わからないぐらいがちょうどいい 要約 解説 意味調べノート

「わからないぐらいがちょうどいい」は、教科書・現代の国語で学習する文章です。そのため、定期テストの問題にも出題されています。

ただ、本文を読むと筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、「わからないぐらいがちょうどいい」のあらすじや要約、意味調べなどを解説しました。

「わからないぐらいがちょうどいい」のあらすじ

 

本文は、三つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①SNSで教えてもらった好きな食べ物、好きな音楽、そんなものを知ったところで私はまだまだ君を知らない。他人に「わかる人だよ」と伝えるには、たくさんの自分の事柄を他人と共有しなくてはいけない。自分をデフォルメして、他人に伝える、理解してもらう作業が必要である。自分のことを伝えているつもりで、実際には自分をどんどん打ち消して、まったく別物にしてしまう。そうであれば、その人はそこにいる必要がないし、そんな生き方は悲しすぎる。

②言葉は簡単に、すべてを簡略化して、まったく違うものにする。たった一つの不思議な形をしていた自分だけの感情や関係を、既存の概念に押し込み、余計なものを削り落とす。そうでもしないと他人に伝えれれないからだ。言葉は、気持ちや事実を伝えるために生まれた道具で、とても大切な道具だ。だが、とても危なっかしい道具でもある。言葉にするだけで、簡単にいろんなことが切り捨てられていき、その人だけのささいなこと、あいまいなことが四捨五入のように消えていく。どこまでも意味と紐づいているからこそ、使うだけで、その人だけの感情を押しつぶして消していく。それでも私は、言葉を書く仕事をしている。

③小説や新聞の言葉が、物語や情報を伝えるために書かれるのに対し、詩にはそうした目的がない。だからこそ私は、言葉に切り捨てられてきたものを、詩の言葉ならすくいだせると信じている。詩の言葉は、理解されることを必要としていない。人によっては、意味不明に見えるが、その人にしか出てこない言葉が生き延びている。わからない言葉であればあるほど、その人はその人だけの人生を生きてきたと知ることができる。人が、自分とはまったく違う人生を過ごしてきたということを大切にしたい。100%の理解なんていらないし、したくもない。人はちょっとわからないぐらいがちょうどいい。

「わからないぐらいがちょうどいい」の要約&本文解説

 

100字要約言葉は便利な道具だが、すべてを単純化し、個々の感情や関係を切り捨てる側面がある。詩の言葉は意味を明確にせず、言葉にしづらい感情をすくい出すことができる。人は完全に分かり合えないからこそ価値があるのだ。(100文字)

この文章では、他人とのコミュニケーションにおける言葉の限界と、詩の持つ意義について論じられています。

まず著者は、言葉が便利な道具でありながら、すべてを単純化し、個々の感情や関係性の細かなニュアンスを切り捨ててしまう側面があると指摘しています。

例えば、SNSで「好きな音楽は?」と聞かれ、「ロックが好き」と答えたとしても、それだけでは本当の好みは伝わりません。激しい曲が好きな人もいれば、静かで落ち着いた曲を好む人もいるのに、会話の中では「ロック好き」と一括りにされ、細かな違いは見落とされてしまいます。

しかし、その中で詩だけは、こうした単純化の枠を超え、従来の言葉では表現しきれない感情や曖昧な思いをすくい上げることができると著者は考えます。

詩の言葉は、意味を明確に伝えることを目的とせず、むしろ「わかりにくさ」の中にこそ、個々の感情や体験の豊かさを宿すことができるからです。

そのため筆者は、人は100%理解し合う必要はなく、むしろちょっと「わからない」状態があるぐらいがちょうどいいと主張しています。

この部分が、全体を通した筆者の主張となります。

「わからないぐらいがちょうどいい」の意味調べノート

 

【SNS】⇒インターネット上で人と交流できるサービスのこと。

【共有(きょうゆう)】⇒複数の人が同じものを持ち、一緒に使うこと。

【避ける(さける)】⇒好ましくないものを意識的に遠ざけること。

【デフォルメ】⇒特徴を誇張したり簡略化したりして表現すること。

【簡略化(かんりゃくか)】⇒物事を単純にし、手間を省くこと。

【既存(きぞん)】⇒すでに存在していること。

【概念(がいねん)】⇒ある物事についての一般的な考え方や意味。

【懸命(けんめい)】⇒力の限り努力すること。

【紐付く(ひもづく)】⇒関連付く。関係している。

【詩人(しじん)】⇒詩を作る人。

【共感(きょうかん)】⇒他人の気持ちや考えに同じように感じること。

「わからないぐらいがちょうどいい」のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

サギョウを終えて一息つく。

ジャマが入って集中できない。

カンリャクな手順で説明する。

キゾンのデータを活用する。

ケンメイに走ってゴールを目指す。

解答①作業  ②邪魔  ③簡略  ④既存 ⑤懸命
問題2「言葉は簡単に、すべてを単純化してしまう」とは、どういうことか?
解答言葉を使うことで複雑な感情や関係を簡略化し、細かな背景やニュアンスを省いてしまうということ。
問題3「人はちょっとわからないぐらいがちょうどいい」とはどういうことか?
解答人は完全に理解し合うことが理想ではなく、ちょっと理解できない部分があった方が、お互いの違いや個性を尊重でき、より深い関係が築けるということ。
問題4

次の内、本文の内容を表したものとして最も適切なものを選びなさい。

(ア) 言葉は複雑な感情や意味をそのまま伝えることができる。

(イ) 言葉は感情や関係性を簡単に削り落としてしまうことがある。

(ウ) 言葉は他人に理解されるための最も完璧な道具である。

(エ) 言葉を使うことで、感情や関係性が完全に伝わる。

解答(イ)  本文では、言葉が感情や関係性を簡単に単純化し、削り落としてしまう側面について述べています。そのため、(イ)が最も適切です。

まとめ

 

今回は、「わからないぐらいがちょうどいい」について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。