『動への変化』は、落合陽一氏による文章です。教科書・現代の国語にも載せられています。
ただ、本文を読むと筆者の主張が分かりにくい箇所もあります。そこで今回は、『動への変化』のあらすじや要約、テスト問題などを解説しました。
『動への変化』のあらすじ
本文は、内容により4つの段落に分けることができます。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。
①現存するメディアで最も古いものは、壁画と彫刻と言われている。壁画は、制作するのも鑑賞するのも大変で、見る側の人間のイマジネーションと実際の移動を必要とした。彫刻も、堅いものを彫るという行為には相当な労力が必要であり、持ち運びするのにも重かった。やがて人類は、徐々にメディア装置に「可搬性」を与えていったが、これらも可塑性と可搬性という点では十分ではなかった。
②人類のメディア史において画期となったのは、「紙」の誕生である。まず、パピルスや羊皮紙などは、人間に日々の出来事や歴史を記録する手段を与えた。だが、それらは可搬性やコストの面で問題があった。その後、中国から西欧に伝来した「紙」が、コストの面での優位性から一気に普及した。同じ時期にカンバスも登場し、絵画を他人の元に手軽に持ち運べるようになった。一方で、東洋では古くから紙が使用され、良質な紙が流通していたので、屏風や絵巻物、日記などが多く残されていた。
③次に登場したのが、写真である。写真はすぐに保存することができた。さらに、複製可能となったことで、人々の認識能力や証拠能力、ひいては世界の捉え方が大きく変革され、視座が正確に共有できるものに変わった。
④結局のところメディアの歴史というのは、「自由度」が高くなる方へ進化してきた。メディアの自由度が上がるとき、コンテンツの「動」への変化と、「可搬性」というメディアそれ自体の「動」への変化という二つの意味での動的性質が上がっていく。人類の歴史でメディアの進化に大きな影響を与えてきたのは、「可搬性」という意味での「動」の自由度の発展である。この三次元空間での人間の行動やイマジネーションを制限しないということこそが、現代のモバイル端末への流れを駆動してきた、大きな要因なのである。
『動への変化』の要約&本文解説
筆者は、メディアの歴史というのは、「自由度」が高くなる方へと進化してきたと述べています。
例えば、壁画や彫刻というのは、可搬性(持ち運びや移動が可能であること)を求めることで、紙やカンバスへと進化してきました。また、保存や複製が可能である写真の登場により、人々は世界の捉え方が大きく変わることになりました。
そして、メディアの自由度が高くなる方へ進化する時、二つの意味で動的性質が上がっていくのだと筆者は続けます。
一つは、『コンテンツの「動」への変化』です。
コンテンツは、絵画や写真などの動きのない静止画から、秒単位で映像が動くような動画へと変化してきた歴史があります。YouTubeの誕生などは、まさにコンテンツの動への変化だと言えます。
もう一つは、『メディアそれ自体の「動」への変化』です。
人類は、壁画のような持ち運びのできないメディアから、紙のような持ち運びのできるメディアへと進化させてきました。さらに、現代では紙よりも持ち運びが自由にできるスマートフォンのような動的なモバイル端末にメディアを進化させてきました。
20世紀のメディア装置が動画の意味での「動」の自由度を飛躍的に上昇させたので、私たちは前者の方が人類の歴史に大きな影響を与えたと考えがちです。
しかし、筆者は二つの変化の内、本当の意味で人類の歴史でメディアの進化に大きな影響を与えてきたのは、後者の方(可搬性という意味での「動」の自由度の発展)だと考えているわけです。
全体を通して筆者が主張したい内容は、最後の第四段落に集約されていると言えます。
『動への変化』のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①ヘキガを発見する。
②音楽をカンショウする。
③ドウクツの中に入る。
④自動車のフキュウ。
⑤ショウゾウを描く。
⑥ヒヤク的な上昇。
⑦車のエンジンがクドウする。
まとめ
今回は『「動」への変化』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。本文中の重要語句については以下の記事でまとめています。