『絵を見る技術』は、秋田麻早子による評論文です。高校教科書・論理国語にも掲載されています。
ただ、本文を読むとその内容や筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、『絵を見る技術』のあらすじや要約、意味調べなどを簡単に解説しました。
『絵を見る技術』のあらすじ
本文は、四つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。
①絵を見るには、感覚に頼る方法と知識に頼る方法がある。どちらも必要なのは確かだが、センスや知識がなくても、絵をちゃんと見る方法はないだろうか。
②名探偵ホームズと助手ワトソンのやり取りから分かるように、人は何かを見る時、漫然とみてしまう。そのために、多くの情報を読み落としていることに気付かない。無目的に見るのではなく、スキーマ(見るための枠組み)を持ってさえいれば、観察だけで情報を抽出できる。
③絵の見方を知っている人は、目立つ箇所だけでなく、背景との「関係性」を意識して見ている。対して、絵の見方になじみのない人は、目につくところだけに注目している。「絵の見方を知っている」とは、表面的な印象だけでなく、線・形・色などの造形の見るべきポイントを押さえ、その配置や構造を見ている、と言える。歴史的な背景や画家のプロフィールについて知ることは、絵を深く知るために大事だが、その前に、観察の仕方を身につけておく必要がある。
④絵を見てその細部に気付くには、相応の時間がかかる。詳細な土台に、解釈へと結びつけていくのだということが分かる。絵のデザインと絵の意味は、切っても切り離せないものである。
『絵を見る技術』の要約&本文解説
筆者は、絵を見るには、感覚や知識だけに頼らず、「観察の方法」を学ぶことが大切だと述べています。ただ無目的に見るのではなく、絵を観察するための枠組み(スキーマ)を持つことで、より絵をちゃんと見ることができるようになるからです。
そして、絵を見る際は、線や形、色の配置を意識し、その関係性を理解することが重要と述べています。
通常、絵の見方に慣れていない人は、自分の目につく表面的な部分だけに注目してしまいがちです。そうではなく、絵の構成や背景とのつながりを把握することで、より深い理解が得られると筆者は考えているのです。
この文章は、筆者が「絵を見る」という行為の際に、「デザインをしっかり観察すること」「背景との関連を意識すること」「表面的な印象だけにとらわれないこと」の三つを重視していることを理解するのがポイントとなります。
『絵を見る技術』の意味調べノート
【一方は(もう一方は)】⇒片方は~だが、もう片方は~。
【僅か(わずか)】⇒ほんのすこしであるさま。
【そもそも】⇒本来。もともと。
【漫然と(まんぜんと)】⇒とりとめのないさま。はっきりした目的や意識がなく、ぼんやりとしているさま。
【洞察(どうさつ)】⇒物事を観察して、その本質や奥深い部分を見抜くこと。
【抽出(ちゅうしゅつ)】⇒多くの中から、ある特定のものを抜き出すこと。
【まんべんなく】⇒偏りや抜けがなく、全体に均等に行き渡るさま。
【滞留(たいりゅう)】⇒物事が順調に進まずとどこおること。停滞。
【類似(るいじ)】⇒よく似ていること。
【漠然(ばくぜん)】⇒ぼんやりとして、はっきりしないさま。
【感傷性(かんしょうせい)】⇒ちょっとしたことで悲しんだり、心を動かされたりしやすい性質。
【堅牢(けんろう)】⇒非常に固くて丈夫で、壊れにくいこと。
【照合(しょうごう)】⇒照らし合わせて確かめること。
【首っ引き(くびっぴき)】⇒あるものと向き合って、それから離れずに物事を行うこと。
【上目遣い(うわめづかい)】⇒上目で見ること。
【散漫(さんまん)】⇒まとまりのないさま。集中力に欠けるさま。
【錯覚(さっかく)】⇒思い違い。勘違い。
【信憑性(しんぴょうせい)】⇒その情報を信用してよいかという度合いのこと。
【披露(ひろう)】⇒広く人に知らせること。
【展覧(てんらん)】⇒書画や物品などを広げたり並べたりして、一般に見せること。
【一端(いったん)】⇒一部分。
【垣間見える(かいまみえる)】⇒物事の一部が見えること。
『絵を見る技術』のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①名タンテイとして活躍する。
②顔のリンカクをなぞる。
③ドウサツ力をあげる。
④マンゼンと日々を過ごす。
⑤目のサッカクを起こす。
⑥絵のテンラン会を開く。
まとめ
今回は、『絵を見る技術』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。