書けない日々 要約 解説 現代の国語 意味調べノート テスト問題

『書けない日々』は、教科書・現代の国語に掲載されている文章です。そのため、定期テストの問題にも出題されています。

ただ、本文を読むとその内容や筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、『書けない日々』のあらすじや要約、意味調べなどを簡単に解説しました。

『書けない日々』のあらすじ

 

本文は、四つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①文章を書きたいときに、言葉が見つからない場合は、外に言葉を探すのではなく、自分で言葉を紡げばよい。人は、書いてみて初めて、自分が何を考えているのかを知るのである。書くべきことがなければ人は書けないと悔しがることはない。書けない、そう感じた瞬間が書くことの始まりの合図になる。

②思うように書けないのは、言葉を使うのに慣れていないだけかもしれない。それならば、時間をかけて言葉との生活を作り直せばよいのでさほど深刻ではない。だが、もし内なる思いが言葉で表現できる範囲を超えているとしたら、それは不可能な出来事への無謀な挑戦かもしれない。書けないという実感は、言葉にならない何かを発見しつつある兆しと言える。だから、書けない現実に正面から向き合うことが、新たに「書く」ことの始まりになる。

③宗教哲学者の柳宗悦は、民芸において、「下手もの」にこそ真の美が宿っていると言った。「上手もの」は造られた美だが、「下手もの」は、自ずと生まれた美であるとも語った。彼は、日常をそっと支える器などの日用品にこそ、近代人が見過ごしている美が潜んでいることを発見した。同じことは言葉にも言える。華美な文章や流麗な文章など書かなくてもよいのだ。

④人が何かを語りたいと願うのは、伝えきれない何かがあるからである。文字の奥には、言葉にならない呻きがある。言葉とは、永遠に言葉たり得ない何ものかの顕現なのである。

『書けない日々』の要約&本文解説

 

200字要約文章を書きたいときは、書いてみて初めて、自分が何を考えているかを知ることができる。書けない現実に正面から向き合うことが、新たに「書く」ことの始まりになる。華美や流麗な文章を書く必要はなく、自らの心によって裏打ちされた本当の言葉が大切である。人が何かを語りたいと願うのは伝えきれない何かがあるからであり、文字の奥には、言葉にならないうめきがある。言葉とは、永遠に言葉たり得ない何ものかの顕現である。(198文字)

私たちは、文章を書こうとするとき、「何を書けばいいのかわからない」と感じることがあります。しかし、それは決して特別なことではなく、誰にでも起こる自然なことです。

筆者はむしろ、「書けない」と思った瞬間こそが、文章を書き始めるきっかけになると述べています。なぜなら、最初は思うように進まなくても、実際に書いてみることで、自分が何を考えているのかが少しずつ分かってくるからです。

また、私たちは文章を書くときに「きれいな表現をしなきゃ」「上手に書かなきゃ」と思ってしまうこともあるかもしれません。ですが、必ずしも流れるような美しい文章を書く必要はないのだと筆者は主張します。

筆者は、大事なのは、自分の心によって裏打ちされた素直な気持ちをそのまま言葉にすることだと述べています。無理に飾らず、自分に正直な言葉を紡ぐことで、心に響く文章が生まれるからです。

最終的に筆者は、言葉とは、永遠に言葉たり得ない何ものかの顕現であると結論付けています。これはつまり、「言葉というのはすべてを表現できる完全なものではなく、言葉の奥には表しきれない深い何かが存在している」という意味です。

言い換えれば、どんなに上手に文章を書いたとしても、言葉によって完全に自分の気持ちや考えを表すことはできないということです。

この一文は、言葉の限界とその存在意義を考えさせるものですが、それでも言葉を使って自分の考えや感情を表現することには意味があるという筆者の意図が伝わってくる一文でもあります。

『書けない日々』の意味調べノート

 

【紡ぐ(つむぐ)】⇒言葉をつなげて文章を作る。

【衝動(しょうどう)】⇒突発的に起こる強い欲求や感情。

【営み(いとなみ)】⇒行為。行い。

【しばしば】⇒頻繁に。何度も繰り返して。

【無謀(むぼう)】⇒よく考えずに無理なことをすること。

【豊饒(ほうじょう)】⇒豊かに満ちあふれていること。

【宗教哲学者(しゅうきょうてつがくしゃ)】⇒宗教と哲学を結びつけて考える人物。宗教的な問題や教義、信仰などについて哲学的な視点で研究し、解釈を行う人。

【兆し(きざし)】⇒物事が起こりそうな気配や前触れ。

【華美(かび)】⇒はなやかで美しいこと。

【流麗(りゅうれい)】⇒よどみがなく美しいさま。

【裏打ち(うらうち)】⇒物事を別の面から確実にすること。

【切に(せつに)】⇒心から。熱心に。

【まざまざ】⇒まるで目の前にあるかのようにはっきりとしているさま。

【顕現(けんげん)】⇒目に見える形で現れること。はっきりとした形で現れること。

『書けない日々』のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

①心にヤミがある。

②新しい小説をツムぐ。

ショウドウが湧き上がる。

ムボウとも言える挑戦。

⑤美がヒソんでいる。

解答①闇 ②紡 ③衝動 ④無謀 ⑤潜 
問題2「心の闇を照らし出す言葉が見つからない。」とあるが、「心の闇」と同じ内容を表した語句を本文中から5文字で抜き出しなさい。
解答内なる思い
問題3「むしろ、そうした思いに心が満たされたとき、書きたいと感じる。」とあるが、「そうした思い」とは何か?
解答言葉で表現できることの範囲を超えている内なる思い
問題4言葉や文章における「上手もの」と「下手もの」はそれぞれ何か?本文中からそのまま抜き出しなさい。
解答

「上手もの」⇒華美な文章や流麗な文章

「下手もの」⇒自らの心によって裏打ちされた、古い、しかし本当の言葉

まとめ

 

今回は、『書けない日々』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。