『自然と人間の関係をとおして考える』は、教科書・現代の国語で学習する文章です。ただ、本文を読むと筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。
そこで今回は、『自然と人間の関係をとおして考える』のあらすじや要約、テスト問題などを含め解説しました。
『自然と人間の関係をとおして考える』のあらすじ
本文は、その内容から大きく2つの段落に分けることができます。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。
①自然と人間はつねに敵対的であったわけではない。人間による自然の利用が、生物種の多様性をつくりだし、生命力を高める、というケースがいくらでもあった。ところが、今日おこなわれている自然の改造は、自然を傷めるばかりである。この違いは、それぞれの地域がつくりだしてきた伝統的な方法によって働きかけているか、それとも伝統的な方法を顧みることなく、近代技術によって自然を改造しているかという点にある。自然保護の主体は、基本的に地域主権的なものではなければならない。その地域の人々が長い歴史のなかで身につけてきた、自然を利用しながら守る技と知恵や伝統を継承する必要がある。しかし、近代社会の価値基準は、知恵や技よりも、知識や技術を大事にし、歴史の継承よりも歴史の発達を重要視してきた。このような近代的価値観は、自然に対して対立的だったのだ。
②近代社会は、時間は進歩や発達とともにあるという観念のもとで展開してきた。その時、私たちは、進歩は別の面での後退をもたらすという簡単な事実と、自然と人間の間に発生するトラブルを忘れてしまった。自然が必要としている時間は、永遠の循環をつづけるような時間、あるいはつねに過去を継承しつづけるような時間である。にもかかわらず、人間が時間に進歩を伴わせるようになると、自然が必要とする、変化を求めない時間の世界はこわされ、自然の永遠の営みを傷つけるようになる。こうして、自然と人間の間には、時間をめぐる不調和が生じるようになる。今日の自然荒廃の奥底には、こうした問題があるといってよい。自然の時間を保証できる人間の営みを再創造しないかぎり、自然と人間の間に発生するトラブルは解消できないはずだ。
『自然と人間の関係をとおして考える』の要約&本文解説
筆者は、自然を守る主体は、地域主権を軸にして形成されなければならないと述べています。
なぜなら、自然というのはそれぞれの地域ごとにさまざまであり、そのさまざまな自然が互いに関係を結びながら、全体の自然が展開していると考えているからです。
そして、自然と人間が無事な関係を維持していくためには、その地域の人々が長い歴史の中で身につけてきた、自然を利用しながらも守る技と知恵や伝統を継承することが必要だと述べています。
ところが、近代社会の価値基準は、知恵や技よりも知識や技術を大事にし、歴史の継承よりも歴史の発達を重要視したため、自然とは対立的な考えでした。
また、近代社会は時間は進歩や発達とともにあるという考えのもとで展開されたため、自然と人間の間に時間をめぐる不調和が生じるようになりました。
筆者は、今日の自然荒廃の根底には、こうした問題があるのだと述べています。そして、この問題を解決するためには、自然の時間を保証できる人間の営みを再創造しなければならないと結論付けています。
これはつまり、自然が持つ永遠に循環するという性質を保証するやり方で、人間の暮らしを再び創り変えるしかないということです。
『自然と人間の関係をとおして考える』のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①国土がコウハイする。
②森林をバッサイする。
③健康をイジする。
④伝統のケイショウ。
⑤景気がコウタイする。
⑥血液がジュンカンする。
⑦品質をホショウする。
まとめ
今回は『自然と人間の関係をとおして考える』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。なお、本文中の重要語句については以下の記事でまとめています。