特定の団体や組織へ加わることを「加盟」もしくは「加入」と言います。また、場合によっては「参加」や「参画」と言ったりもします。
これらの言葉はどう使い分ければいいのでしょうか?本記事では、「加盟」と「加入」の違い、さらに「参加」と「参画」についても解説しました。
加盟の意味
まずは、「加盟」の意味からです。
【加盟(かめい)】
⇒盟約に加入すること。団体や組織に一員として加わること。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「加盟」とは「団体や組織に一員として加わること」を意味します。
例えば、「国連に加盟する」「OPECに加盟する」などのように用います。
「国連」というのは、世界中の国々が平和のために集まった組織です。また、「OPEC」も中東の国々が石油のために結成した組織です。
このような特定の団体や組織に加わることを「加盟」と言うわけです。
「加盟」の「盟」は、元々「神に誓う」という意味でした。
「神に誓う」=「約束をすること」とも言えます。転じて、「(約束した)仲間の一員に加わる」という意味で「加盟」を使うようになったのです。
加入の意味
続いて、「加入」の意味です。
【加入(かにゅう)】
⇒団体や組織などの仲間に加わること。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「加入」とは「団体や組織などの仲間に加わること」を意味します。
例えば、「委員会に加入する」「クラブに加入する」などのように用います。
「加入」も「加盟」と同様に、団体や組織などに加わる場合に使います。
ただし、「加入」の場合は制度を対象とすることがあります。例えば、「保険に加入する」「年金に加入する」のような使い方です。
保険や年金というのは、組織ではありません。このように、組織や団体以外にも使える言葉が「加入」ということになります。
加盟と加入の違い
ここまでの内容を整理すると、
「加盟」=団体や組織に一員として加わること。
「加入」=団体や組織などの仲間に加わること。
ということでした。
両者の違いは二つあります。
一つ目は、すでに説明した通り「加入は何らかの制度を対象とする場合がある」ということです。
この使い方をするケースは意外と多いです。なぜなら、国や企業が作った制度というのは世の中に数多くあるからです。
そのため、もしも保険や年金などの制度に加わるような場合は「加盟」ではなく「加入」を使うことになります。
そして二つ目は、「加わる側の主体の違い」です。
「加盟」は、国家や団体などが加わる時に使います。一方で、個人が何かに「加盟」するというケースはほとんどありません。
逆に、「加入」の方は個人が団体へ加わる場合が多いです。私たち個人が普段から使うのも、こちらの「加入」の方です。
つまり、「組合に〇〇する」などと言った場合、個人が主体であれば「加入」、団体が主体であれば「加盟」を使うことになるということです。
なお、「条約」に対して加わる場合はどちらも使うことができます。ただ、実際の用例としては条約は「加入」を使うことの方が多いです。
なぜかと言いますと、「条約」の場合は対象が組織ではなく「制度」となるためです。「条約」は「国と国との決めごと」、言わばルールのようなものです。そのため、「制度」を対象とする「加入」を使うことになります。
参加・参画の意味
似たような場面で、「参加」と「参画」が使われることがあります。それぞれの意味は以下の通りです。
【参加(さんか)】
⇒ある目的をもつ集まりに一員として加わり、行動をともにすること。
【参画(さんかく)】
⇒事業・政策などの計画に加わること。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「参加」とは「集まりに加わって行動をともにすること」を意味します。
「参加」は、幅広い集まりに対して使うことのできるのが特徴です。例えば、イベントやマラソン、ミーティングなどへ加わるような際にも使われます。
その点で、ある程度規模の大きい団体へ加わる「加盟」や、ある程度社会的に認められた組織へ加わる「加入」とは異なる言葉だと言えます。
そして、「参画」とは「事業や政策などの計画に加わること」を意味します。
「参画」は「参加」とは異なり、事業や政策などの計画に関わる際に使われる言葉です。また、単に仲間として参加するわけでなく、計画段階から関わるような場合に使われるのも特徴です。
この点で、すでに案の固まった集まりへ加わる「参加」とは異なる言葉だと言えます。覚え方としては、「参画」の「画」は「計画」の「画」なので、「計画から加わる」と考えると分かりやすいでしょう。
使い方・例文
最後に、それぞれの使い方を例文で紹介しておきます。
【加盟の使い方】
- スポーツ発展のために、日本体育協会へ加盟する。
- あそこのコンビニは、フランチャイズ加盟店だ。
- 国際通貨基金(IMF)の加盟国は、約190ヶ国である。
- イギリスはEUへ加盟していたが、脱退を決めた。
- OPEC加盟国の話し合いにより、石油の減産が行われた。
【加入の使い方】
- 数年前に加入した国民年金の納付書が届いた。
- 電話加入者に無料でサービスを行う予定です。
- 犯人は、金銭目的で被害者を保険に加入させた。
- 入学後はすぐにサッカークラブに加入します。
- 助っ人外国人が加入して、チームは復活を遂げた。
【参加・参画の使い方】
- 来週のミーティングは私も参加する予定です。
- 先日の討論会は、10人以上もの人が参加しました。
- A社はようやく新規事業への参画を決めたようだ。
- 本プロジェクトへの参画を発表させて頂きました。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「加盟」=団体や組織に一員として加わること。
「加入」=団体や組織などの仲間に加わること。
「参加」=集まりに加わって行動をともにすること。
「参画」=事業や政策などの計画に加わること。
「違い」⇒「加盟」は「国家や団体などが加わること」を表し、「加入」は「個人が加わること・制度へ加わること」を表す。「参加」は「幅広い集まりに加わること」を表し、「参画」は「計画段階から事業や政策に加わること」を表す。
ポイントは、加わる側の主体の違いにあります。個人が主体であれば「加入」、団体が主体であれば「加盟」を使うと覚えておきまよう。