グローバリゼーションと文化 要約 あらすじ 意味調べノート 解説 漢字 『グローバリゼーションと文化』は、教科書・論理国語で学習する文章です。高校の定期テストの問題にも出題されています。

ただ、実際に文章を読むと筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、本文のあらすじや要約、意味調べなどを解説しました。

 『グローバリゼーションと文化』のあらすじ

 

本文は、四つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを紹介していきます。

あらすじ

①現代は「グローバリゼーションの時代」と称される。これは、「モダン」が加速ないし拡張、深化した「スーパーモダン」の時代として捉えることができる。また、近代の論理と力学を支えてきた文化的・制度的枠組みが揺さぶられていく「ポストモダン」の時代として捉えることもできる。このように、グローバリゼーションはスーパーモダンとポストモダンの二つのベクトルを持っている。

②グローバリゼーションの時代にあっても、国家が退場することはない。確かに、ポストモダンでは、国家の機能や権限は相対化されているが、一方で、スーパーモダンの時代では、国家が競争の牽引役や調整役である面も少なくない。むしろ国家の役割がより一層重要になっている局面さえある。今日のグローバリゼーションの時代では、より重層的なガバナンス(統治)が求められる。言語政策などについても、グローバル/リージョナル/ナショナル/ローカル/コミュナルという重層的な位相を踏まえながら考える必要がある。

③「普遍主義の個別化」と「個別主義の普遍化」の相互作用を指す「グローカリゼーション」が重要である。グローバリゼーションを巧みに飼いならすことで、それに成功しているように見受けられる事例は多く存在する。しかし、グローバリゼーション肯定派の言説が常に正しいわけではない。グローバリゼーションによる問題の深刻化も指摘されている。

④グローバリゼーションの負の側面を制御し、正の側面を活用して、飼いならし、持続可能なものにしていかなければならない。「文化」の「使われ方」への批判だけでなく、「文化」の「使い方」に対する創造力が問われている。

 『グローバリゼーションと文化』の要約&本文解説

 

200字要約現代のグローバリゼーションは、近代化を加速する「スーパーモダン」と、国家の枠組みを相対化する「ポストモダン」の二面性を持つ。したがって、単一の統治形態ではなく、より多層的なガバナンスが求められる。また、「普遍主義の個別化」と「個別主義の普遍化」の相互作用を指す「グローカリゼーション」が重要となる。グローバリゼーションを持続可能なものにするには、「文化」の「使い方」に対する創造力が必要である。(197文字)

現代のグローバリゼーションは、経済や文化、情報の国際的な結びつきを加速させる現象であり、その影響は世界中で感じられています。このグローバリゼーションには、二つの大きな側面があります。

一つは「スーパーモダン」、つまり近代化の加速です。市場経済や情報通信技術の発展により、現代はより効率的で迅速な社会に変化しており、これは近代化がさらに進んだ「スーパーモダン」として表現されます。

もう一つは、「ポストモダン」です。これは、国家の枠組みや文化的な価値観が多様化し、これまでの単一的な枠組みが相対化されるというものです。特に、国民国家という概念が揺らぎ、巨大企業や市民社会組織が重要な役割を果たすようになった点が挙げられます。

このように、グローバリゼーションは、近代的な論理と力学がさらに強化される一方で、国家や文化などの既存の枠組みが揺さぶられるという二重性を持っています。そのため、現代では単一の統治形態では対応できず、より多層的で柔軟なガバナンスが求められています。

さらに、「グローカリゼーション」という概念が注目されています。これは、「普遍主義の個別化」と「個別主義の普遍化」という相互作用を指します。具体的には、グローバリゼーションの影響を受けつつも、各地の文化や地域性が個別に表れる現象です。

例えば、マクドナルドやスターバックスは、世界中で展開しながらも、各国の文化や嗜好に合わせたメニューを提供しています。このような企業は、グローバルなブランドとしての統一性を保ちながらも、地域特有の要素を取り入れています。

このように、グローバル化が進んでいく中でも、地域ごとの特色や文化が守られ、それらが世界中に広がる動きが見られます。グローバリゼーションは単なる均質化ではなく、多様性を持ち続けるものとして捉えられるのです。

最終的に筆者は、グローバリゼーションを持続可能なものにするためには、「文化」の「使い方」に対する創造力が問われると述べています。

これはつまり、文化が単に消費されるだけでなく、創造的に活用されることで、グローバリゼーションの負の影響を制御し、より良い未来に繋がる可能性を生み出すということです。

 『グローバリゼーションと文化』の意味調べノート

 

【グローバリゼーション】⇒経済・文化・情報などが、国境を越えて一体化していく現象。

【恣意的(しいてき)】⇒気ままで自分勝手なさま。個人の判断や都合で決めるさま。

【発端(ほったん)】⇒物事のはじまりやきっかけ。

【瓦解(がかい)】⇒組織や制度などが崩れてばらばらになること。

【波及(はきゅう)】⇒影響が次第に広がること。

【アイデンティティ】⇒自己の存在や特徴を認識し、他と区別する意識。

【国民国家(こくみんこっか)】⇒国民を主体とし、統一された政府を持つ国家。

【忘却(ぼうきゃく)】⇒忘れ去ること。

【内破(ないは)】⇒内側から崩壊すること。

【擬制(ぎせい)】⇒本物のように見せかけること。

【示唆的(しさてき)】⇒何かをそれとなく示すさま。

【相対化(そうたいか)】⇒絶対的なものではなく、他との関係で捉えること。

【牽引(けんいん)】⇒引っ張ること。比喩的に、物事を先導すること。

【誘致(ゆうち)】⇒招き寄せること。

【是正(ぜせい)】⇒誤りや不正を正すこと。

【拘泥(こうでい)】⇒細かいことにこだわりすぎること。

【ナショナリズム】⇒自国の文化や利益を重視し、国民意識を高める考え方。

【多言を要しない(たげんをようしない)】⇒説明するまでもなく明白であること。

【駆使(くし)】⇒自由自在に使いこなすこと。

【皮相的(ひそうてき)】⇒物事の表面だけを見て、深く考えないさま。

【収斂(しゅうれん)】⇒異なるものが一つにまとまること。

【脆弱(ぜいじゃく)】⇒もろくて弱いこと。

【専心(せんしん)】⇒一つのことに集中すること。

【提唱(ていしょう)】⇒新しい考えや主張を唱えること。

【相互作用(そうごさよう)】⇒二つ以上のものが互いに影響を及ぼし合うこと。

【契機(けいき)】⇒物事が起こるきっかけ。

【留意(りゅうい)】⇒注意を払うこと。

【秩序(ちつじょ)】⇒物事が正しく整っている状態。

【両義的(りょうぎてき)】⇒二つの異なる意味を持つこと。

【建設的(けんせつてき)】⇒前向きで発展につながる考え方や行動。

 『グローバリゼーションと文化』のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

ホッタンは意外な出来事だった。

②その影響は広くハキュウした。

③観光地へのユウチ活動が進む。

④彼は料理をタンノウしている。

レイサイ企業の経営は大変だ。

解答①発端 ②波及 ③誘致 ④堪能 ⑤零細
問題2『こうした「国民国家」の枠組みを揺さぶっている。』とあるが、「こうした」とはどのようなことか?
解答構成員の文化的な同質性が高く、「国民」としての意識を共有していること。
問題3「グローバリゼーションはスーパーモダンとポストモダンの二つのベクトルを有している。」とは、どういうことか?
解答グローバリゼーションは、モダンが加速・拡張・深化した状態であると同時に、モダンを支えてきた国民国家という文化的・制度的枠組みが揺らいでいる状態でもあるということ。
問題4「それは必要条件であっても十分条件ではない」とあるが、どういうことか?
解答グローバルに考え、ローカルに行動することは、必要ではあるが、それだけでは十分ではないということ。
問題5『「文化」の」使われ方」に対する批判的な眼差しのみならず、「文化」の「使い方」に対する創造力が問われている。』とは、どういうことか?
解答グローバリゼーションによる文化の利用や破壊を批判するだけではなく、グローバリゼーションの正の側面を生かしながら、文化を活用することを考える必要があるということ。

まとめ

 

今回は、 『グローバリゼーションと文化』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。