『浪費を妨げる社会』は、教科書・現代の国語で学習する文章です。そのため、定期テストの問題にも出題されています。
ただ、本文を読むと筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、『浪費を妨げる社会』のあらすじや要約、意味調べなどを解説しました。
『浪費を妨げる社会』のあらすじ
本文は、三つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。
①浪費は生活に豊かさをもたらし、どこかでストップする。それに対し、消費はストップしない。記号や観念を対象とした消費という行動は、けっして終わらない。今日、広告は消費者の「個性」を煽るため、消費者は「個性的」でなければならないという強迫観念を抱く。だが、「個性」とは何だか誰にもわからないため、消費者が「個性」を求めても満足することはない。
②狩猟採集民はほとんど物を持たない無計画な生活なので、しばしば困窮していると思われがちである。だが、実際は少しも困窮していない。彼らは、何ももたないゆえに自由であり、少ない労力で多くのものが手に入る。そのため、未来を思い煩う必要がない。彼らの生活の豊かさは浪費と深く結びついていて、贅沢な暮らしをしているのだ。
③消費社会とは、物があふれる社会ではなく、物が足りない社会である。消費社会は、私たちを浪費ではなく消費へと駆り立てる。なぜなら、浪費は満足をもたらしてしまうため、浪費されては困るからだ。根本的に勘違いされているが、消費は贅沢などもたらさない。むしろ消費は贅沢を遠ざけている。消費には限界がないため、いくら消費を続けても満足はもたらさない。消費社会を批判するためのスローガンは、「贅沢をさせろ」である。
『浪費を妨げる社会』の要約&本文解説
この文章では、「浪費」と「消費」の違いを通して、現代の消費社会の問題を指摘しています。筆者の主張を簡単にまとめると、「消費は終わりがなく、私たちを満足させない」ということです。
まず、「浪費」とは、必要以上にお金や物を使うことですが、浪費には満足感があり、どこかで終わります。たとえば、高級レストランでの豪華な食事や、欲しかったブランド品の購入などは、「贅沢な浪費」と言えますが、満足すれば、私たちはそれ以上を求めません。
一方、「消費」は、私たちが何かを買い続ける行動を指します。しかし、消費の対象が「物」ではなく「個性」や「ステータス」になると、終わりがなくなります。たとえば、最新のファッションや流行のスマホを買うのは、周りから「個性的でありたい」「遅れたくない」という思いがあるからです。流行は次々と変わるため、私たちは次のものを求め続け、満足することがありません。
筆者は、消費社会は「物があふれる社会」ではなく、「物が足りない社会」だと主張しています。これは、商品が生産者の事情で供給されるものであり、私たちが「もっと新しいものを買わなければならない」と思わされているからです。
広告は、私たちに「あなたはまだ足りない」「もっと個性的にならなければならない」とプレッシャーをかけます。その結果、私たちは消費をやめられず、永遠に満足を得られないのです。
最終的に筆者は、「本当の贅沢は浪費にあり、消費は贅沢とは正反対である」と述べています。現代社会では、贅沢を求めるはずの消費が、逆に贅沢を遠ざけているというのが筆者の結論です。
『浪費を妨げる社会』の意味調べノート
【観念(かんねん)】⇒物事に対する考え方や意識。特に抽象的な思想を指すことが多い。
【戒め(いましめ)】⇒悪い行動や過ちを繰り返さないようにするための注意や教訓。
【殺到(さっとう)】⇒多くの人や物が一度に押し寄せること。
【付与(ふよ)】 権利や資格、特典などを与えること。
【相対的(そうたいてき)】⇒他のものとの比較によって評価されるさま。絶対的の反対。
【言及(げんきゅう)】⇒ある話題や事柄について触れたり、述べたりすること。
【仮説(かせつ)】⇒ある現象を説明するために、仮に立てた考えや前提。
【洞察力(どうさつりょく)】⇒物事の本質や真相を見抜く力。
【困窮(こんきゅう)】⇒非常に苦しい状態にあること。特に経済的に困っている状況。
【享受(きょうじゅ)】⇒利益や恩恵を受け取り、楽しむこと。
【過剰(かじょう)】⇒必要な量や程度を超えて多すぎること。
【援用(えんよう)】 自分の主張を補強するために、他の例や資料を引用すること。
【稀少性(きしょうせい)】⇒非常に珍しく、数が少ないこと。
【提唱(ていしょう)】⇒新しい意見や考えを主張し、広く知らせること。
【スローガン】⇒目標や主張を簡潔に表現した言葉やフレーズ。
『浪費を妨げる社会』のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①彼の誕生日はゴウセイだ。
②店に客がサットウした。
③問題にゲンキュウする。
④食料をチョゾウする。
⑤飲み物をチョウタツする。
まとめ
今回は、『浪費を妨げる社会』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。