居合刀 真剣 違い 模造刀 模擬刀 重さ 重量

「刀」の種類を表す言葉で、「居合刀」と「真剣」がよく使われます。さらに、「模造刀」や「模擬刀」などの名称も耳にします。

これらの言葉は一体どんな違いを持っているのでしょうか?今回は、「居合刀」と「真剣」の違いや使い分けを詳しく解説しました。

居合刀の意味・読み方

 

まず、「居合刀」は「いあいがたな」と読みます。

居合刀」とは「居合道などの演武・見世物に用いられる刀のこと」を意味します。

「居合道(いあいどう)」では、一般に刃(は)があるような刀を用いるということはしません。

一見、刃があって本物の武器のようにも見えますが、実際には切ったり刺したりできるような刀は用いないのです。

「居合刀」は、ある程度の姿、形、重さなどは本物の刀と同様に作られています。また、ちょっとやそっとのことでは物理的に壊れないような設計で作られています。

これは見世物などで演武をする上で、激しく刀を動かしたり抜き差ししたりことを想定しているためです。しかし、やはり本物ではない作り物ということで、値段については数万円クラスと安いものが多いようです。

なお、「居合道」だとしても刀を使い慣れた熟練者ともなれば、場合によっては本物の刀が使われることもあります。

真剣の意味・読み方

 

真剣」は「しんけん」と読みます。

意味は「本物の刀のこと」です。本物の刀というのは、すなわち「日本刀」のことを表します。

「日本刀」は鉄から作られており、木から作られる木刀(ぼくとう)や竹から作られる竹刀(しない)とは明確に区別されています。

鉄は本来切れ味をよくしようとすると折れやすくなり、逆に折れにくくしようとすると曲がりやすくなる性質があります。

しかし、そういった鉄の概念を覆し、「折れず・曲がらず・よく斬れる」といった3要素を兼ね備えたものが日本刀なのです。

日本刀は真剣なので、基本的に価格が高いものがほとんどです。

物によっても値段は上下しますが、多くは数十万以上、高いものだと数千万クラスのものもあります。場合によっては、億単位の真剣もあるようです。

ちなみに、よく使われる「真剣勝負」とは「本物の刀を使って勝負すること」を表した言葉です。

本物の刀であることから、決闘すると相手が怪我したり場合によっては死んでしまうようなこともあります。

この事から、「真剣勝負」=「本気で勝負する」という意味で用いられるようになったということです。

現在では実際に刀で争うような決闘だけでなく、スポーツやゲームなどの対象にも用いられています。

また、「勝負」という言葉を省略して「真剣」のみを用いるようなこともあります。

居合刀と真剣の違い

居合刀 真剣 違い 使い分け

以上の事から考えますと、両者の違いは次のように定義できます。

居合刀」=居合道などの演武に用いられる刀。

真剣」=本物の刀。(日本刀)。

つまり、簡単に言えば「居合道に用いられる真剣に近いものが居合刀。本物の刀が真剣」ということです。

「居合刀」は、居合や剣舞のために用いられますが、重量バランスは真剣に近く見た目や形も似ているものが多いです。ただ、刃の付いていない素材なので磁石ではくっ付きません。

一方で、「真剣」の方は鉄でできているので刃のついた部分は磁石でくっ付くという特徴があります。

また、真剣を手に入れる際には登録証が必要となります。登録証なしに真剣を所有するのは、現在の日本の法律では違法です。

なお、すでに説明したように、居合道だとしても必ずしも居合刀を使うとは限りません。

居合道は段位制になっているので、五段以上などの段が高くなると刀の使い手も熟練者が増えてきます。そのため、場合によっては真剣を使うようなこともあるのです。

ただ、一般的には居合道では居合刀を使うことがほとんどです。この辺りの使い分けは場面によっても異なってきますが、例外があるということは頭に入れておくとよいでしょう。

模造刀・模擬刀の意味

 

「居合刀」と「真剣」に関連した言葉で、「模造刀」と「模擬刀」があります。

模造刀(もぞうとう)」とは文字通り、「してった」すなわち「他の刀を真似して造った刀」のことです。すでに紹介した「居合刀」も「模造刀」に含まれます。

ここでいう真似とは「日本刀などの本物の刀を真似する」という意味だと考えて下さい。

ただ、「模造刀」を実際に作る時は、真剣を作る時に使われる鉄と鋼は使いません。この2つ以外の金属を用い、日本刀を作ります。

具体的に言いますと、銅やアルミニウム、亜鉛合金などの合金類です。これらの金属によって同じ製法を使わずに、似たような刀を作るということです。

さらに言うと、「模造刀」は形が日本刀と酷似していますが、刃が付いていないという特徴があります。

そのため、日本刀本来の用途である武器とは異なる目的で使われることが多いです。例えば、床の間に飾るといった観賞用での目的です。

そして、もう一つの「模擬刀(もぎとう)」ですが、「模擬刀」も同じく「他の刀を真似して造った刀」を意味します。ただ、こちらはもっと用途が限定されています。

「模擬刀」は、武道の稽古や演武などで使われる「模造刀」を差します。すわなち、模擬刀は模造刀の一種ということです。

「模造刀」という広いくくりの中に、「模擬刀」が含まれるようなイメージです。

これらの使い分けを行っている理由は、稽古や演武で「模擬刀」を使う際に、「模造刀」であっても真剣に見立てているためだと言われています。

つまり、「模造刀」が単に日本刀に似せて造られているだけなのに対し、「模擬刀」は「日本刀に見立てる」ような意味を込めているということです。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

居合刀」=居合道などの演武・見世物に用いられる刀

真剣」 =本物の刀。(日本刀)

模造刀」=他の刀を真似して造った刀。(武器用、観賞用など様々な用途。)

模擬刀」=他の刀を真似して造った刀。(主に演武としての用途。)

「真剣」は正真正銘、本物の刀です。対して、「居合刀」は演武用の刀です。「模造刀」は広い意味を持った言葉なので、「居合刀」「模擬刀」などは「模造刀」に含まれることになります。