
井上ひさしの『ナイン』は、高校の現代文で扱われることが多い作品です。そのため、読書感想文が課題として出されることもあります。
しかし、実際に感想文を書こうとするとどう書けばよいのか分からないという人も多いです。そこで今回は、『ナイン』の感想文の書き方やポイント、実際のサンプルなどをわかりやすく解説しました。
読書感想文の書き方・ポイント
『ナイン』はテーマが深い作品なので、「何を書けばいいか分からない」と悩みやすい作品でもあります。しかし、逆に言えば「考えたこと」を素直に書きやすい作品でもあります。
特に読書感想文では、
- 自分がどこに感動したか
- どこに疑問を持ったか
- 自分ならどう考えるか
を書くことが大切です。
ここでは、『ナイン』で感想文にしやすいテーマを詳しく解説していきます。
「日陰」の場面で感じたこと
『ナイン』で最も重要なのが、最後の「日陰」の場面です。決勝戦では、投手の英夫くんが炎天下の中で限界まで投げ続けていました。
そのとき、キャプテンの正太郎が英夫くんの前に立ち、自分の体で日陰を作ります。そして他のメンバーたちも続き、皆で英夫くんを守るのです。
この場面は、『ナイン』全体のテーマを象徴しています。なぜなら、ここには「仲間のために行動する」という気持ちが強く表れているからです。
普通なら、自分も暑くて苦しいはずです。しかし、正太郎たちは自分のことより仲間を優先しました。
読書感想文では、この場面で「自分はどう感じたか」を書くと感想が深くなります。
たとえば、
- 「本当のチームワークとは何かを考えた」
- 「自分はここまで仲間のために行動できるだろうかと思った」
- 「支え合うことの大切さを感じた」
などを書くことができます。
また、自分の経験と結びつけると、さらに感想文らしくなります。
たとえば、
- 部活動で仲間に助けられた経験
- 体育祭や文化祭で協力した経験
- 落ち込んでいる友達に声をかけてもらった経験
などです。
読書感想文では、「作品を読んで自分のことをどう考えたか」が重要です。単に「感動した」で終わるのではなく、「なぜ感動したのか」まで書けると内容が深くなります。
正太郎をどう考えるか
『ナイン』で最も複雑な人物が正太郎です。
少年時代の正太郎は、仲間思いの頼れるキャプテンでした。しかし、大人になると人を騙したり、お金を盗んだりする問題人物になります。
普通に考えれば、「悪い人」と判断されてもおかしくありません。しかし、英夫くんたちは、完全には正太郎を嫌いになれません。
ここが、この作品の難しくも面白い部分です。
読書感想文では、「なぜ仲間たちは正太郎を見捨てないのか」について考えると、深い内容になります。
たとえば、
- 昔の思い出が強く残っているから
- 苦しい時間を一緒に過ごした仲間だから
- 人間は簡単に善悪で分けられないから
などの視点があります。
実際の人間関係でも、「良い人」「悪い人」で単純に割り切れないことがあります。
昔に助けてもらった相手なら、たとえ問題を起こしても簡単には嫌いになれないことがあります。この作品は、そうした「人間の複雑さ」を描いているのです。
感想文では、
「自分なら正太郎を許せるか」
「英夫くんたちの気持ちは理解できるか」
などを書くと、自分の考えが伝わりやすくなります。
特に高校生の感想文では、「善悪を簡単に決められない」という視点を書くと、内容に深みが出ます。
今の社会との違い
『ナイン』では、新道という町の変化も大きなテーマになっています。
昔の新道には、豆腐屋や洗濯屋、畳屋などがあり、人々が支え合いながら生活していました。いわば「地域のつながり」が強かった時代です。
しかし、時代が進むと人々は土地を売って去り、町は外から来る客相手の場所へ変わっていきます。この変化は、現代社会とも重なる部分があります。
今はSNSなどで簡単につながれる時代ですが、その一方で、昔より近所付き合いは減っているとも言われています。
便利にはなったものの、人間関係はどこか薄くなっているのかもしれません。
読書感想文では、
- 「今の時代は人とのつながりが弱くなっていると思った」
- 「昔のような地域の結びつきは少なくなった」
- 「便利さと引き換えに失ったものもあるのではないか」
などを書くことができます。
また、最後に「ビルによって西日が差さなくなった」という場面について考えるのもおすすめです。
これは単なる風景描写ではなく、「昔の熱い人間関係が失われてしまった」という象徴だと考えることができます。
このように、作品を現代社会と結びつけて考えると、感想文の内容がかなり深くなります。
「自分だったらどうするか」を書くと感想文らしくなる
読書感想文で大切なのは、「作品の説明」だけで終わらせないことです。
たとえば、
- 自分だったら正太郎を許せるか
- 仲間のために行動できるか
- 今の時代に「日陰」のような支え合いはあるのか
などを考えて書くと、「自分の感想」が伝わる文章になります。
感想文は、正解を書くものではありません。作品を読んで、自分がどう感じ、何を考えたのかを書くことが大切です。
『ナイン』は、人間関係や友情について深く考えさせられる作品なので、自分の経験や価値観と結びつけながら書くと、内容の濃い感想文になります。
『ナイン』の読書感想文の例
井上ひさしの『ナイン』を読んで、私は「本当の仲間とは何か」について深く考えさせられた。最初は、昔の少年野球チームの思い出を描いた作品なのだと思っていた。しかし、読み進めるうちに、この作品は単なる野球の話ではなく、人と人との強い絆や、人間関係の難しさを描いた作品なのだと感じた。
この作品には、新道少年野球団というチームが登場する。彼らは少年野球大会で準優勝したチームであり、登場人物たちは皆、「本当に強かった」と語っている。私は最初、「強い」というのは野球が上手だったという意味だと思っていた。しかし、最後まで読むと、それだけではないことが分かった。仲間のために行動できる特別な結びつきがあったからこそ、「強いチーム」だったのだと思う。
特に印象に残ったのは、決勝戦での「日陰」の場面である。投手だった英夫くんは、真夏の炎天下の中、一人で投げ続けていた。しかも、三塁側のベンチには屋根がなく、西日が強く差していたため、とても苦しかったと思う。そんな中、キャプテンの正太郎が英夫くんの前に立ち、自分の体で日陰を作った。そして、他のメンバーたちも続き、皆で英夫くんを支えたのである。
私はこの場面を読んで、とても感動した。自分たちも暑くて苦しいはずなのに、仲間のためにそこまでできることがすごいと思ったからである。特に、「これはキャプテン命令だぞ」という正太郎の言葉が印象に残った。ただ命令しているのではなく、「皆で支え合おう」という気持ちが感じられた。
私はこの場面を読んで、部活動のことを思い出した。部活では「仲間を大切にしろ」とよく言われる。しかし、実際には自分のことで精一杯になってしまうことも多い。私自身も、周りを見る余裕がなくなったことがある。だからこそ、『ナイン』のメンバーたちのように、苦しい中でも仲間を支えようとする姿は、本当の仲間の姿だと感じた。
また、この作品で最も考えさせられたのは、正太郎という人物についてである。少年時代の正太郎は、仲間思いの頼れるキャプテンだった。しかし、大人になると、人を騙したり、お金を盗んだりする問題人物になってしまう。最初に読んだ時、私は「なぜ英夫くんたちはそんな正太郎をかばうのだろう」と不思議に思った。
しかし、最後の場面を読んで、その理由が少し分かった気がした。英夫くんたちにとって正太郎は、ただの悪人ではないのである。苦しい試合の中で、自分たちを支え、励ましてくれた大切なキャプテンだった。その思い出が強く残っているからこそ、簡単には嫌いになれないのだと思う。
私はこれまで、人を「良い人」「悪い人」と単純に考えてしまうことが多かった。しかし、この作品を読んで、人間はそんな簡単に割り切れるものではないと感じた。悪いことをした人でも、誰かにとっては大切な存在であることがあるのだと思った。
また、作品には新道という町の変化も描かれている。昔は人々が支え合いながら暮らしていた町だったが、時代が変わるにつれて、そのつながりは薄れていった。私はそこに少し寂しさを感じた。今の社会でも、人とのつながりが昔より弱くなっている気がするからである。
最後に、西日が差さなくなっていた場面には、昔のような熱い思い出や強い絆が失われていく寂しさが込められているように感じた。
最終的に、私はこの作品を読んで、「本当の仲間」とは、苦しい時に支え合える存在なのだと思った。また、人間を簡単に善悪だけで判断してはいけないということも学んだ。私もこれから、周りの人とのつながりを大切にしていきたいと思う。
まとめ
今回は、『ナイン』の読書感想文の書き方について解説しました。
読書感想文を書くときは、あらすじを説明するだけでなく、「自分が何を感じたか」「自分ならどう考えるか」を意識して書くことが大切です。作品を読みながら、自分自身の経験と重ねて考えることで、より深みのある感想文になります。
また、『ナイン』をもっと理解したい人向けに、あらすじ・語句の意味・テスト対策問題をまとめた記事も用意しています。「内容を整理したい」「テスト前に確認したい」という人は、以下の記事もぜひ参考にしてください。