「大丈夫」という言葉は普段からよく使われています。
「大丈夫です、お構いなく。」「あなたは大丈夫でしょう。」ただ、間違った使い方をする人がとても多いことでも知られています。
そこで本記事では、「大丈夫」の意味や語源、類語、誤用表現などを解説しました。
大丈夫の意味・誤用
まず、「大丈夫」の意味を調べると次のように書かれています。
【大丈夫(だいじょうぶ)】
① 名詞。だいじょうふ(大丈夫)。
② 形容動詞。1. あぶなげがなく安心できるさま。強くてしっかりしているさま。2. 間違いがなくて確かなさま。
③ 副詞。間違いなく。確かに。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「大丈夫」の意味は全部で三つあります。その中でも特に②や③の意味で使われることが多いです。
つまり、「安心できる様子・間違いがなく確かな様子」ということです。使い方としては、以下の通りです。
毎日勉強してきたから必ず試験に合格する。だから心配しなくて大丈夫だよ。
上の例文は、「間違いなく試験に合格するので、安心してほしい」ということを伝えています。相手に、「合格は確実だ」と伝えて安心させようとしています。
このように、「大丈夫」とは不安が生じるような場面で安心してよいことを伝えるような際に使われます。
逆に、次のような使い方は誤りとなります。
買い物袋を持っているので、レジ袋は大丈夫です。
この場合は、お会計の場面で「レジ袋をもらう必要はない」ということを伝えています。
しかし、詳しくは後ほど説明しますが「断り文句」として「大丈夫」を用いるのは誤用です。一見、丁寧な表現にも聞こえますが本来の使い方ではないので注意してください。
大丈夫の語源・由来
「大丈夫」という言葉は、中国から伝わり日本で意味が変化したものと言われています。
まず、「大」は「大きい」という意味です。転じて、「大江戸」などのように「立派である」という様子を表します。
そして「丈夫」ですが、「丈」は「寸法の単位」、「夫」は「男」という意味です。この二つに「大」をつけることで、「大きな男性」すなわち「立派な成人男性」という意味になります。
中国・周時代、成人男性の平均身長は「1丈」=「約1.7メートル」でした。そこから、成人男性を「丈夫」と呼び、特に立派な男性を「大丈夫」と言うようになったのです。
その後、「大丈夫」は日本に伝わり、「立派な男性が近くにいる」=「しっかりしている・安心できる」という意味になりました。
このように、「大丈夫」とは元々は中国で「立派な成人男性」を意味していたものが、日本で「安心できる」という意味に転じた言葉であることが分かります。
したがって、「大丈夫」を断り文句として使うことは誤りであることが分かるかと思います。なぜなら、「立派な男性がいること」と「断ること」は何ら結びつかないためです。
「大丈夫」はあくまで、近くに立派な男性がいるので「安心できる・間違いがない」という意味を持つ言葉です。物事を断ったりするような意味は含まれていないので注意して下さい。
大丈夫の類義語
続いて、「大丈夫」の類義語を紹介します。
先ほども確認したように、「大丈夫」=「安心できる」という意味の言葉でした。
心から安心するためには、不安な要素や問題点をなくす必要があります。そのため、類義語は「不安なことがない様子・危険なことがない様子」などを表した言葉となります。
大丈夫の英語訳
「大丈夫」は、英語だと次の三つの言い方があります。
「all right(申し分ない・確かに)」
「okay(分かったよ)」
「fine(素晴らしい・見事な)」
まず、「all right」は「不調や不足がない」という意味です。「all」は「全て」、「right」は「正しい・適切な」という訳なので、「全て適切である」=「大丈夫」という意味になります。
次に、「okay」とは「分かった・はい」という意味の言葉です。日本語にも浸透している単語です。「all right」に比べて、カジュアルな印象を与える言葉となります。
最後の「fine」は、「素晴らしい」という意味です。相手を励ますような、前向きな場面で使うことができます。
例文だと、それぞれ以下のような言い方をします。
I’m all right. My cold got better.(大丈夫。風邪はもう良くなりました。)
It’s okay. Leave it to me.(大丈夫。私に任せて。)
He’ll be fine. Let’s leave her alone for now.(彼なら大丈夫だよ。今は1人にしてあげよう。)
大丈夫の使い方・例文
最後に、「大丈夫」の使い方を例文で確認しておきましょう。まずは「正しい方の使い方」です。
【大丈夫の正しい使い方】
- あなたなら必ず成功するから大丈夫だよ
- あの人、さっき転んでいたけれど大丈夫かしら?
- これだけ非常食を買えば、当分の間は大丈夫だろう。
- プレゼンの準備はしっかりしてきたので、大丈夫です。
- 子どもが成長してきたので、働きに出ても大丈夫そうだ。
「大丈夫」とは「安心できる・間違いなく確実である」という意味の言葉でした。そのため、基本的には相手に対して「安心してほしい」という意を伝えるような場面で使います。
逆に、不安を覚えるような場面では2のように「本当に安心していいのか?」という意を伝えるような場面で使います。
一方で、「誤った方の使い方」です。
【大丈夫の間違った使い方】
- 「お箸をお入れしますか?」「
大丈夫です。」 - 「このペンで試し書きしてもいいかしら。」「
大丈夫ですよ。」 - 「今度、あのお店に行ってみようよ。」「
大丈夫だよ。いつがいい?」 - 「紙袋はご利用になりますか?」「そのままで
大丈夫です。」 - 「お菓子はいかがですか?」「
大丈夫です。お構いなく。」
上の例文では、「大丈夫」を「物事を断る」「可能・不可能を表す」といった場面で使っています。こうした「大丈夫」の使い方は、誤りとなります。
「大丈夫」の誤用は、「柔らかく断っているように聞こえる・丁寧に聞こえる」という理由から生じました。しかし、「大丈夫」には「必要・不必要」や「可能・不可能」などを表す意味はありません。そのため、誤った使い方をすると、人によって意味の取り違えが起きてしまいます。
例えば、「お箸をお入れしますか?」に対して「大丈夫です」などと答えると、必要なのか必要でないのかがはっきりと伝わりません。こうした場面では、単に「いらないです。」「いりません。」などのように答えるようにしましょう。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「大丈夫」=安心できる・間違いなく確実である。
「語源・由来」=中国から来た言葉で、「成人男性」から転じたもの。(「丈」は「寸法の単位」「夫」は「男」を指す)
「誤用」=「必要・不必要」や「可能・不可能」を表す意味。
「類義語」=「心配ない・支障ない・間違いない・無難」
「英語訳」=「all right」「okay」「fine」
「大丈夫」という言葉は、普段の生活でもよく使います。正しい使い方を覚えて誤解が生じないようにしましょう。