『シンシュン』は、中学国語の教科書で学ぶ小説文です。そのため、学校の定期テストで出題されたり、読書感想文の課題が出されたりすることがあります。
ただ、実際にはその内容が分かりにくいと感じる人も多いと思われます。そこで今回は、『シンシュン』に出てくる漢字や語句、あらすじ・要約などを含めなるべく簡単に解説しました。
『シンシュン』のあらすじ・要約
「僕(シュンタ)」と「シンタ」は、見た目や好きなもの、嫌いなものなどが似ていてとても仲良しだった。
名字や名前、誕生日などは違うけども、まるで双子のような関係だった。そのため、クラスのみんなからは二人合わせて「シンシュン」と呼ばれていた。
ところが、ある日の国語の授業をきっかけに二人の意見が合わなくなってしまう出来事が起こる。
僕は授業で読んだ小説を、暗くて悲しい話だけどもすごく好きだと感じた。僕が好きなのだから、シンタも好きなのだろうと話を切り出すと、シンタは「あれ、嫌いだ」と言った。
僕が好きなものをシンタが嫌いといったことが悲しくて、そして悔しかった。それから二人は前みたいに話せなくなり、当たり前のことばかりを話すようになった。
このまま気まずい関係が続くよりは、どうせならけんかをした方がよいと考えた僕は、シンタに話しかける。
するとシンタはその事をちゃんと覚えていて、僕が傷ついていたのも分かっていたらしい。僕もシンタも、お互いの違うところを発見するのが怖かったということが分かった。
だからこそ、お互いが話そうと仲直りをした。それから僕たちは、以前よりもまして話すようになった。
僕とシンタは見た目や好きなものなどが似ていて、クラスのみんなからは「シンシュン」と呼ばれていた。
国語の授業で読んだ小説について、お互いの意見が合わず、それから二人は当たり前のことばかりを話すようになった。
気まずいよりはケンカをしたほうがよいと考えた僕はシンタに話しかけた。
お互い違うところを発見するのが怖かったと分かり、だからこそ話そうと仲直りをした。
『シンシュン』の漢字&重要語句一覧
【驚く(おどろく)】⇒意外なことに出くわして、びっくりする。
【僕(ぼく)】⇒男性が自分をさしていう語。
【二重(ふたえ)】⇒二重まぶたの略。
【鼻筋(はなすじ)】⇒眉間 (みけん)から鼻先までの線。
【制服(せいふく)】⇒学生が着る服。
【なおさら】⇒物事の程度が前よりいっそう進むさま。ますます。
【磁石(じしゃく)】⇒鉄を引きつける磁力をもつ物体。
【牛丼(ぎゅうどん)】⇒煮た牛肉とたまねぎを、汁とともにかけたどんぶり飯。
【炭酸(たんさん)】⇒二酸化炭素が水に溶けて生じる弱い酸。
【蛇口(じゃぐち)】⇒水道管の口に取り付け、水の量を調節する器具。
【靴下(くつした)】⇒足をおおう衣類の一種。
【違う(ちがう)】⇒ちがう。
【双子(ふたご)】⇒同じ母親から一度に生まれた二人の子。
【振り返る(ふりかえる)】⇒後ろへ顔を向ける。
【怒る(おこる)】⇒おこる。腹を立てる。
【~にちがいない】⇒きっと~である。~にきまっている。
【話を切り出す(はなしをきりだす)】⇒思い切って話し始める。
【顔をしかめる(かおをしかめる)】⇒不快などから表情をゆがめる。
【殴る(なぐる)】⇒相手を乱暴に強く打つ。
【悔しい(くやしい)】⇒後悔される。くやまれる。
【絶対に(ぜったいに)】⇒強く否定するときに用いる語。 ※「絶体」とは書かない点に注意。
【放課後(ほうかご)】⇒学校でその日の授業が終わったあと。
【口数(くちかず)】⇒ものを言う回数。言葉の数。
【黙る(だまる)】⇒ものを言うことをやめる。無言になる。
【離れる(はなれる)】⇒遠ざかって別々になる。
【勇気(ゆうき)】⇒いさましい気持ち。困難や危険を恐れない心。
【必死(ひっし)】⇒死にもの狂いで全力を尽くすこと。
【傷つく(きずつく)】⇒人の感情などが損(そこ)なわれる。
【謝る(あやまる)】⇒悪かったと思って相手に許しを願う。わびる。
【照れくさい(てれくさい)】⇒気恥ずかしい。きまりが悪い。
【笑顔(えがお)】⇒にこにこと笑った顔。
【~にもまして】⇒~以上に。(過去と比べ程度が高いことを表す表現)
『シンシュン』のポイント&要点
この話のポイントは、最初と最後で、私とシンタの気持ちに大きな変化が生まれた点にあります。
最初は、お互いがそっくり双子のような関係であるという説明がしばらく続きます。具体的には、以下のような表現です。
ところが、授業中に起こった事件により、お互いの価値観の違いに両者が気付くことになります。そして、当たり前のこと、誰がみてもそうとしか考えられないような話題しか話せないようになります。
このままではいけないということで、シュンタが行動を起こし、「違うところを発見するのが怖かった」ということを言います。それを聞いたシンタは「僕も」と大きな声で言います。
そして、僕は「だからこそ話そう」と言い、その後で「シンタはまっすぐ僕を見た。僕もシンタをまっすぐに見た。」という描写があります。このシーンにより、両者の気持ちに大きくはっきりとした変化が出たことが分かります。
さらに、最後の一文で「僕たちはそれから、前にもましておしゃべりになった」という文で終わっています。これが例えば、「前と同じようにおしゃべりになった」であれば、以前と二人の気持ちが全く変わらないことになります。
「前にもまして」と表現することで、二人の気持ちが大きく変わったことを読者に伝えているのです。
まとめると、以下のようになります。
以前の二人の気持ち⇒「同じだから二人で一緒にいられる」「違うところがあれば二人で一緒にいられなくなる」
今の二人の気持ち⇒「お互いの違いを話すことが重要で、違くてもいい」「違う人間だけど二人で一緒にいることができる」
つまり、ただ似た者同士であるという関係性から、お互いの違いも受け止められるような深い関係性に変化したということです。
『シンシュン』の読書感想文の書き方
学校の授業などで、「読書感想文を書きなさい」という課題が出されることがあります。
読書感想文は、はっきりとした正解がわるわけではありませんが、正解に近いような書き方はあります。
本作の場合、あなたが実際に今まで友達と接してきた際に、物語と同じような体験をしたことがあれば、その体験を書くのが最も簡単です。
例えば、仲の良い似た考えの友人がいたけども、違う点を正直に話し合ったことで、より仲良くなったというような具体的なエピソードです。
筆者の主張として、「自分と相手が違くても、違いを理解することで良い友人関係を作れる」というものがあります。
したがって、自分の体験談を物語と照らし合わせて感想を書くのは、比較的分かりやすい書き方だと言えます。
逆に、もしもあなたにそのような体験談がないとしたらどうすればいいでしょうか?
その場合は、「今後は親しい友人であっても、違いを受け止められるような関係にしていきたい」といった結論でまとめるのが書きやすいです。
人間というのは、どんなに親しい友人であっても全く同じ考えを持っているというのはありません。
なぜなら、持って生まれた性格や環境、遺伝子、親の育て方などはそれぞれ異なるためです。似ているように見えて、実は似ていないのが人間なのです。
この物語の最後の段落にも、「僕たちはそっくりだった。そっくりだけど、全然違う人間なのだった」という一文があります。
この一文は、まさに人間の本質を表したものだと言えます。
私たちは、小学生⇒中学生⇒高校生⇒社会人になるにつれ、様々な人と出会います。
特に、中学校に進むと様々な地区から色々な人が集まりますので、それぞれの考え方が違うということがよくあります。
その時に求められるのは、「自分と相手の違いを理解すること」そして「違う考えでも一緒にいていい」という考え方です。
読書感想文では、このような切り口で、あなたの過去の体験談や今度の友達との付き合い方を書くのがよいでしょう。
まとめ
以上、この記事では『シンシュン』のあらすじや要約、重要漢字などをまとめました。ぜひ定期テストの対策や感想文の参考として頂ければと思います。