私作りとプライバシー 意味調べ 語句 要約 テスト問題

『私作りとプライバシー』は、『現代の国語』における評論文です。高校教科書にも載せられています。

ただ、本文を読むとその内容が分かりにくいと感じる人も多いと思われます。そこで今回は、あらすじや要約、語句の意味などを含め解説しました。

『私作りとプライバシー』のあらすじ

 

あらすじ

①タレントが、自らの私生活をマスメディアに公表することは珍しくなくなった。これが果たして、売名行為か物語化の阻止か、裁定を下すつもりはない。その際に関心を向けるべきは、誰が「私作り」のイニシアティブを取るかであり、このことこそがプライバシーと深く関わっている。

②マスメディアと有名人は、しばしば相容れない。マスメディアに都合がいい物語は、タレントのイメージにとっては不利益であることが多いからだ。問題の核心は、「私作り」の主導権を誰が握るかということである。マスメディアによって自分のイメージを作られてしまいそうな人々にとって、自分自身の情報を自らコントロールすることの重要度は高いのである。

③昨今、人々はインターネットやウェブサイト、ブログなど、マスメディアに対抗する強力な情報発信ツールを手に入れた。「私作り」の主導権を確保するうえでは、画期的な手段である。このことからは、一般的にプライバシーがどのように自己と関わっているかをはっきり見て取れる。彼らに限らず、一般にプライバシーとは「私作り」のイニシアティブの問題である。

④プライバシーとは、ただ単に自分に関する情報の流れをコントロールするという消極的な側面だけでなく、いかに自分の情報を作っていけるか、という積極的な面も含まれる。そのために、プライバシーはこれら両面から理解していく必要がある。

『私作りとプライバシー』の本文解説

 

現代社会は、ネットの発達により個人が自由に情報を発信することが可能となりました。例えば、ブログやウェブサイトといったものを持てば、自分の知識や趣味、日常生活の様子などを自由に公表することができます。

この事により、筆者は「私作り」のイニシアティブ(主導権)を確保することができるようになったのだと述べています。

一昔前までは、マスメディアが芸能人の情報を公表すれば、その芸能人は太刀打ちできず、自分のイメージをコントロールすることなどはできませんでした。

しかし、自ら情報発信する手段を手に入れた私たちは、自分の物語を世の中に積極的に出すことができるようになりました。この事からは、私たちの自己とプライバシーがどのように関わっているかをはっきりと見て取ることができると筆者は述べています。

最終的に筆者は、「プライバシー」とは、情報の流れをコントロールするという消極的な側面だけでなく、自分の情報を作っていくという積極的な面を含むものであり、そのためにプライバシーはこの両面から理解していく必要があると述べています。

つまり、今後の私たちが情報化社会で生きていく上では、消極的および積極的の両面からプライバシーを理解していく必要があるということです。

『私作りとプライバシー』の意味調べノート

 

【マスメディア】⇒新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどの媒体。大衆媒体。「マス」とは「大衆」、「メディア」とは「媒体」という意味。

【暴露(ばくろ)】⇒秘密・悪事などをあばいて明るみに出すこと。

【憤慨(ふんがい)】⇒ひどく腹を立てること。

【売名行為(ばいめいこうい)】⇒自分の名前を売るために、世間に広めようとする行為。

【眉をひそめる】⇒他人の嫌な行為に不快を感じて、顔をしかめる。

【プライバシー】⇒他人に知られたくない個人の私生活。個人の秘密。

【先手を打つ(せんてをうつ)】⇒先に攻撃をしかける。また、起こりそうな事態に備えておく。

【詮索(せんさく)】⇒細かい点まで調べ求めること。

【出鼻(でばな)をくじく】⇒物事を始めようとする意気込みや、勢いに乗って調子づこうとするのを機先を制して妨げる。

【裁定を下す(さいていをくだす)】⇒物事の善悪をさばいて決める。

【イニシアティブ】⇒主導権。中心となって物事を導く権力。

【ステレオタイプ】⇒行動や考え方が、固定的・画一的であり、新鮮味のないこと。固定観念。

【聖人君子(せいじんくんし)】⇒立派な人徳やすぐれた知識・教養を身につけた理想的な人物。

【勧善懲悪(かんぜんちょうあく)】⇒善い人や善い行いをした者をほめ、悪者や悪い行いをした者を懲らしめること。

【清廉潔白(せいれんけっぱく)】⇒心が清くて私欲がなく、後ろ暗いところのないこと。

【人格的(じんかくてき)】⇒人柄が優れていて、高い品性を持つさま。

【相容れない(あいいれない)】⇒互いの主張や立場が相反していて両立しない。

【太刀打ち(たちうち)】⇒まともに張り合うこと。

【核心(かくしん)】⇒物事の中心となる大切なところ。

【昨今(さっこん)】⇒近頃。この頃。

【画期的(かっきてき)】⇒今までになかったことをして、新しい時代を開くさま。

【主体的(しゅたいてき)】⇒自分の意志・判断に基づいて行動するさま。

【侵害(しんがい)】⇒他人の権利や所有などをおかして損害を与えること。

『私作りとプライバシー』のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

①私生活をバクロされる。

②権利をシンガイする。

③問題のカクシンをつく。

④彼はカンゼン懲悪な人物だ。

カッキテキな提案を行う。

解答①暴露 ②侵害 ③核心 ④勧善 ⑤画期的
問題2「このようなことがなぜ行われるのかということ、そしてそれが~」とあるが、「このようなこと」とはどのような事か?本文中の言葉を用いて説明しなさい。
解答マスメディアに勝手に詮索されて記事にされる前に、タレント自らが情報を公開し、先手を打つこと。
問題3筆者は、一般にプライバシーとはどのような問題だと定義しているか?本文中からそのまま抜き出しなさい。
解答〔「私作り」のイニシアティブ〕の問題。
問題4第四段落における、プライバシーについての考え方の要旨を100字内でまとめなさい。
解答例プライバシーとは「自己に関するイメージを自らコントロールする権利」であり、自分に関する情報の流れをコントロールするという消極的な側面だけでなく、いかに自分の情報を作っていけるかという積極的な面も含む。(100字)

まとめ

 

以上、今回は『私作りとプライバシー』についてまとめました。ぜひノート代わりにして頂ければと思います。