一つの花 あらすじ 意味調べ テスト 教科書 問題

『一つの花』は、小学校の国語の教科書に出てくる作品です。そのため、学校のテストにも出されています。

そこで今回は、『一つの花』のあらすじや教科書の解説、言葉の意味などをまとめました。

『一つの花』のあらすじ

 

あらすじ

幼い少女のゆみ子は「一つだけちょうだい」が口ぐせだった。まだ戦争がはげしかったころで、食べるものは、おいもや豆、かぼちゃくらいしかなかった。ゆみ子のお母さんも彼女に満足いく食べものをあげることができず、「一つだけよ。」と言って聞かせた。

それからまもなくして、ゆみ子のお父さんは戦争に行かなければならなくなった。お父さんが戦争に行く日、お母さんとゆみ子はお父さんを見送りにきた。ゆみ子はお父さんのカバンの中におにぎりが入っているのを知っていたので、「おにぎり、一つだけちょうだい」と言った。

ゆみ子は「一つだけ。一つだけ。」と何度も言った。そして、お父さんのおにぎりを駅に行くまでにすべて食べてしまった。それでもゆみ子はおにぎりを「一つちょうだい」と言ったが、もうおにぎりはなかった。

そこでお父さんは、わすれられていたようにさいていた一輪のコスモスの花を見つけて、ゆみ子にあげた。「ゆみ。さあ、一つだけあげよう。一つだけのお花、大事にするんだよ」と言い、お父さんは汽車に乗って行った。

それから十年後、ゆみ子は成長し、お母さんと二人で暮らしていた。ゆみ子は家の手伝いをするしっかり者の女の子になっていた。ゆみ子が暮らす小さな家は、コスモスの花でいっぱいに包まれていた。

『一つの花』の教科書解説

 

『一つの花』は、ある家族の戦争中の様子を書いた物語です。登場人物としては、ゆみ子・お母さん・お父さんの3人で、ゆみ子の年は、1~2歳くらいだと考えられます。

また、本文中には、お父さんを見送る時に「遠い汽車の駅まで送って」と書かれていることから、家の近くに駅がない小さな町に三人が住んでいることが分かります。

さらに、10年後の様子を書いた場面では、「とんとんぶきの小さな家」と書かれていることから、ゆみ子は小さな家に住んでいることになります。

つまり、小さな町の小さな家に住んでいる三人の家族を描いた戦争中のお話ということになります。

まず最初に、ゆみ子がお母さんに対して口ぐせのように「一つだけちょうだい」と食べ物をおねだりしている様子が書かれています。

このことから、戦争によって食べ物が不足し、ゆみ子の家族はまずしい状況にあることが分かります。

食べ物がたくさんある今の時代には考えられませんが、当時の戦争中の日本は食べ物が不足しており、このようにまずしい家族がたくさんあったのです。

次に、物語はお父さんが戦争へ行く場面へとうつります。

お父さんが戦争へ行く日、ゆみ子は駅に着くまでにおにぎりをすべて食べてしまいました。それでもゆみ子は「一つだけ。一つだけ」とおねだりをするため、お父さんは一つの花を見つけてゆみ子にあげました。

ここでの問題は、なぜお父さんはゆみ子に「一つの花」をわたしたのか?ということです。

本文中にははっきりとした答えは書かれてはいませんが、おそらくはゆみ子へ大事なメッセージを伝えるためだったと考えられます。

たとえば、「この花のように、たった一つの自分の命を大切にすること」「この花のように、強くたくましく生きることの大切さ」などを伝えるためです。

あるいは、「一つの花」に「ゆみ子とお母さんを守るお父さんの代わりになってほしい」という願いをこめてゆみ子にわたしたのかもしれません。

そして最後に、戦争が終わった10年後のゆみ子の様子が書かれています。ここでは、「ゆみ子は、お父さんの顔を覚えていません。」と書かれています。

このことから、お父さんは戦争でなくなり、家族のところにはもう戻ってこれなくなってしまったことが分かります。

しかし、ゆみ子の家のまわりはコスモスでいっぱいに包まれているとも書かれています。

お父さんはなくなってしまったけども、ゆみ子とお母さんは平和になった町の中で、二人は幸せそうに生きているという内容で最後は終わっています。

作者が伝えたったことは?

 

作者はこの話をとおして、わたしたちに何を伝えたかったのでしょうか?

これはいろいろな考えかたがあるため、何か決まったこたえがあるというわけではありません。

あくまで、例として考えてもらえればと思います。

一つは、「戦争のおそろしさ」です。

戦争というのは、いつの時代であってもおそろしいものです。なぜなら、多くの人の命をうばい、家族の生活をまずしくしてしまうからです。

作者は、こんなに小さな家族ですら、その幸せをうばってしまう「戦争」というのは、とてもおそろしいということをわたしたちに伝えたかったのかもしれません。

もう一つは、「命の大切さ」です。

わたしたちの命は、みんな一つしかありません。二つあるということはなく、かならず一つしかないです。

それがこの作品のタイトルにもなっている、「一つの花」とも関係しています。

お父さんは、ゆみ子に「一つだけのお花、大事にするんだよ」と言いました。

作者は、お父さんがゆみ子にわたした一輪の花のように、「一つしかない自分の命を大切にすること」をこの話を通じて伝えたかったのかもしれません。

『一つの花』の意味調べノート

 

【最初(さいしょ)】⇒いちばんはじめ。

【戦争(せんそう)】⇒軍隊と軍隊が兵器を使って争うこと。

【配給(はいきゅう)】⇒国が物を一人一人に配ること。戦争をしているときは食べ物が少なかったため、きっぷをもとに国民に配られた。

【飛行機(ひこうき)】⇒空中を飛行する航空機(こうくうき)。

【口ぐせ(くちぐせ)】⇒くせのようにいつも言う言葉。

【知らず知らず(しらずしらず)】⇒知らないうちに。よく分からないままに。

【一生(いっしょう)】⇒生きている間。生まれてから死ぬまでの間。

【じょうぶ】⇒けんこうで体が強いこと。

【おぶる】⇒おんぶする。「おぶわれる」で「おんぶされる」という意味。

【汽車(きしゃ)】⇒鉄道(てつどう)の列車(れっしゃ)のこと。

【防空頭巾(ぼうくうずきん)】⇒戦争中に使われた頭などを守るためにかぶる、わたが入った頭巾。「頭巾(ずきん)」とは「頭にかぶる、ふくろの形をした布(ぬの)のこと。」

【泣き顔(なきがお)】⇒泣いている顔。

【たえず】⇒止まることなく。

【勇ましい(いさましい)】⇒おそれずに、むかっていくさま。ゆうかんなようす。

【軍歌(ぐんか)】⇒軍隊の兵士の気持ちを高めるための歌。

【プラットホーム】⇒駅にある電車にのりおりするための場所。

【兵隊(へいたい)】⇒軍隊に入って戦争をする人。

【いよいよ】⇒ついに。とうとう。

【あやす】⇒赤ちゃんや小さい子供のきげんをとって、なだめすかすこと。

【ぷいと】⇒急に。とつぜん。

【一輪(いちりん)】⇒開いた一つの花。

【とんとんぶき】⇒こけら板だけでふいた屋根のこと。こけら板を重ねてクギをうつときに「トントン」とリズムよく音がすることから「とんとんぶき」とよばれる。

【ミシン】⇒布などをぬい合わせたりするときに使う機械(きかい)。

【買い物かご】⇒買い物をしたときに、買ったものを入れるために持ち歩くかご。

【スキップ】⇒片足で二歩ずつ交互(こうご)に軽くとびながら進むこと。

まとめ

 

今回は、『一つの花』について解説しました。ぜひテスト勉強のために、もう一度読みなおしていただければと思います。