お年を召された人のことを「ねんぱい」と言います。ただ、この際に漢字の書き方が問題になってきます。
つまり、「年輩」と「年配」のどちらを使うのか?ということです。そこで本記事では、「年輩」と「年配」の違いや使い分けについて解説しました。
年輩・年配の意味
まず、「ねんぱい」の意味を調べると次のように書かれています。
【年輩/年配(ねんぱい)】
①年齢のほど。としのころ。
②世間なれした年ごろ。中年以上の年ごろ。
③年齢が上であること。年上。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「年輩」と「年配」は、多くの辞書では同じ項目として載っています。つまり、辞書での意味はほぼ同じということになります。
主な意味としては、3つあります。
1つ目は、「年ごろ・年かっこう」という意味です。
【例】⇒自分と同じねんぱいの女性に出会った。
この場合は、簡単に言うと「だいたい同じ年齢の女性」ということです。
そして2つ目は「中年以上の年ごろ」という意味です。
【例】⇒ねんぱいの男性から仕事を教わる。
「中年」とは「40歳~50歳頃まで」を指します。つまり、「およそ50歳以上の年齢」を「ねんぱい」と言うわけです。
私たちが普段からイメージする「ねんぱい」は、多くの場合これに該当するでしょう。
そして、最後は「年齢が上・年上」という意味です。
【例】⇒3人の中では、彼が一番ねんぱいだ。
この場合は、20歳など年齢が比較的若くても、誰かと比較して年が上ならば使うことができます。
年輩と年配の違い
「年輩」と「年配」は、意味自体に違いはありません。
両者の違いを簡潔に言うと、「漢語か和語か」ということになります。
「漢語」とは「中国で生まれた漢字本来の言葉」です。一方で、「和語」とは「日本で後から生まれた日本独自の言葉」です。
このうち、「年輩」は「漢語」、「年配」は「和語」と言われてます。厳密に言うと「年配」は和製漢語ですが、「年配」=「和語」と考えて構いません。
ここで改めて「ねんぱい」の意味を振り返ってみると
①⇒年ごろ・年かっこう②⇒約50歳以上の年齢③⇒年上
ということでした。
このうち、①の意味は「漢語(中国)」を由来とします。一方で、②と③の意味は日本によって独自に作られました。
つまり、漢字本来の歴史から言えば、①の場合は「年輩」を使い、②と③の場合は「年配」を使うのが正しい使い方となります。
ただし、一般社会ではこのような厳密な使い分けはされていないようです。その証拠に、辞書の説明でも両者は同じ項目として統一されているからです。
年輩と年配の使い分け
では一体どのように使い分けすればよいのか?ということですが、原則として「年配」の方を使うと考えれば問題ありません。
まず、新聞やテレビなどのメディアは「年配」を使うことで統一しています。逆の言い方をすれば、「年輩」は使わないということです。
読み書きの世界であるメディアは、漢字の混同を嫌う傾向にあります。そのため、まぎらわしい漢字がある場合は一つに統一するわけです。
ちなみに、なぜ「年配」に統一しているかと言いますと「配」は教育漢字だからです。「教育漢字」とは「小学校6年間で学ぶ漢字を文科省が定めたもの」です。
この中に、「年輩」の「輩」は含まれていません。要するに、「輩」よりも「配」の方が簡単な漢字だからということです。
常識的に考えても、字画が少ない「配」の方が使いやすく感じるでしょう。そのため、国が「年配」の方を書くように推奨しているわけです。
よって、結論としてはどちらも使えるが、「年配」の方がより一般的な言葉ということになります。
補足すると、「お年を召した」という意味で相手に敬意を表するような場合は、「ご年輩」と書く方が好まれるようです。これは、意味や語源というよりも慣習的な理由からでしょう。
「輩」は「先輩」「後輩」などがあるように上下関係を表す時にも使う漢字です。そのため、「相手を敬う」という意味で「年輩」を使っているのだと思われます。
使い方・例文
最後に、「ねんぱい」の使い方を例文で紹介しておきます。
- お越し下さった方は、年配がほとんどった。
- ご年輩の夫婦に、円満の秘訣を尋ねる。
- 同じ年配の女性客が、他にもいるようだ。
- 自分と同じ年配の友達から、得るものもある。
- 集まった人々の中では、彼が一番年配だ。
- 自分よりも年配の人から、アドバイスをもらう。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「年輩・年配」=①年ごろ・年かっこう②約50歳以上の年齢③年上
「違い」⇒「年輩」は「漢語」だが、「年配」は「和語」。
「使い分け」⇒原則として「年配」を用いる。
本来の意味に沿り、「漢語」と「和語」で使い分けるという方法もあります。ただ、実際にはそこまで神経質に使い分ける必要はありません。もしもどちらを使うか迷った場合は、「年配」を使えば問題ないでしょう。