『映画の可能性のために』の要約&本文解説、テスト対策問題

『映画の可能性のために』は、教科書・文学国語で学習する文章です。高校の定期テストの問題にも出題されています。

ただ、本文を読むと筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、『映画の可能性のために』のあらすじや要約、意味調べなどを解説しました。

目次

『映画の可能性のために』のあらすじ

本文は、四つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①私は映画の脚本を書き進める中で違和感が大きくなっていくのを感じた。そして、それまで書いた脚本を書き直すことを提案しようとした。しかし、プロデューサーや撮影監督は、私が改めて示した構成案に基づいて予定通り撮影を開始すると決定した。

②撮影は俳優の即興の演技を一つのアングル(ポジション)から撮るという形で進められた。俳優たちによって創造されるシーンはシナリオの想定を超え、物語は日々変化していった。予測がつかない撮影現場をスタッフは楽しんでいるようだった。そのことに私は勇気づけられた。

③登場人物の性格を想定して脚本を書くとき、そのせりふが書き手の想像の範囲を超えられないとすると、脚本はダイアローグではなくモノローグになってしまう。しかし、現実には世界は見えない領域を持っており、その意味で自分自身も他者である。撮影を通じて浮上したのは、この他者という主題であり、それは世界であるとも言っていい。

④フランスの小説家で映画作家のロブ=グリエによれば、作家の視点には二種類あると言う。バルザック的視点は、世界の全てを見渡し、それを読者に説明する。カミュ的な視点は、全てを見通すことができず、知らないからこそ語る。これを映画のカメラに置き換えるとき、私が無意識に選んだのはカミュ的な視点であり、これは映画を作る者としての決定的な選択だった。

『映画の可能性のために』の要約&本文解説

200字要約

私は脚本を書き進める中で違和感を感じたが、撮影は予定通り進められ、俳優の即興の演技により物語は想定を超えて変化した。脚本のせりふが想像の範囲にとどまればモノローグとなるが、現実の世界は見えない領域を持つため、その意味で自分自身も他者である。作家の視点には二種類あるが、私が選んだのは全てを見通すことができず、知らないからこそ語るというカミュ的な視点で、これが映画を作る者としての決定的な選択だった。 (199文字)

この文章の結論(何が言いたいのか)

この文章で筆者が最も伝えたいのは、「映画は最初からすべてを決めて作るものではなく、予測できない他者や現実に開かれていることに価値がある」という点です。つまり、脚本どおりにコントロールされた作品よりも、想定外の出来事を受け入れる映画のほうが、本当の意味で豊かな表現になるという考えです。


脚本どおりの映画の問題点

筆者はまず、脚本に違和感を持った経験から話を始めています。脚本では、登場人物の性格やセリフをすべて作者が決めます。しかし、それは結局、作者の頭の中で考えたことにすぎません。そのため、一見会話のように見えても、実際には作者の考えを語るだけの「独り言」になりやすいのです。これでは本当の意味での対話とは言えません。


撮影現場で見えた「予測不能」の価値

実際の撮影では、俳優が即興で演技を行います。すると、脚本にはなかった表現や展開が生まれます。たとえば、俳優のちょっとした仕草や言い回しが、物語の印象を大きく変えることがあります。このように、他人の表現は作者の想像を超えてきます。筆者はここに「他者」の存在を見出します。現実の人間や世界は、思い通りにならないからこそリアルなのです。


「わからなさ」を受け入れる映画へ

筆者は最後に、作家の視点には二種類あると説明します。一つは、すべてを理解し説明するというバルザック的視点です。もう一つは、すべては分からないという前提で語るカミュ的視点です。筆者は後者を選びます。なぜなら、世界は本来すべてを把握できるものではないからです。映画も同じで、「分からないもの」と向き合うことで、新しい表現が生まれると筆者は考えているのです。

『映画の可能性のために』の意味調べノート

【改稿(かいこう)】⇒文章を直して書き改めること。

【破棄(はき)】⇒不要なものとして捨てること。

【即興(そっきょう)】⇒その場で思いついて行うこと。

【脈絡もなく(みゃくらくもなく)】⇒話のつながりや筋道がないさま。

【演出(えんしゅつ)】⇒効果的に見せるために工夫すること。

【火花を散らす(ひばなをちらす)】⇒激しく対立したり争ったりすること。

【車座になる(くるまざになる)】⇒人々が輪になって座ること。

【相互的(そうごてき)】⇒互いに関係し合っているさま。

【旗手(きしゅ)】⇒ある主張や運動の代表として先頭を行く人。

【駆り立てる(かりたてる)】⇒気持ちを強く刺激して行動させること。

【突き詰めて(つきつめて)】⇒物事を最後まで深く考えていくこと。

【遍在(へんざい)】⇒あらゆるところに広く存在していること。

【欠落(けつらく)】⇒本来あるべきものが抜けていること。

【コンセプト】⇒物事の基本となる考えや発想。

『映画の可能性のために』のテスト対策問題

問題1

次の仮名部分を漢字に直しなさい。

ソッキョウで歌を作った。

フッテンに達して湯が沸く。

キンチョウで手が震えた。

サツエイが無事に終わった。

カンペキな出来に満足した。

解答

①即興 ②沸点 ③緊張 ④撮影 ⑤完璧

問題2

「まさかこんなことになるとは」とあるが、「こんなこと」とはどんなことか?本文中の語句を使い答えなさい。

解答

骨組みだけの構成案のみで映画を撮ること。

問題3

「自分もまた他者なのだ。」とあるが、この場合の「他者」とはどのような存在のことか?本文中から12文字でそのまま抜き出しなさい。

解答

見えない領域を持っている

問題4

「私の無意識の選択」とは、どのようなことか?本文中の語句を使い答えなさい。

解答

考えて行動したのではなく、ただ行動し、そして後からなぜ私はこんなことをしでかしてしまったのだろうかと考えること。

問題5

「だから切り返し(構図、逆構図)は禁じられるのだ。」とあるが、なぜか?

解答

世界には見通せない部分があるという見解に立ち、映画を撮ろうとしているため。

問題6

「一つのコンセプト」とは、どのようなものか?

解答

世界の意味を見通すのではなく、カメラを向ける者に対してどのように世界が立ち現れるのかを探ることを、映画を撮る原動力とするというもの。

まとめ

今回は、『映画の可能性のために』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として活用していただければと思います。

この記事を書いた人

大学卒業後、国語の添削員として就職。その後、WEB運営会社を起業し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。
「保有資格」⇒漢字検定1級・英語検定準1級・簿記二級・宅建など。

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