病気になり体調を崩した時に、「大事に至る」などと言います。また、「大事に至らず良かった」とも言います。
この「大事に至る」ですが、具体的にどのような状況のことを指すのでしょうか?
本記事では、「大事に至る」の意味や使い方、例文、類義語などを解説しました。
大事に至るの意味・読み方
「大事に至る」は「だいじにいたる」と読みます。
意味は、「小さな問題が大きな問題や深刻な出来事に発展すること」です。主に「大事に至らずに~」などのように否定の形で用いられることが多いです。
例えば、体調が急に悪くなったので、心配になり病院で検査を受けたとします。しかし、特に大きな病気などはなく医者からも問題ないと言われました。
このような場面では、「大事に至らずに良かった」などと言うことができます。
他には、交通事故でケガをしたけども軽傷で済んだ時、仕事でミスをしたけども大したミスではなかった時なども「大事に至らずに済んだ」と言います。
つまり、「大事に至らない」とは「特に大きな問題にはならなかった」という良い意味を含んだ表現ということです。逆に言えば、単に「大事に至る」と言った場合、何かその人に大きな問題が生じたことを意味することになります。
大事に至るの語源・由来
「大事に至る」の「大事」は、ここでは「重大な事柄」や「心配な事態」を表したものです。そして、「至る」とは「ある段階や状態になる」という意味です。
「大事」を辞書で引くと、次のように書かれています。
【大事(だいじ)】
1 重大な事柄。容易でない事件。「国家の大事」
2 大がかりな仕事。大規模な計画。「大事を成す」「大事を企てる」
3 たいへんな結果。非常に心配な事態。「大事に至らないで済む」
4 出家して悟りを開くこと。「―を思ひたたん人は」〈徒然・五九〉
[形動][文][ナリ]
1 価値あるものとして、大切に扱うさま。「大事な品」「親を大事にする」「どうぞ、お大事に」
2 重要で欠くことのできないさま。ある物事の存否にかかわるさま。「大事な用を忘れていた」「今が大事な時期だ」
出典:デジタル大辞泉(小学館)
私たちが一般に使う際には、最後の2つの意味で使うことがほとんどかと思われます。しかし、大事というのは「大切な事」という意味以外に、「大変なこと」という悪い意味も含まれています。
この悪い意味である「大事」に対して、「至る」を用いた表現が「大事に至る」という慣用句なのです。
現在よく使われている「大事に至らない」は、悪い意味の言葉を否定した表現なので、必然的に良い意味ということになります。(「大変なことにならない」⇒「問題が起きない」)
大事に至るの類義語
「大事に至る」は、別の言い方で言い換えることも可能です。
- 大ごとになる
- 大変なことになる
- 大変な目に遭う
- 深刻な事態になる
- えらいことになる
- 飛んだことになる
- 一大事になる
- 由々しき事態になる
どれも何か重大なことが起こる様子を表した言葉です。「大事に至る」は、ちょっとやそっとの問題が起こるような場合は使いません。事件や問題の中でも特に重大な事態に陥った時に使う表現となります。
逆に、「大事に至らない」だと次のような類義語となります。
- 無事に済む
- 問題なく済む
- 大ごとにはならない
- 大きな問題にはならない
- 深刻な事態は免れる
- 事なきを得る
- 九死に一生を得る
こちらは大きな問題が起きずに済んだことを表す言葉です。「致命的な状況に陥るのを避けることができた」という意味では、「事なきを得る」「九死に一生を得る」なども類義語に含まれます。
大事に至るの英語訳
「大事に至る」は、英語だと次のように言います。
「get serious」
「become serious」
「get」と「become」は「~になる」、そして「serious」は「重大な・深刻な」などの訳です。合わせることで、「(事態や状況が)重大になる・深刻になる」という意味になります。
例文だと、次のような言い方です。
I had an accident, but I’m glad it got serious.(事故に遭ったが、大事に至らなくてよかったです。)
The event was canceled before it became serious.(大事に至る前に、そのイベントは中止された。)
その他だと、「matter」(問題となる)などを使う表現も可能です。
I’m going to solve the problem before it matters.(大事に至る前に、問題解決するつもりです。)
大事に至るの使い方・例文
最後に、「大事に至る」の使い方を例文で紹介しておきます。
- 事故で怪我をしてしまったが、幸いにも大事に至らずに済みました。
- 急に雨が降って風も強くなってきた。大事に至る前に今日は帰宅しよう。
- 祖母はもう高齢なので、大事に至る前に車の免許は返納したみたいです。
- 突然倒れた彼女だったが、大事に至らずに済んだようで安心しています。
- ガンの疑いがあって検査を受けたが、大事に至らなくてホッとしています。
- 包丁で手を切ってしまったが、幸いにも大事には至らなくてよかったです。
- お陰様で大事に至らずに済みました。ご心配をかけて申し訳ありません。
「大事に至る」は、「病気や怪我などが深刻になりそうだったものの、実際は大変な事は起きなかった」というシーンで使うことが多いです。この場合は、最悪の状況にならなくて良かったと安心するような心理が込められた使い方です。
また、例文2や3のように「大きな問題が起こる前に事前に対策をとる」という意味で使うこともあります。その他には、最後の文のようにビジネスなどの挨拶文としての用例もあります。
いずれの場合も、「大事に至らずに」「大事に至らなくて」など否定の形で用いられることが多いのが特徴です。「大事に至る」も使えなくはありませんが、用例としてはそこまで多いものではありません。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「大事に至る」=小さな問題が大きな問題や深刻な出来事に発展すること。
「語源・由来」=「大事」は「重大な事柄」や「心配な事態」を指すことから。
「類義語」=「大ごとになる・大変なことになる・深刻な事態になる・飛んだことになる」など。
「英語訳」=「get serious」「become serious」「matter」
「大事に至る」の「大事」は、「重要」という意味ではありません。「深刻な事柄」という意味です。深刻な事柄になるのは良くない事なので、「大事に至らずに済んだ」などと言うと覚えておきましょう。