動物園というメディア テスト対策 100字要約 現代の国語 意味調べノート

『動物園というメディア』は、高校教科書・論理国語に掲載されている文章です。そのため、定期テストの問題にも出題されています。

ただ、本文を読むと筆者の考えが分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、『動物園というメディア』のあらすじや要約、意味調べなどを含め解説しました。

『動物園というメディア』のあらすじ

 

本文は、四つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①自然と人のつながりを認識するためには、自己と対象との間に、具体的な同一性を感じることが重要だ。同一性の創造が、自然と人の関係づくりの基本である。だが、現代では日常の暮らしの中でほかの生命と同一化するという行為や感覚体験が消失してしまった。これは、他人や他の生き物を命と思えず、相手との関係性がつくれない現代社会の問題と深い関係がある。

②今、最も重要なのは、人々の日常の中に生命の糸を導入することである。動物園にできることは、一つは、同一性を感じやすい動物を重視することである。もう一つは、「ケ」の世界の生き物再発見を手伝うことである。生命の糸をつなげる動物園にするには、動物園は、生活環境を素材とするための知識と技術と思想を蓄積しなければならない。そうして動物園は、人々の日常である地域社会にもっと介入すべきである。

③ところで、西欧の文化は、自己と対象を明確に区分して認識する、征服の思想である。一方で、日本の文化は、同一性を獲得する独特の歴史であり、一体化の思想である。日本文化の同一性という認識方法は、対象への同調と調和と継続を基調とする思想である。それが日本の自然観を形成している。

④日本の自然観は、個の概念が発達してきた現代には相容れないかもしれない。しかし、この思想は、自然と人の関係を共生の関係にしていくための重要な認識方法である。日本の自然観を現代に再生させていくのは意味のあることである。自然と人のみならず、人と人の関係が崩壊しそうな現代社会において、動物園が果たせる社会的役割は大きい。

『動物園というメディア』の要約&本文解説

 

100字要約人が自然とつながるには、自己と対象との間の同一性の認識が重要だが、現代では失われつつある。動物園は、その感覚を取り戻し、日本の自然観を再生することで、人と自然、人と人の共生社会の実現に貢献できる。(98文字)

筆者は、人が自然とつながるためには、「自己と自然は別のものではなく、同一であると感じること」が重要だと述べています。しかし、現代ではその感覚が薄れ、人は動物や他の人と深く関わることが難しくなっています。

そこで、「動物園がこの問題を解決する役割を果たすべきだ」というのが筆者の主張です。動物園は、ただ単に動物を見せるだけでなく、次のような工夫をすべきだと述べています。

  1. 「同じものだ」と感じやすい動物を重視する(例えば、自分と同じ水を飲んでいる動物を見せるなど)
  2. 「ケ」の世界にある生き物を再発見できる場にする(普段の生活の中にも生き物がいることを意識させる)

後半では、西欧の文化は「人と自然をはっきり分け、自然を征服する考え方」なのに対し、日本の文化は「人と自然が一体となり、調和する考え方」だと筆者は説明しています。

その上で、最終的に 「日本の昔からの自然観を現代に復活させることが、人と自然、そして人と人の関係をよくすることにつながる」 と結論付けています。「動物園はその役割を果たすべきである」というのが、筆者の主張です。

『動物園というメディア』の意味調べノート

 

【メディア】⇒情報を伝える手段や媒体のこと。

【具体的(ぐたいてき)】⇒はっきりとした形があり、実際に存在するさま。

【同一性(どういつせい)】⇒自分と他のものが同じであると感じること。

【創造(そうぞう)】⇒新しいものを作り出すこと。

【民俗学(みんぞくがく)】⇒一般庶民の生活や文化の歴史について研究する学問。

【戯れる(たわむれる)】⇒楽しんだり、遊んだりすること。

【抜擢(ばってき)】⇒多くのものの中から選び出すこと。

【無機的(むきてき)】⇒生命力の感じられないさま。

【普及(ふきゅう)】⇒広く一般に行き渡ること。

【ビオトープ】⇒動植物が自然に近い環境で暮らせるように人工的に作られた場所。

【蓄積(ちくせき)】⇒たくわえること。

【介入(かいにゅう)】⇒当事者以外の者が入り込むこと。

【概念(がいねん)】⇒物事の意味内容。ある物事に対する大まかな理解やイメージ。

【自然科学(しぜんかがく)】⇒自然について研究する学問。

【主体(しゅたい)】⇒物事を動かす中心となる存在や、行動や意思決定をする側のこと。ここでは、自分(または自分たち)が主導権を持って支配的な立場に立つ側を指している。

【収奪(しゅうだつ)】⇒他から力ずくで物を取り上げること。

【花鳥風月(かちょうふうげつ)】⇒自然の美しい景色。

【渡来(とらい)】⇒遠く外国から渡ってくること。

【産物(さんぶつ)】⇒あることが背景となってうみ出されたもの。

【措定(そてい)】⇒ある事柄を前提として定めることや、仮定して決めること。

【曖昧(あいまい)】⇒はっきりしないこと。明確でないこと。

【観念(かんねん)】⇒物事についての考えや思い。人が心の中で持っている考えやイメージのこと。

【相容れない(あいいれない)】⇒お互いに調和したり、共存したりできないこと。

【共生(きょうせい)】⇒なる種類の生物が互いに助け合いながら一緒に生きること。

『動物園というメディア』のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

①物事をニンシキする。

②社会にコウケンする。

③中国からトライした文化。

④土地がカンソウする。

イナサク文化が栄える。

解答①認識 ②貢献 ③渡来 ④乾燥 ⑤稲作
問題2「相手に身近な思いを感じることで、それが実践につながる場合が多い。」とあるが、「それ」とは何か?
解答自然を大切にすること。
問題3「その思想が見えてくる。」とあるが、「その思想」とはどのような思想か?本文中から25文字で抜き出しなさい。
解答二項対立を明確にし、主体側を優位に置いた征服の思想
問題4「動物愛護思想を超え、~」とあるが、ここでの「動物愛護思想」とはどのような思想か?
解答人間の立場から、一方的に動物を大切にしなければならないと考える西欧的な思想。
問題5本文のタイトルにもなっている、「動物園というメディア」とはどのような意味か?
解答動物園は、人と自然をつなぐ仲立ちとしての役割を担うべき存在であるということ。

まとめ

 

今回は、『動物園というメディア』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。