ほどほどのデザイン 要約 意味調べノート テスト対策 あらすじ 現代の国語

『ほどほどのデザイン』は、教科書・現代の国語で学習する文章です。そのため、定期テストの問題にも出題されています。

ただ、本文を読むと筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、『ほどほどのデザイン』のあらすじや要約、意味調べなどを解説しました。

『ほどほどのデザイン』のあらすじ

 

本文は、四つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①「ほどほど」の意味をデザインに置き換えると、やりきることも承知しながら、あえて手前の程よいところを見極め、そこで仕上げておくことになる。この、ほどほどに留めておくデザインによって生まれる「空き」こそが、人がものと自分なりのしかたで付き合うことを可能にする余地になる。本来、デザインはそれ自体に価値があるわけではなく、デザインされたものと付き合う人との関係の中で効力を発揮する。人の価値観はみな違うので、デザインは人それぞれの価値観で関わることができる、ほどほどの領域で留めておくべきである。

②「箸」は、二本の棒である単純さが、人の本来持っている能力を引き出している。箸において日本人は、それ以上の進化による利便は求めてこなかった。そのため、日本の箸は、先を細くすることで、より繊細な動きに対応できるよう微妙に進化し、漆塗りのような丁寧な表面仕上げや材質選びにも伝統が生かされてきた。この例からも、日常の中に、ほどほどのところで留めておきながら徹底的に突き詰めようとする日本人らしさを見出だすことができる。

③「ふろしき」も、ほどほどのデザインの典型である。ふろしきは、一枚の正方形の布だが、何十通りもの包み方がある。そして、あらゆる包む対象に合わせた対応が可能なばかりか、使わないときには小さく畳んでおける。つまり、自由自在に変化できる一枚の布の状態に留めてあるわけで、それ以上はデザインしていない。人間に備わっている「考える」力や「適応する」力を引き出す余地を残した「ふろしき」が、現代にまで残っていること自体が注目に値する。

④デザインを考えることは、人の豊かさとは何かを考えることである。人間の身体どころか心までを使わないですむようにしてきてしまった必要以上の間違った便利さを見直して、ほどほどを極めるレベルを一度模索しなければならない時が来ている。それは、資源やエネルギーの問題、そしてこの国の文化的価値の問題とも密接につながっている。心と身体を使わないですむような便利さが、人を本当に豊かにするのか。「ほどほど」や「いい塩梅」などの言葉が、実は日本人が忘れてはならない大切な感性をしかと伝えている。

『ほどほどのデザイン』の要約&本文解説

 

200字要約デザインは、それ自体に価値があるのではなく、使用者との関係の中で意味を持つため、作り込みすぎず適度な余白を残すべきである。日本の箸は単純な形状でありながら、使う人の能力を引き出し、ふろしきは自由な使い方を可能にしている。これらは「ほどほどのデザイン」の有用性を示す例である。現代では、過剰な便利さが人間の心や身体を使わなくさせているため、「ほどほど」を極めることが文化や環境の観点からも重要である。(199文字)

本文では、「ほどほどのデザイン」が持つ価値について論じられています。「ほどほど」とは、必要以上に作り込みすぎず、適度な余白を残すことを指します。

筆者は、デザインにおいても、完璧を目指すのではなく、利用者が自分なりに関わる余地を残すことが重要であると主張しています。

例えば、日本の「箸」は単純な形状でありながら、使う人の技術を引き出す道具として完成されているものです。また、「ふろしき」も一枚の布というシンプルな形状でありながら、包み方を工夫する余地があり、適応力の高さが特徴です。

これらは、「ほどほど」のデザインがいかに機能的かを示すわかりやすい例だと言えます。

その上で筆者は、現代の過剰な便利さが人の心や身体を使わなくさせている点にも警鐘を鳴らしてます。

そして、必要以上の間違った便利さを見直して、ほどほどを極めるレベルをいま一度模索しなければならないと主張しています。

『ほどほどのデザイン』の意味調べノート

 

【諭す(さとす)】⇒相手が理解できるように優しく説明し、教え諭すこと。

【一票を投じる(いっぴょうをとうじる)】⇒支持する。賛成する。

【ニュアンス】⇒言葉や表現の微妙な意味合い。

【徹底的(てっていてき)】⇒最後まで手を抜かず、一貫して行うさま。

【一変する(いっぺんする)】⇒すっかり変わること。

【余地(よち)】⇒物事をさらに行いうるゆとり。余裕。

【価値観(かちかん)】⇒物事の価値を判断する基準や考え方。

【しかるに】⇒それにもかかわらず。それなのに。

【~(と)言わんばかり】⇒まるで~と言っているかのように。

【発揮(はっき)】⇒能力や特性を十分に働かせること。

【曖昧(あいまい)】⇒はっきりしないこと。どちらともつかないこと。

【かいま見る】⇒一部分だけをちらっと見る。

【用途(ようと)】⇒使い道。使用目的。

【敬意(けいい)】⇒相手を敬い、尊重する気持ち。

【そっけない】⇒思いやりがなく、冷たい態度をとるさま。

【面食らう(めんくらう)】⇒予想外のことに驚き、戸惑うこと。

【使い勝手(つかいがって)】⇒道具やシステムなどの使いやすさ。

【所作(しょさ)】⇒動作や振る舞い。

【利便(りべん)】⇒便利であること。

【打って出る(うってでる)】⇒積極的に行動を起こし、勝負を挑むこと。

【匿名(とくめい)】⇒名前を明かさないこと。

【原型(げんけい)】⇒もとの形。基本となる形。

【典型(てんけい)】⇒代表的な例。

【形態(けいたい)】⇒物事のありさまや外見の特徴。

【ほかならない】⇒それ以外ではない。

【あたかも】⇒まるで~のように。

【模索(もさく)】⇒手探りで探し求めること。

【塩梅(あんばい)】⇒物事の具合や様子。加減。

【しかと】⇒確かに。しっかりと。

『ほどほどのデザイン』のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

テッテイした掃除をする。

②大会で実力をハッキできた。

③新しい方法をモサクする。

シゲンを有効に活用する。

⑤心と身体はミッセツに関係している。

解答①徹底 ②発揮 ③模索 ④資源 ⑤密接
問題2「日本の箸」に見られる「関係のデザイン」の特徴はどのようなことか?
解答二本の棒という単純さにより、人の本来持っている能力を引き出し、道具と人との関係に空きを残していること。
問題3「空きがない」とは、どういうことか?
解答特定の価値観で作られた完成しきったものであり、壁に阻まれているような感じがすること。
問題4

次の内、本文の内容を表したものとして最も適切なものを選びなさい。

(ア)デザインは便利さを最優先に追求すべきであり、使用者の工夫の余地を残すことは重要ではない。

(イ)「ほどほどのデザイン」は、過剰な利便性を避け、使用者に適応する余地を残すことで、物との関わりを豊かにする。

(ウ)デザインは使い手の能力を無視し、物自体の完璧さを追求することが重要である。

(エ)現代のデザインは人間の心や身体を使わない便利さを追求すべきであり、適応性や余白を残すことは無駄である。

解答(イ)

まとめ

 

今回は、『ほどほどのデザイン』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。