ことばへの問い 要約 解説 言葉による分節 意味調べノート あらすじ

『ことばへの問い』は、教科書・論理国語で学習する文章です。高校の定期テストの問題にも出題されています。

ただ、本文を読むと筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、『ことばへの問い』のあらすじや要約、意味調べなどを解説しました。

『ことばへの問い』のあらすじ

 

本文は、四つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①ことばは、ひとを傷つけるような鋭利なはたらきをすることがある。一方で、ことばはひどく無力でもある。

②ことばが存在しない世界でも、風景は地上に人類が登場する前も存在し、人類が死滅しても変わらず存在しつづけるだろう。しかし、ことばの存在しない世界においては、初夏の木々は「みずみずしく」葉を伸ばすことはなく、葉が擦れあう「ざわめき」も存在しない。それが可能なのは、言語によってあらかじめ彩られた世界においてのことである。

③ことばにならない思い、ことばにすれば嘘になるような感情もまた、本当にことばによる分節の、そのかなたにあるのだろうか。分節化された言語をもたない動物や幼児たちは、「もどかしい」こころの動き、「いいようもない」せつなさ、「ことばにならない」こころの疼き、といったものを感じているのだろうか。言語にならない思いや感情は、ことばの「あと」に生まれるものである。ひとは言語のなかで生きている過程で、既存・既習のことばでは表現できない無数のものごとに突きあたったとき、ことばにはならない思いを感じるのである。

④ひとの経験にあって「ことばにならない」とされるもの、言語以前のことがらは、ことばによってはじめて発見される。言語以前的とされる多くのものごとが、ことばに「先立つ」ものとして主題化されるのも、あらかじめ言語が主題化されていることによってである。そのかぎりでは、ことばになるもの、ことばにならないものいっさいをふくめて、ことばがある意味では「すべて」である。言語こそが「いっさいの」可能性を、言語以前的とされるもの・ことのすべてをふくめて、いっさいが立ちあらわれる「可能性」を準備する。

『ことばへの問い』の要約&本文解説

 

100字要約ことばは鋭利な力を持つが、無力でもある。ことばのない世界でも自然は存在し続けるが、世界は言語によって形成される。言語以前の事柄は、ことばによって発見されるのであり、言語こそがすべての可能性を準備する。(100文字)

この文章の筆者が伝えたいことは、ことば(言葉)が私たちの世界の理解や感情の表現にとても重要な役割を果たしている、という点です。

まず、ことばには二つの側面があります。一つは「鋭く人を傷つける力」、もう一つは「無力であること」です。つまり、ことばは時に強い影響力を持つ一方で、全てを伝えきれない弱さも持っているということです。

次に、ことばがない世界を考えてみます。自然はことばがなくても存在し続けますが、例えば「みずみずしい葉」や「ざわめき」といった表現は、人間の言葉があって初めて感じられるものです。言いかえれば、ことばがあることで世界の見え方や感じ方が豊かになるということです。

また、私たちが「ことばにできない思い」や「言葉にすると嘘っぽく感じる感情」を感じるのは、ことばがすでにあるからこそ生まれるものだと筆者は言います。言葉がなければ、こうした複雑な感情やもどかしさも感じにくいかもしれません。

さらに、ことばは私たちの経験を整理し、意味づけるための道具でもあります。言葉にできないと思われることも、実は言葉を使うことで初めて「発見」され、理解されます。つまり、言葉は単に伝える手段ではなく、私たちが世界を知り、自分の心を知るための「基盤」だということです。

結論として、筆者は「ことばがあってはじめて、世界や心のすべてが可能になる」と主張しています。言葉は私たちの認識や感情のあらゆる可能性を準備し、支えているのです。

『ことばへの問い』の意味調べノート

 

【なにほどかは】⇒どれくらいかは。どれほどかは。

【刻々と(こくこくと)】⇒時間の経過とともに次第に変化するさま。

【かたくなに】⇒意地を張って、態度や考えを変えようとしないさま。

【そのかぎりでは】⇒そういう意味では。その範囲内で言えば。

【交響(こうきょう)】⇒響き合うこと。

【不断(ふだん)】⇒絶え間なく続くこと。

【疑う余地がない】⇒まちがいない。確実である。

【分節化(ぶんせつか)】⇒全体を意味のある小さな単位に分けること。

【もどかしい】⇒思い通りにいかず、いら立たしいさま。

【疼き(うずき)】⇒何かしたくてじっとしていられないこと。

【およそ】⇒だいたい。おしなべて。

【大鉈(おおなた)】⇒刃が厚くて幅の広い刃物。ここでは、言語が世界を切り分ける粗っぽいさまをたとえている。

【肌理が粗い(きめがあらい)】⇒感情をかたどる語が粗っぽいさま。

【明晰(めいせき)】⇒明らかではっきりしていること。

【はらんで】⇒内に含んで。内包して。

『ことばへの問い』のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

シュウジンを監視する。

②学習のカテイは大切だ。

③技術のシュウトクに時間がかかる。

④食べ物をソマツにしてはいけない。

カナアミで囲まれた場所に行く。

解答①囚人 ②過程 ③習得 ④粗末 ⑤金網
問題2「ことばはまた、ときにひどく無力である。」と言える理由を答えなさい。
解答ことばで自然の偉大さや神秘さ、美しさなどを表現しつくすことはできないため。
問題3「ことばによる分節」とは、どのようなことか?簡潔に答えなさい。
解答ことばによって世界を切りとり、世界をわかりやすくすること。
問題4「言語こそが、~いっさいが立ちあらわれる「可能性」を準備する」とあるが、どのようなことか?
解答言語はこの世界のあらゆるものの前提であり、事実や状態、感情などすべての基盤となっていて、あらゆるものごとが言語によって出現してくる「可能性」のもとになるということ。

まとめ

 

今回は、『ことばへの問い』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。