『どこもかしこもプラスチック』は、中嶋亮太氏による評論文です。教科書・現代の国語にも採用されています。
ただ、本文を読むとその内容が分かりにくい箇所もあります。そこで今回は、『どこもかしこもプラスチック』のあらすじや要約、語句の意味などを簡単に解説しました。
『どこもかしこもプラスチック』のあらすじ
プラスチックは世界中で最も広く使われている材料の一つだ。安価で、軽量で、丈夫で、かたちを思い通りに変えることができ、耐水性・耐熱性もあり、電気も通さない。だが、それが海のゴミになると仇となる。
プラスチックは頑丈で安定した構造なので、生物に分解されない。海に流れ込んだプラスチックは、数百年消えないごみとして蓄積を続ける。
その結果、海洋生物がプラスチックを餌と間違えて食べてしまうようなことも起こる。プラスチックに汚染された海洋生物には、私たちが食べる海産物も含まれている。私たちが捨てたごみが、やがて私たちの食卓に返って来るというルートができ、人間に害を及ぼす可能性があるのだ。
プラスチックは便利だ。私たちの生活をさまざまな側面から支えており、プラスチックから受けてきた恩恵は計り知れない。だが、そのプラスチックの大量生産・大量消費が、海の生態系を脅かし、環境問題を生み出しているのも事実だ。私たちはこの問題について知識をもち、今後どのように付き合っていくのか、自分の考えをもっておく必要がある。
『どこもかしこもプラスチック』の要約&本文解説
私たちの生活は、プラスチック製品であふれています。例えば、コンビニで買う際のレジ袋、飲料用ペットボトル、お菓子の袋、弁当のトレイ。
こういったプラスチック製品は大変便利なものですが、このプラスチックが海のごみになると、それは私たちにとって害を及ぼすのだと筆者は述べています。
プラスチックが海の隅々に拡散すると、海洋生物がプラスチックを餌と間違えて食べてしまうことが増えます。汚染された海洋生物は、私たちが口にする海産物も含まれているため、私たちはそれを食べることにより、マイクロプラスチックを食べてしまうかもしれません。
こうしてプラスチックが海の生態系を脅かすことで、環境問題が引き起こされるだけでなく、私たち人間にも被害が出ているのだと筆者は考えているわけです。
したがって、私たちはこの問題についてしっかりと知識をもち、今後どのようにプラスチックの問題と付き合っていくか、きちんと自分なりの考えを持っていく必要があると筆者は結論付けているのです。
『どこもかしこもプラスチック』の意味調べノート
【伝統的(でんとうてき)】⇒ある事柄が昔から受け継がれてきているさま。
【素材(そざい)】⇒もとになる材料。
【実用(じつよう)】⇒日常生活などの場で実際に役に立つこと。
【安価(あんか)】⇒値段が安いこと。
【耐水性(たいすいせい)】⇒水によって変質や破損をしない性質。
【耐熱性(たいねつせい)】⇒高温の状態で、その物性を維持し続ける性質。
【耐薬品性(たいやくひんせい)】⇒各薬品に対して耐久する性質。
【仇(あだ)】⇒害をなすもの。危害。
【頑丈(がんじょう)】⇒丈夫なさま。また、物の作りがしっかりしているさま。
【蓄積(ちくせき)】⇒たくさんたくわえること。また、たまること。
【一途(いっと)をたどる】⇒途中で様子が変わることなく、一方の方向に進行し続けるさま。
【隅々(すみずみ)】⇒すべての隅。あらゆる方面。
【拡散(かくさん)】⇒広がり、散らばること。
【誤飲(ごいん)】⇒異物を誤って飲み込むこと。
【脅かす(おびやかす)】⇒危うくする。危険な状態にする。
【汚染(おせん) 】⇒汚れること。汚すこと。
【排出(はいしゅつ)】⇒内部にある不要の物を外へ押し出すこと。
【摂取(せっしゅ)】⇒取り入れて自分のものにすること。
【膨大(ぼうだい)】⇒きわめて数量の多いさま。
【回収(かいしゅう)】⇒一度使った物などを、また集めること。
【廃棄(はいき)】⇒不用なものとして捨てること。
【包装(ほうそう)】⇒物品を包むこと。
【恩恵(おんけい)】⇒他者や外部の環境などからもたらされる利益。恵み。
【計り知れない(はかりしれない)】⇒おしはかることができない。想像できないほどである。
【目に余る(めにあまる)】⇒程度がひどすぎて、黙ってみていられないほどである。
『どこもかしこもプラスチック』のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①ソザイを集める。
②トウメイな飲料水。
③タイスイ性のある物質。
④ガンジョウにできた箱。
⑤疲労がチクセキする。
⑥幼児が薬をゴインする。
⑦海がオセンされる。
⑧栄養をセッシュする。
⑨ごみをハイキする。
⑩オンケイを受ける。
次の内、本文の内容を表したものとして適切でないものを選びなさい。
(ア)プラスチックは極めて頑丈で安定した構造のために、生物に分解されないという特徴を持つ。
(イ)海に流入するプラスチックは増え続けていて、このままでは2050年にプラスチックの量が魚の量を超えると言われている。
(ウ)人類はプラスチックの大量排出者である一方で、巡り巡って、プラスチックを摂取している被害者でもある。
(エ)日本人は神経質な人が多いため、海外と比べて、包装に使うプラスチックの量はそこまで多いほどではない。
まとめ
以上、今回は『どこもかしこもプラスチック』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。