事実なのか考えなのか 言語活動 要約 意味調べノート 漢字

『事実なのか考えなのか』は、教科書・現代の国語で学習する文章です。そのため、定期テストの問題にも出題されています。

ただ、本文を読むと筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、『事実なのか考えなのか』のあらすじや要約、意味調べなどを解説しました。

『事実なのか考えなのか』のあらすじ

 

本文は、五つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①事実と考えは、切り離すことはできない。事実とは、「その正しさがすでに確定している事柄」と言える。それに対して、事実でない事柄については、あくまで自分の考えにとどまるものとして主張しなければならない。

②考えは、「推測」と「意見」に区別される。推測は、事実だと思われるが、まだ不確かであることを述べたものである。意見は、ある事柄に対して価値や重要性を評価したり、規範を述べたり、賛成・反対の態度を表明したりするものである。

③木下是雄の『理科系の作文技術』では、事実と意見は異なることが紹介されていた。木下氏は、事実と意見を区別することの重要性を説いているのだ。

④香西秀信の文章「『正しい』言葉は信じられるか」は、「事実」とは何なのかを考えさせてくれる。自然科学では基本的な考え方が共有されているために、特定の見方のもとで事実を捉えていることはあまり問題にならない。しかし、私たちの生活に関わるさまざまな事実、人物、社会、娯楽、芸術についての多くの事実は、単一の見方のもとで安定しているわけではない。そこには複数の見方があり、事実は多面的なものとして現れる。

⑤私たちの生活に関わる多くの事柄は、一面的な記述にとどまるものではない。ただ一つの客観的事実とそれをめぐる複数の主観的意見があるというのではない。私たちは事実の多面性を認めたうえで、その危険性についても理解しておく必要がある。自分の見方を絶対視して一面的に決めつけるのではなく、他の見方はないか、事実の多面性に対する感受性を鋭敏にしなければならない。そのためにも、一つの物事をさまざまに表現する国語力が要求される。

『事実なのか考えなのか』の要約&本文解説

 

100字要約事実は確定したものであり、考えは推測と意見に分かれる。科学では事実の捉え方が共有されるが、社会や文化の事実は多面的である。自分の見方を絶対視せず、国語力を磨き、多様な視点を持つことが求められる。(97文字)

この文章では、「事実」と「考え」の違いや関係性について説明されています。事実とは「すでに正しさが確定している事柄」ですが、それに対して推測や意見などの「考え」は事実とは異なります。

「推測」は、事実だと考えられるものの、まだ確証がないものを指し、「意見」はある事柄の価値判断や賛否を示すものです。このように、私たちが使う言葉には「事実」と「考え」が混在しているため、それらを区別することが重要だと述べられています。

また、木下是雄の『理科系の作文技術』では、事実と意見を区別することの大切さが強調されています。さらに、香西秀信の「『正しい』言葉は信じられるか」では、私たちの生活における事実の多面性が指摘されます。

例えば、科学の世界では基本的な考え方が共有されているため、事実の捉え方に大きなブレはありません。しかし、社会や文化に関する事実は、人によって見方が異なり、一つの見方だけで判断するのは危険です。

筆者は、事実の多面性を認めることが大切であり、自分の考えを一面的に決めつけず、異なる視点を受け入れる姿勢が必要だと述べています。そのためには、物事を多様に表現する国語力を鍛えることが求められると結論付けています。

『事実なのか考えなのか』の意味調べノート

 

【しばしば】⇒何度も繰り返して起こるさま。頻繁に。

【詐欺(さぎ)】⇒人をだまして金品を奪ったり、損害を与えたりすること。

【規定(きてい)】⇒決まりとして定められた内容や条文。

【さしあたり】⇒当面のところ。とりあえず。

【規範(きはん)】⇒行動や判断の基準となるもの。

【表明(ひょうめい)】⇒自分の考えや意見をはっきり示すこと。

【撤回(てっかい)】⇒一度表明したことを取り消すこと。

【目新しい(めあたらしい)】⇒これまでになく新しいさま。珍しい。

【冒頭(ぼうとう)】⇒文章や話のはじめの部分。最初。

【偉大(いだい)】⇒非常に優れていて立派なこと。

【自然科学(しぜんかがく)】⇒自然界の現象を研究し、法則を明らかにする学問。

【提示(ていじ)】⇒相手に示し出すこと。

【平然(へいぜん)】⇒何事もなかったように落ち着いているさま。

【群衆(ぐんしゅう)】⇒大勢の人々。

【罵声(ばせい)】⇒大声でののしる声。

【事態(じたい)】⇒物事の状況や成り行き。

【娯楽(ごらく)】⇒楽しみとして行うこと。気晴らし。

【多面的(ためんてき)】⇒多くの側面を持っているさま。

【一面的(いちめんてき)】⇒物事を一つの側面だけで見るさま。

【絶対視(ぜったいし)】⇒他と比較せず、それだけが正しいとみなすこと。

【感受性(かんじゅせい)】⇒外部からの刺激や感情を受け取る力。

【鋭敏(えいびん)】⇒感覚や判断力が鋭いこと。

『事実なのか考えなのか』のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

シンライできる友人に相談する。

②この言葉の意味はブンミャクによって変わる。

③彼の意見にサンセイする人は多い。

ボウトウのあいさつが長すぎる。

イダイな功績を残した人物だ。

ヘイゼンとした態度で話を続けた。

ゴラクとして映画を楽しむ。

解答①信頼 ②文脈 ③賛成 ④冒頭 ⑤偉大 ⑥平然 ⑦娯楽
問題2筆者は、「事実」をどのように定義しているか?
解答その正しさがすでに確定している事柄。
問題3「自然科学であれば、事実を述べようとする主張と意見を述べる主張はかなり明確に区別できるだろう。」とあるが、なぜそう言えるのか?
解答自然科学では基本的な考え方が共有されているから。
問題4『香西氏は「どちらが事実か、と問うことは意味がない」と述べる。』とあるが、その理由を答えなさい。
解答どちらの書き方も、特定の見方のもとにある事実描写だから。
問題5「事実の多面性に対する感受性」とはどのような力のことか?
解答一つの物事に対して、複数の見方を感じ取る能力のこと。

まとめ

 

今回は、『事実なのか考えなのか』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。