す」だと単に「遺憾の意を示す」よりも怒りを内に込めた表現です。さらに、「真に遺憾です」や「甚だ遺憾です」だと、いつ感情が爆発してもおかしくない状況です。

日本人の気質からして、ギリギリまで我慢して最後に爆発するという可能性もあります。そのため、聞き慣れている言葉だからと言って「何もしない」とは断言できないのが「遺憾の意」ということになります。

遺憾の意の効果は?

遺憾の意 効果 意味ない?

政治家が「遺憾の意を表明します」と発言すると、「効果がない」「意味がない」などの意見もチラホラ出てきます。

しかし、このような言い回しは何も日本だけが特別にしているわけではありません。世界中の外交官が使っている、言わばテクニックです。

感情をストレートに表現すると、話がこじれたり過去の問題が再発したりすることがよくあります。特に、隣国との貿易や外交をする上では起こり得ることです。

そのため、あえて分かりにくい言葉を使うことで、諸外国との秩序を守っているのです。

また、遠回しな日本語を使うことで逆に「言葉の裏にある意味をくみ取れよ?」という言外の圧力をかける効果もあります。

したがって、「遺憾の意」という表現には一定の効果があるということは言えます。

アメリカの大統領や中国の国家主席なども、諸外国に対して同じようなニュアンスの言葉を使うことがあります。それは、曖昧な表現を使うことで自国に対してメリットがあると考えているからです。

遺憾の意の類義語

 

「遺憾の意」は、必ずしもこの表現を使わなければいけないわけではありません。以下は、簡単な言い換え表現となります。

  • 非常に残念に思います。
  • 非常に心残りです。
  • 非常に心苦しいです。
  • 非常に口惜しく思います。
  • 誠に遺憾です。
  • 誠に残念に思います。
  • 誠に心残りに感じます。
  • 誠に遺憾に存じます。

類義語は、前に「非常に」「誠に」などの語を付けます。その後に「残念な気持ち」や「心苦しい気持ち」を示す表現を続けるようにします。

「遺憾」の場合は、国や企業などが公式の会見をする際に使われます。一方で、上記の類義語は主にビジネスメールなどで使われる表現となります。

どちらも自身の残念な気持ちを丁寧な表現にしている点は変わりありません。

遺憾の意の英語訳

 

「遺憾の意」は、英語だと「regret」と言います。

「regret」は「後悔・残念・落胆」など複数の意味がありますが、「遺憾」という意味も含んでいます。

そのため、「express regret」「express one’s regret」(遺憾の意を表する)などのように用いることができます。

例文だと、次のような言い方です。

Japan expressed regret for the country.(日本はその国に対して遺憾の意を表明した。)

He expressed his regret.(彼は遺憾の意を表明した。)

なお、似たような単語で「pity」がありますが、「pity」は「(自分より弱い立場の人への)哀れみ・同情・残念な気持ち」という意味です。「regret」とはニュアンスが異なるので注意して下さい。

遺憾の意の使い方・例文

 

最後に、「遺憾の意」の使い方を具体的な例文で紹介しておきます。

  1. 今回の北朝鮮のミサイル発射を受け、外務大臣は遺憾の意を表明した。
  2. 中国外務省は北朝鮮のロケット発射に対して遺憾の意を表明しました。
  3. 東アジア諸国は、中国の宣戦布告ともとれる行動に、遺憾の意を表明した。
  4. 人気アイドルの不適切な問題発言を受け、所属事務所は遺憾の意を示した。
  5. 相手側の発言は最上級の侮辱行為であるため、遺憾の意を表するつもりです。
  6. 社員がトラブルを起こしたことで、代表者である社長が遺憾の意を表明した。

 

「遺憾の意」は、主に政治家や経営者などが公式に会見を行う際に使われます。特に、日本政府の外交を司る外務省の公式発表でこの言葉が使われることが多いです。

逆に、日常会話などで使われることはほぼありません。普段の会話の中で用いる際は、単に「非常に残念です」などのように言います。

なお、「遺憾の意」には「謝罪」の意味は含まれていないので注意して下さい。例えば、自社の不祥事や誰かの問題発言に対して「遺憾の意を表します」と言うのは誤用です。

この場合は「大変申し訳ございませんでした。」「深くお詫び申し上げます。」などのように用いるのが正しいです。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

遺憾の意」=残念である・心残りであるという気持ち

主な使い方」=「遺憾の意を表する」「遺憾の意を表明します」など。

レベル」=表向きでは「残念」だが、内心は「怒り」を示唆しているレベル。

類義語」=「非常に残念・非常に心残り・誠に残念・誠に心残り」など。

英語訳」=「express regret」「express one’s regret」

「遺憾の意」という表現は、諸外国との秩序を守ったり、言外の圧力をかけたりなど一定の効果はあります。ただ、この言葉自体に何か具体的な行動を起こすような要素は含まれていません。そういう意味では、一部の人から「効果がない」と誤解されてしまう可能性も高い表現だと言えます。