『コスモポリタニズムの可能性』は、現代文や論理国語で学習する文章です。そのため、定期テストにも出題されています。
ただ、本文を読むと筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、『コスモポリタニズムの可能性』のあらすじや要約、テスト問題などを解説しました。
『コスモポリタニズムの可能性』のあらすじ
本文は、4つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。
①コスモポリタニズムとは、すべての人間は、人類という一つの共同体に属する市民であるという考え方である。そして、地球はもともと誰のものでもなく、すべての人間は地球を共同で所有しているという考え方である。
②コスモポリタニズムは、地球における自然環境、経済、政治、文明の総体を共有する権利を持つとしている。グローバル化が進む現在、コスモポリタニズムは、私たちの道徳的配慮が自己中心的であること、遠方の他者に対して無関心であることを問題視する。そして、国家や地域のエゴを批判し、公平性と平等性を希求する。
③現在では、先進国のどこの国でも、自由な移動や広大な空間、普遍的、世界的なものは好まれていない。グローバルな世界の開放性が、発展や成長よりも不確実さと衰退をもたらすと信じられているからだ。だが、人生の過程は、本来的に広い世界へと出ていくことであり、より広い世界での経験によって成長し、広い行動と責任を担うことで成熟する。現在、ヘスティア的な住み方が不健全な形で賞賛されているのは、自分たちがヘルメス的な住み方に乗り出すことができないにもかかわらず、他者はこちらのヘスティアの領域に乗り込んでくる、という不公平感があるからだ。
④コスモポリタンとは、何よりも経験する人間のことである。経験とは、異なったものや新しいものに出会って驚くことであり、驚きは思考をもたらす。思考は自分が当たり前に思ってきた慣習やルール、考え方を問い直し、異なった意味や新たな関係性を見い出すもので、いつも批判的である。コスモポリタニズムは反省的思考から始まり、反省的思考は経験から生まれる。経験とは、異なるもの、新しいもの、意外なものとの出会いである。出会いにより、今までの意味の剥奪が起こる。私たちは意味を取り戻すために、また思考するのだ。
『コスモポリタニズムの可能性』の要約&本文解説
本文を理解する上で、まず「コスモポリタニズム」の意味を把握することが重要となります。「コスモポリタニズム」とは「すべての人間は人類という一つの共同体に属する市民であるとする考え方」のことです。
語源はギリシア語の 「kosmos (宇宙・世界)」 と「polites (市民)」 を合わせたもので、日本語だと、「世界主義」「世界市民主義」などと訳されています。
今の世界は、国や地域、民族などの区分で分けられていますが、こういった区分をなくして、人類全体を一つの世界の市民とみなす考え方を「コスモポリタニズム」と言うのです。
こういった考え方は古くからはあるものの、現在ではいまだに理念的・思想的な立場以上のものにはなっていません。
その理由を筆者は、広い世界を志向する考え方は、発展や成長よりも不確実さと衰退をもたらすと信じられているからだと述べています。
ではどうすればよいのか?ということですが、それはヘスティア的な住み方を離れて、ヘルメス的な住み方をすることだと筆者は述べています。
「ヘスティア的な住み方」とは「定住的な住み方」を意味し、「ヘルメス的な住み方」とは「移動的な住み方」を意味します。
つまり、一定のところにとどまるのではなく、自分の慣れ親しんだ場所から出て行き、以前いた場所と今いる場所の二つの地点を結びつけるようなことが重要ということです。
その上で、最終的に筆者は、ヘルメス的な経験と反省的思考を繰り返し、今まで当たり前だと思っていたルールや考え方を問い直し、新たな意味を見出だそうとすることが、コスモポリタンとして重要なのだと結論付けています。
『コスモポリタニズムの可能性』のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①音楽家をシコウする。
②道徳的なイギを考える。
③人権をヨウゴする。
④父とソエンな状態になる。
⑤戦争のキョウイにさらされる。
⑥今日はゼイタクな食事だ。
まとめ
今回は、『コスモポリタニズムの可能性』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。なお、本文中の重要語句については以下の記事でまとめています。