水を差す 意味 例文 使い方 語源 由来 類義語

「水を差す」という慣用句は普段からよく目にします。主に、「彼女は水を差す人だ」「水を差すようで申し訳ないが、~」などのように用います。

ただ、よく目にするにも関わらず、語源や使い方まで把握しているという人は少ないです。そこで本記事では、「水を差す」の意味や由来、類語、英語訳などを含め詳しく解説しました。

水を差すの意味・読み方

 

最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。

【水を差す(みずをさす)】

①水を加えて薄くする。

仲のいい者同士や、うまく進行している事などに、わきから邪魔をする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

水を差す」は「みずをさす」と読みます。意味は「うまくいっている物事に対して邪魔をすること」です。

例えば、会議の場で多くの人が「A」という意見でまとまっていたとします。このまま順調に進めば、会議はスムーズに終わるでしょう。

ところが、会議の最後で突然、「やっぱりBのほうがいいんじゃない?」と意見を言う人が現れたとします。この場合、せっかく会議がうまくいっているのに、また一からやり直さなくてはいけません。

このようにうまく進行している物事に対して邪魔をすることを「水を差す」と言うわけです。

また、「水を差す」には、「仲のいい者同士の邪魔をする」という意味もあります。

こちらも簡単な例を挙げますと、例えば山田君と田中君というお互い仲の良い友達がいたとします。二人は共通の趣味であるサッカーの話題で盛り上がっていました。

ところが、空気の読めない第三者が突然二人の話に入ってきて、全く関係のない話題を振ったとします。この場合も同じく、「水を差す」行為だということができます。

つまり「水を差す」とは端的に言いますと第三者が邪魔をする行為を表す慣用句ということです。多くは空気の読めない発言や流れに沿わない行動を指して言うことが多いです。

水を差すの語源・由来

 

「水を差す」の「」というのは、文字通り水道水や飲料水などに使われる「水」のことです。そして、「差す」というのは「入れる」「注ぎ込む」などの意味があります。

ここから「水を入れる」という行為を考えてみますと、例えば熱いお茶というのは水を入れれば一気に冷めてしまいます。また、甘いジュースも水を注ぎ込めば薄くなってしまいます。

さらに、料理の味付けなども、ちょうど良い具合いの味に水を追加すれば、たちまちまずくなってしまうでしょう。

このように、温度や味付けがしっかりしている飲食物に水を追加する行為は、対象の邪魔をすることになってしまいます。

転じて、「水を差す」=「邪魔をする」という意味になったわけです。つまり、「水を差す」の由来は「食べ物や飲み物などの料理を台無しにする様子」から来ていることになります。

現代ではこの意味として使われることはありませんが、本来の意味としては液体としての水を薄める行為をから来ているのです。

水を差すの類義語

水を差す 類義語 言い換え

続いて、「水を差す」の類義語を紹介します。

腰を折る(こしをおる)】⇒話などを途中で妨げる。
横槍を入れる(よこやりをいれる)】⇒人の話や仕事に、横から口を出して妨げる。
出鼻をくじく(でばなをくじく)】⇒やり始めたばかりで、邪魔が入る。
楔を打ち込む(くさびをうちこむ)】⇒親しい間柄に邪魔を入れる。

以上、4つの類義語を紹介しました。この中でも「腰を折る」と「横やりを入れる」は特によく使われます。

まず、「腰を折る」ですが、同じく人の話を邪魔するような時に使います。ただし、「腰を折る」はその中でも特に話の重要部を壊して話自体をダメにしてしまうよう意味が込められています。

「折る」の「折」は「骨折」という言葉もあるように、物事を壊すような意味を持っているからです。

そして、もう一つの「横やりを入れる」もほぼ同じ意味として使えますが、こちらの方が「水を差す」や「腰を折る」よりも悪質なイメージです。

「横やりを入れる」は、空気が読めないどころではなく、文句やケチをつけて非難するような時に使われます。要するに、わざと相手を妨げるような行為を指すということです。

なお、「水を差す」でなく「水を掛(か)ける」と言う場合もあります。「水を掛ける」とは「活発な動きに邪魔をしてだめにすること」を意味し、「議論に水を掛ける」などのように用いす。

「水を差す」と「水を掛ける」は、ほぼ同じ意味なので同義語だと考えても構いません。その他、慣用句以外では、「邪魔をする・妨げる」などの言葉も同義語だと言えます。

水を差すの英語訳

 

「水を差す」は、英語だと次のような言い方があります。

disturb(乱す)」

interrupt(妨害する)」

bother(迷惑をかける)」

どれも何かに対して「邪魔をする」という意味を含んでいますが、「disturb」 は秩序などの安定しているモノを妨げる時に使います。

また、「interrupt」は継続的に行われていることを中断させるような時に使います。最後の「bother」は、相手を困らせたり悩ませたりするような時に使います。

例文も紹介しておくと、次のような形です。

Don‘t disturb the peace.(治安を乱すのはやめなさい。)

I’m sorry to interrupt you.(あなたの邪魔をして申し訳ないです。)

Don’t bother me!(私の邪魔をしないでくれ!)

この中でも一番ニュアンスが近いのは「interrupt」です。「interrupt」は、人の会話を中断させるようなときに使いやすいので便利です。

水を差すの使い方・例文

 

最後に、「水を差す」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 盛り上がっている話にいつも水を差す人なので、彼はやりにくい存在だ。
  2. 映画のクライマックスに水を差すように、関係ない人達の声が聞こえてきた。
  3. 話に水を差すようで申し訳ないが、私はそんなことは全く聞いていません。
  4. 私が女の子と仲良く話していると、水を差すように彼女が割って入ってきた。
  5. 水を差すようで申し訳ありませんが、明日の仕事の待ち合わせ時刻を確認したいです。
  6. 盛り上がっている所に水を差すようで悪いが、そろそろ時間も遅いのでお開きにしよう。
  7. 常に水を差す発言をしてくる彼の心理が、私たちにはとうてい理解できません。

 

「水を差す」は、様々な場面で使われます。

1.のように鈍感な人に使うのは、分かりやすいケースです。この場合は、単に空気が読めない人という意味です。

4.のように、仲の良い関係性に対して第三者が嫉妬をするような場合も使われます。この場合は、彼女がわざと「水を差した」ということです。

そして5.は、ビジネスマンが使う表現として用いられています。ビジネスの現場では、目上の人に意見をするような場合、何かクッションとなる言葉が必要です。

いきなり、「明日の仕事の待ち合わせ時刻を確認したいです。」などと言うよりも、「水を差すようで申し訳ありませんが~」とワンクッション入れた方がその場の雰囲気を壊しにくいです。そのため、上記のような前置きの文として用いられていることになります。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

水を差す」=うまくいっている物事に対して邪魔をする。仲のいい者同士の邪魔をする。

語源・由来」=「温度や味付けがしっかりしている飲食物に水を追加する行為は、邪魔をすること」だから。

類義語」=「腰を折る」「横やりを入れる」「出鼻をくじく」「楔を打ち込む」

英語訳」=「disturb」「interrupt」「bother」

「水を差す」という表現は仕事やプライベートなど様々な場面で使うことができます。これを機会にぜひ正しい使い方を覚えて頂ければと思います。