『坊っちゃん』は、夏目漱石による有名な小説文です。中学国語の教科書にも取り上げられているため、学校の授業においても学びます。
ただ、本文中には意味の分かりにくい言葉も多くあります。そこで今回は、『坊っちゃん』に出てくる漢字や重要語句を一覧にしてわかりやすくまとめました。
第一段落:坊っちゃんの少年時代
【親譲り(おやゆずり)】⇒親から性格などを受け継ぐこと。
【無鉄砲(むてっぽう)】⇒後先の事をよく考えずに、むやみに行動すること。
【時分(じぶん)】⇒おおよその時期。
【腰を抜かす(こしをぬかす)】⇒腰の関節が外れたり、腰の力がなくなったりして立てなくなる。
【無闇(むやみ)】⇒結果や是非を考えずに、いちずに物事をすること。
【別段(べつだん)】⇒特に。特別に。※あとに打消しの語を伴う。
【新築(しんちく)】⇒新しく建てた建物。
【はやす(囃す)】⇒大きな声でほめたり、あざけったりして騒ぐ。※ここでは後者。
【小使(こづかい)】⇒用務員のこと。学校で雑用に従事する人。
【親類(しんるい)】⇒親戚 (しんせき) 。
【奇麗(きれい)】⇒色・形などが華やかな美しさをもっているさま。「綺麗」とも書く。
【親指の甲(おやゆびのこう)】⇒親指のおもての面。
【はす】⇒ななめ。
【幸(さいわい)】⇒運よく。
【創痕(きずあと)】⇒きずのあと。
【いささか】⇒少し。わずかばかり。
【菜園(さいえん)】⇒野菜を作る畑。
【熟する(じゅくする)】⇒果実などが十分に実る。うれる。
【起き抜け(おきぬけ)】⇒寝床から起き出したばかりのこと。
【背戸(せど)】⇒家の裏口。また、裏門。
【四つ目垣(よつめがき)】⇒竹垣の一種。網目が四角な垣。
【質屋(しちや)】⇒物品を質にとって金銭の貸し付けを行う業者。「質」とは質屋から金銭を借りるときに、保証として預けておくものを指す。
【庭続き(にわつづき)】⇒庭に接していること。また、境なしに庭に続いていること。
【倅(せがれ)】⇒ 他人の息子をくだけていう語。
【無論(むろん)】⇒もちろん。言うまでもなく。
【折戸(おりど)】⇒二枚の板を蝶番(ちょうつがい)でつなぎ、折り畳めるように作った開き戸。
【逃げ路(にげみち)】⇒逃げ道。
【鉢の開いた頭(はちのひらいたあたま)】⇒「鉢額(はちびたい)」のこと。「鉢額」とは「はげ上がって、広く突き出た額」をあざけっていう語。「鉢」には「食器」や「植木鉢」の意味以外に、「頭の横まわり」という意味もある。
【拍子(ひょうし)】⇒何かが行われたちょうどそのとき。とたん。
【袷(あわせ)】⇒裏地をつけて仕立てた着物。
【袖(そで)】⇒衣服で、身頃(みごろ)の左右にあって、腕をおおう部分。
【靡く(なびく)】⇒横にゆらめくように動く。
【垣根(かきね)】⇒敷地を限るために設ける囲いや仕切り。竹や植木などで作る。
【足搦(あしがら)】⇒足をからませて相手を倒す技。
【六尺(ろくしゃく)】⇒約180センチ。一尺は約30センチを指す。
【領分(りょうぶん)】⇒領有している土地。
【真逆様(まっさかさま)】⇒全くさかさまであること。
【ぐう】⇒息が詰まって苦しいときに発する声。
【詫び(わび)】⇒あやまること。謝罪すること。
【この外(ほか)】⇒このほか。これのほか。
【大分(だいぶ)】⇒相当。ずいぶん。程度がはなはだしいさまを表す。
【肴屋(さかなや)】⇒魚屋。
【藁(わら)】⇒稲・麦などの茎を乾燥させたもの。
【敷く(しく)】⇒一面に平らに広げる。
【尻を持ち込む(しりをもちこむ)】⇒事後の責任を問う。 後始末をせまる。
【孟宗(もうそう)】⇒「孟宗竹 (もうそうちく)」の略。孟宗竹とは「イネ科の竹(通常の竹)」を表す。
【節(ふし)】⇒竹の茎にある、ふくれた区切り。
【挿し込む(さしこむ)】⇒物の中などに、他の物をさして入れる。
第二段落:「坊っちゃん」と「家族」
【贔屓(ひいき)】⇒気に入った人を特に引き立てること。
【やに】⇒いやに。(東京弁)
【芝居(しばい)】⇒演技をすること。
【女形(おんながた)】⇒歌舞伎で、女の役を演じる男の役者。江戸初期に、女歌舞伎が禁止されて以後に現れた。
【碌(ろく)】⇒正常なこと。まともなこと。
【行く先が案じられる(ゆくさきがあんじられる)】⇒これから先の事が心配される。
【懲役(ちょうえき)】⇒罪を犯して刑務所に投獄されること。
【へっつい】⇒かまどのこと。
【肋骨(あばらぼね)】⇒胸の左右に二対ある骨。
【大層(たいそう)】⇒非常に。たいへん。
【親類(しんるい)】⇒親戚。
【報知(しらせ)】⇒知らせ。
【大病(たいびょう)】⇒大きな病気。重い病気。
【親不孝(おやふこう)】⇒親を大切にしないで、心配や迷惑をかけること。
【口惜しい(くちやしい)】⇒悔しい。腹立たしい。
【横っ面(よこっつら)】⇒顔の横側。
【張る(はる)】⇒平手で打つ。はたく。
【口癖(くちぐせ)】⇒癖のようにいつも言うこと。
【妙(みょう)】⇒不思議なこと。奇妙なこと。
【実業家(じつぎょうか)】⇒商業・工業・金融業など、経済的事業を営む人。
【元来(がんらい)】⇒もともと。
【性分(しょうぶん)】⇒生まれつきの性質。
【一遍(いっぺん)】⇒一回。一度。
【卑怯(ひきょう)】⇒正々堂々としていないこと。
【待駒(まちごま)】⇒将棋で、相手の王将の逃げ道を予測して、先にその道をふさぐように自分の駒を打っておくこと。
【飛車(ひしゃ)】⇒将棋の駒 (こま)の一つ。縦横に動くことができる。
【眉間(みけん)】⇒眉(まゆ)と眉との間。
【勘当(かんどう)】⇒親が子との縁を切ること。
第三段落:「坊っちゃん」と「清」
【観念(かんねん)】⇒あきらめて、状況を受け入れること。
【先方(せんぽう)】⇒相手方 (がた) 。 相手の人。
【召し使う(めしつかう)】⇒人を雑用のために使う。
【下女(げじょ)】⇒雑用に使われる召使い(めしつかい)の女。
【由緒(ゆいしょ)】⇒現在に至るまでのりっぱな歴史。
【瓦解(がかい)】⇒一部の瓦がくずれ落ちて屋根全体に及ぶように、ある一部の破れ目から組織全体が壊れること。
【零落(れいらく)】⇒落ちぶれること。
【奉公(ほうこう)】⇒他人の家に雇われて、その家事・家業に従事すること。
【因縁(いんえん)】⇒理由。※現在では「いんねん」と読む。
【愛想(あいそ)をつかす】⇒あきれて好意や愛情を捨てる。見限る。
【年中(ねんじゅう)】⇒いつも。始終。
【持て余す(もてあます)】⇒取り扱い方や処置に困る。
【悪太郎(あくたろう)】⇒乱暴ないたずらをする子供をののしっていう語。
【爪弾き(つまはじき)】⇒ある人を忌みきらって、排斥すること。しりぞけること。
【珍重(ちんちょう)】⇒珍しいものとして大切にすること。
【性(たち)】⇒生まれつきもっている性質や体質。
【木の端(きのはし)】⇒取るに足りないもの。
【ちやほや】⇒おだてたり甘やかしたりするさま。
【不審(ふしん)】⇒疑わしく思うこと。
【気性(きしょう)】⇒生まれつきの性質。気質。きだて。
【お世辞(おせじ)】⇒他人に対する愛想のよい言葉。人に気に入られるような上手な口ぶり。
【常(つね)】⇒いつもそうであること。
【眺める(ながめる)】⇒じっと見つめる。感情をこめて、つくづくと見る。
【製造(せいぞう)】⇒作ること。
【小供心(こどもごころ)】⇒物事の深い意味や人情などを理解できない、子供の心。
【廃(よ)す】⇒止(よ)す、やめる。などの意。
【金鍔(きんつば)・紅梅焼(こうばいやき)】⇒どちらも焼き菓子の一種。
【靴足袋(くつたび)】⇒靴下。
【帳面(ちょうめん)】⇒ノート。
【入(い)らない】⇒要(い)らない。
【蝦蟇口(がまぐち)】⇒口金(くちがね)の付いた小銭入れ。
【懐(ふところ)】⇒衣服を着たときの、胸のあたりの内側の部分。
【後架(こうか)】⇒便所。
【のそのそ】⇒動作が鈍くてきびきびしていないさま。
【井戸端(いどばた)】⇒井戸のそば。井戸の付近。
【模様(もよう)】⇒ものの表面にあらわれた絵や形。
【火鉢(ひばち)】⇒暖房具の一種。灰を入れ、中に炭火をおこす。
【澄した(すました)】⇒なんでもないような態度をとっているさま。
【依怙贔屓(えこひいき)】⇒自分の気に入った人だけに目をかけたり、味方したりすること。
【麹町(こうじまち)】⇒現在の東京都千代田区の地名。
【麻布(あざぶ)】⇒現在の東京都港区にある地名。
【西洋間(せいようま)】⇒洋間。西洋風につくった部屋。
【不用(ふよう)】⇒必要のないこと。
【賞める(ほめる)】⇒褒(ほ)める。
【一概に(いちがいに)】⇒ 細かい区別をせずに、おしなべて。ひとくちに。ひっくるめて。
【不仕合(ふしあわせ)】⇒不幸せ。
【閉口(へいこう)】⇒いやになること。困ること。