ブルジョワとは 意味 語源 使い方 簡単に わかりやすく

「ブルジョワ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?別の言い方だと、「ブルジョワジー」と言うこともあります。

実はこの言葉は世界史の用語として頻出ですが、現代文の用語としてもよく使われています。そこで今回は、「ブルジョワ」の意味や使い方、対義語などを含めなるべく簡単に解説しました。

ブルジョワの意味

 

まず、「ブルジョワ」の意味を調べると次のように書かれています。

【ブルジョワ】

中世ヨーロッパで、上層の貴族・僧と下層の労働者・農民との中間に位置した商工業者。市民。町人。

近代資本主義社会で、資本家階級に属する人。

金持ち。財産家。ブル。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

ブルジョワ」には3つの意味があります。これはなぜかと言いますと、時代によって意味が変遷していったからです。

1つ目は、「中世ヨーロッパにおける商工業者。市民。町人」という意味です。

当時のヨーロッパでは、上流市民である貴族と下層市民である農民の間に位置した階級がありました。それが、「中産階級」と呼ばれるものです。

この中産階級に位置した商工業者や市民のことを、「ブルジョワ」と呼んでいたのです。

現在でも使われるようになった「ブルジョワ」の由来が、中世ヨーロッパの「市民」にあると言われています。

そして2つ目は、「資本家階級に属する人」という意味です。

「資本家」とは「土地や工場などの生産手段を持っている人」のことを指します。要するに、「財産をたくさん持っている階級の人」ということです。

この意味で使う場合は、「マルクス主義の中での資本家階級」という位置付けで使われます。

「マルクス主義」とは、19世紀にカール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスによって提唱された社会主義的な考えのことです。

マルクスは、土地や工場などの生産手段を持たない労働者に対して、逆に生産手段を持った人たちのことを「ブルジョワ」と定義したのです。

この階級に属する人たちのことを、「資産が有る」と書いて「有産階級」と呼んだりもします。

3つ目は、「お金持ち・資産家」という意味です。

この意味は、現代の社会でよく使われているものです。

20世紀後半以降の社会では、階級という概念が取り払われるようになりました。

しかし、当時の名残りがまだあるため、お金や不動産などの資産を多く持っている人のことを現在でも「ブルジョワ」と呼んでいるのです。

主な使い方としては、「あいつはブルジョワだ」「ブルジョワな生活をする」などがあります。

以上のことから考えますと、「ブルジョワ」の本来の意味は「お金持ち」ではなかったということが分かるかと思います。

元々「ブルジョワ」は、中世では「都市(bours)の市民」を指す言葉でした。すなわち、「市民」が語源なのです。

ところが、時代が進むにつれて「中産階級」⇒「資本家階級」⇒「お金持ち」と意味が変わっていったということです。

したがって、もしも「ブルジョワ」という言葉が使われていた場合、それがどの時代の「ブルジョワ」を指しているのかは見極める必要があります。

ちなみに、「ブルジョワ」と似た言葉として「ブルジョワジー」があります。

両者の違いとしては、「ブルジョワ」は個別・個人を指し、「ブルジョワジー」は集団を指すという特徴が挙げられます。つまり、「富裕者」と「富裕層」の違いと同じということです。

ただし、基本的な意味はほとんど変わらないため、違いに関してはそこまで神経質になる必要はありません。

ブルジョワ革命とは

ブルジョワ革命 簡単に わかりやすく

ブルジョワ革命」とは、一言で言うと「市民革命」のことを指します。

「市民革命」とは「市民階級が封建権力や絶対主義権力を倒し、国家権力を握る革命」のことを意味します。

例を挙げますと、16世紀の「オランダ独立戦争」、17世紀の「イギリス革命」、18世紀の「フランス革命」などが挙げられます。

この中で最も有名なのが「フランス革命」です。当時のフランスは、「アンシャン・レジーム」という絶対的な封建体制をとっていました。

国民を3つの階級に分け、一番上を「聖職者」、二番目を「貴族」、三番目を「平民」とする序列です。

この3つの階級は、大多数の平民たちが、一部の聖職者と貴族の生活を支えるという大変偏った構造でした。

そのため、平民たちの不平や不満が爆発し、ついに革命が起こったということです。

なお、「ブルジョワ革命」における「ブルジョワ」は、この時点では「平民(市民)」のことを指しています。「資本家階級」を指しているわけではありません。

貴族などがまだ登場する時代においては、ブルジョワは平民であり、市民を指していました。

ところが、市民革命後に近代資本主義社会が形成される中で、次第に「資本家」と「労働者」という明確な区別がついていくようになります。

その結果、「ブルジョワ」=「資本家階級」という定義になったのです。

ブルジョワの類義語・対義語

 

「ブルジョワ」の類義語には、以下のような言葉が挙げられます。

中産階級・中間層・小市民・市民・平民・資産家・お金持ち・富裕層

「ブルジョワ」の意味は複数あるため、類義語の方も必然的に種類が多くなります。

逆に、「対義語」としては「プロレタリア」が挙げられます。

【プロレタリア】

古代ローマの最下層の市民。

資本主義社会において、生産手段を持たず、自分の労働力を資本家に売って生活する賃金労働者。また、その階級。無産者。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

プロレタリア」とは「資本家に雇われている労働者」という意味です。

元々この言葉は、ラテン語の「Proles(プロレス)」に由来します。

「Proles」には「貧乏人」という意味があり、古代ローマの最下層の人たちを表していました。

「プロレタリア」の元々の語源は、「階級社会の一番下の貧しい人たち」だったのです。

「Proles」は中世になっても「財産を持たないその日暮らしの人たち」という意味で使われていました。

ところが、時代が中世から資本主義の時代になると、「資本家」が「労働者」を雇うようになりました。

プロレタリアは、この「資本家」と「労働者」が登場してから一気に広まるようになったのです。

現在では「資本家に雇われている労働者」を「プロレタリア」と呼ぶのが一般的です。

なお、似たような言葉で「プロレタリアート」というものもあります。

どちらもほとんど同じ意味で使いますが、「プロレタリアート」を「労働者階級・無産者階級」、「プロレタリア」を「労働者・無産者」と区別して使う場合もあるようです。

「無産者」や「無産階級」とは、生産手段を持っていない人のことです。「無産」とは、文字通り「み出すものがい」と書くのでこのような意味となります。

ブルジョワの使い方・例文

 

最後に、「ブルジョワ」の使い方を例文で確認しておきましょう。

  1. 市民革命では、ブルジョワにより特権階級が倒された。
  2. 世界で最初のブルジョワ革命は、17世紀イギリスの革命と言われている。
  3. 資本主義の発達により、ブルジョワが労働者を酷使する問題点が浮き彫りとなった。
  4. 当時のヨーロッパは、ブルジョワとプロレタリアによる対立構造であった。
  5. 彼は株で儲けてからは、随分とブルジョワな生活をしているらしい。
  6. 彼女の一族は、土地や建物をたくさん保有しているブルジョワだと聞いた。

 

簡単に補足すると、1と2の「ブルジョワ」は「市民」という意味です。また、3と4の「ブルジョワ」は「資本家階級の人」という意味です。

そして5と6の「ブルジョワ」は「お金持ち・資産家」という意味です。このように、同じ「ブルジョワ」でも状況に応じて意味が異なってくることになります。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

ブルジョワ」=①商工業者。市民。町人資本家階級に属する人お金持ち・資産家

類義語」=「中産階級・中間層・小市民・市民・平民・資産家・お金持ち・富裕層」

対義語」=プロレタリア・プロレタリアート・無産階級。

「ブルジョワ」という言葉は、時代が進むにつれ「中産階級」⇒「資本家階級」⇒「お金持ち」と意味が変わっていきました。当時の時代背景を理解しておけば頭にも入ってきやすいです。ぜひ正しい意味を理解した上で、実際の文章を読んで頂ければと思います。