『贈り物と商品の違い』は、教科書・現代の国語に載せられている文章です。定期テストの範囲にも含まれています。
ただ、本文を読むとその内容が分かりにくいと感じる箇所もあります。そこで今回は、本作のあらすじや要約、語句の意味などを含め簡単に解説しました。
『贈り物と商品の違い』のあらすじ
本文は、内容により3つの段落に分けることができます。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。
①私たちは、人とのモノのやりとりにおいて、商品交換とされるには「商品らしさ」を演出する必要があり、贈与とされるには「贈り物らしさ」を演出する必要がある。「経済化=商品らしくすること」は、「脱経済化=贈り物にすること」との対比の中で実現する。こうして、日々みんなが一緒になり、「経済/非経済」を区別するという「きまり」を維持している。
②経済と非経済の区別は、思いや感情をモノのやりとりに付加したり、除去したりするための装置である。経済の「交換」という脱感情化された領域があって、「贈与」に込められた感情を際立たたせることができる。
③感情は、人やモノの配置/関係によって生じる。モノや人が輪としてつながることで「わたし」に感情が生じると言ってもいい。交換や贈与というモノを介したコミュニケーションは、まさにその「輪」をつなげたり、切り離したりする行為なのだ。
『贈り物と商品の違い』の要約&本文解説
私たちは、「商品の交換をすること」と「贈り物を渡すこと」を明確に区別しています。例えば、コンビニで商品を買う時(交換)は、お金を払ってそれを単に受け取りますが、その商品を誰かにプレゼントする時(贈与)は、時間を空けたり値札を外したり、包装を外したりします。
このように、みんなが一緒になって「経済化(商品らしくすること)」と「脱経済化(贈り物にすること)」を区別するという「決まり」を守っているわけです。
ではなぜそんな決まりが必要なのかということですが、それは思いや感情といった要素を人は付け加えたりなくしたりしているからだと筆者は述べています。
光を感じるには闇が必要なように、経済の「交換」という感情のない領域があることで、逆に「贈与」という感情のある領域を目立たせることができるということです。
そして筆者は、人の感情や共感というのは、モノとのやりとりにつけられる印によって作動すると述べています。印とは、ここではモノにつけるリボンや包装、返礼までの時間差といったものを指しています。こういった印が、人の思いや感情の元になっているということです。
最終的に筆者は、交換や贈与などのモノを介したコミュニケーションは、人の「輪」をつなげたり切り離したりする行為だと結論付けています。これはつまり、同じモノを介したコミュニケーションでも、商品の交換は人の「輪」を切り離す行為であり、逆に贈り物を渡すことは人の「輪」をつなげる行為であるということです。
『贈り物と商品の違い』の意味調べノート
【対価(たいか)】⇒他人に与えたものに対する報酬として相手方から受け取る利益。
【屈辱(くつじょく)】⇒恥ずかしめられて、面目を失うこと。
【贈与(ぞうよ)】⇒金品を人に与えること。
【経済(けいざい)】⇒人間の生活に必要な物やサービスを生産・分配・消費する活動。また、そこから生まれる社会関係。
【指摘(してき)】⇒問題となる事柄を取り出して示すこと。
【等価(とうか)】⇒価値または価格が同じであること。
【相当(そうとう)】⇒価値がその物事とほぼ等しいこと。
【返礼(へんれい)】⇒人から受けた礼や贈り物に対して、行為や品物で報いること。
【装飾品(そうしょくひん)】⇒装飾に用いる物品。
【忠実(ちゅうじつ)】⇒まじめに守ること。
【一端(いったん)】⇒一部分。
【意図(いと)】⇒思惑。ねらい。
【戸惑う(とまどう)】⇒どう対処してよいかわからず、まごまごする。
【歴然(れきぜん)】⇒まぎれもなくはっきりしているさま。
【差異(さい)】⇒違い。他と異なる点。
【対比(たいひ)】⇒二つのものを並べ合わせて、違いやそれぞれの特性を比べること。
【維持(いじ)】⇒現在の状態を維持すること。
【介在(かいざい)】⇒両者の間に存在すること。
【ご祝儀(ごしゅうぎ)】⇒祝意を表すために贈る金銭や品物。
【葬儀(そうぎ)】⇒死者をほうむる儀式。葬式
【香典(こうでん)】⇒死者の霊前に供えて、香や花の代わりとする金品。
【袱紗(ふくさ)】⇒儀礼用の方形の絹布(けんぷ)。
【施す(ほどこす)】⇒飾りや補いのために何かを付け加える。
【付加(ふか)】⇒付け加えること。
【除去(じょきょ)】⇒取り除くこと。
【装置(そうち)】⇒ある目的のための道具。ここでは、「経済と非経済との区別」を指す。
【領域(りょういき)】⇒関わりのある範囲。
【不可欠(ふかけつ)】⇒なくてはならないこと。
【排除(はいじょ)】⇒おしのけて、なくすこと。
【精算(せいさん)】⇒金額などを細かく計算し、処理し、確定すること。
【負い目(おいめ)】⇒自分が悪いと感じ、相手に対して心の負担を感じること。
【基盤(きばん)】⇒物事を成立させるための基礎となるもの。土台。
【共感(きょうかん)】⇒他人の意見や感情などにその通りだと感じる気持ち。
【抑圧(よくあつ)】⇒無理に抑え付けること。
【鍵(かぎ)】⇒物事を解決するのに必要な要素。
【咎める(とがめる)】⇒非難する。過ちや罪・欠点などを取り上げて責める。
【他者(たしゃ)】⇒自分とは別の人間。相手。
【文脈(ぶんみゃく)】⇒文章の筋。物事の筋道。ここでは、相手がどのような思いや背景から、その感情を表現したり、仕草をしたりしているかということ。
【同化(どうか)】⇒同じになること。ここでは、相手の感情や仕草に表れた思いを理解すること。
【生起(せいき)】⇒ある現象などが現れ起こること。
【卓抜(たくばつ)】⇒他のものをはるかに抜いてすぐれていること。
【把握(はあく)】⇒よく理解すること。
【支障(ししょう)】⇒さしつかえ。上手くいかない状態。
【則る(のっとる)】⇒規準・規範として従う。
【作動(さどう)】⇒装置が動くこと。
【明示(めいじ)】⇒はっきり示すこと。
『贈り物と商品の違い』のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①財布をコウニュウする。
②商品をホウソウする。
③チュウジツな部下。
④決まりをイジする。
⑤経費をセイサンする。
⑥ヨクアツされた感情。
⑦業務にシショウが出る。
まとめ
以上、今回は『贈り物と商品の違い』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。