感情暴走社会の由来 100字要約 わかりやすく 意味調べノート あらすじ

『感情暴走社会の由来』は、教科書・現代の国語で学習する文章です。そのため、定期テストの問題にも出題されています。

ただ、本文を読むと筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、『感情暴走社会の由来』のあらすじや要約、意味調べなどをわかりやすく解説しました。

『感情暴走社会の由来』のあらすじ

 

本文は、四つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①感情と理性は常に対立するものではない。むしろ、理性を働かせるために感情が必要となる場合が多い。それは人が社会的に生きるために不可欠な心の動きだ。

②サルや類人猿の行動を見ると、人間の理性は感情の進化の上に思考という心の働きが加わり、生まれてきたことが分かる。サルの場合、仲間の態度に敏感に反応し、当事者のサルの強さや自分との親しさに応じて、介入するかどうかを決める。自分と親しくない、あるいは自分より強ければ介入しない。親しければ加勢するが、強いほうの味方になることが多い。ゴリラやチンパンジーの場合、互いに対等でありたいという気持ちやトラブルが広がることをおそれる気持ちから、一方に加勢するよりもトラブルそのものを抑えようとする。人間も類人猿たちと同じような感情を持っている。他者のトラブルに敏感で、自分の感情のおもむくほうにかじを切ってしまうことがよくある。理性はその行動に後で理由をつけるにすぎない。

③サルも類人猿も人間も、視覚によって物事を判断するため、見られているときとそうでないときでは、同じ人間でも行為を変えることがある。道徳はまず、人に見られているときの行為を教えてくれる。その道徳的な規範を内面化し、人に見られていなくても行うようになるのが社会人の条件であり、それが理性の源泉になる。しかし、昨今の生活状況の変化は、見られる機会や意味を減らし、感情に重きを置いた行為を選択させている。それは他者の存在を考慮せず、自分の感情のおもむくままに行動する傾向を助長してしまう。

④現代人の感情は、社会の実感をともなわず、自らの身体に忠実に動くように人々を駆り立てる。現代は、感情の高まりが本当に社会に生かされているだろうか。今、感情がどのような社会の実現によって満たされるかが問われている。それには、現代の個人重視の生活意識を変える必要がある。

『感情暴走社会の由来』の要約&本文解説

 

100字要約感情と理性は対立せず、むしろ感情が理性を引き出し、社会的な行動に影響を与える。しかし、現代人は感情に基づいた行動が増え、他者を考慮することが少なくなっているため、個人重視の生活意識を見直す必要がある。(100文字)

本文では、感情と理性の関係、そして現代社会における感情がどのように作用しているのかについて考察されています。

まず、感情と理性は対立するものではなく、むしろ感情が理性を引き出し、社会的行動を促進する役割を果たすことが説明されています。感情は、社会で生きるために必要な心の動きとして、理性的な判断をサポートし、行動を導きます。人間は感情を通じて他者との関係を築き、社会的なルールや規範を学んでいくため、感情と理性は切り離せない関係にあるのです。

次に、サルや類人猿の行動が人間の理性の進化にどのように影響を与えたかについて説明がされています。サルやゴリラは、基本的な感情に基づいて行動し、その後、理性的な思考がその行動をサポートする形で発展しました。この過程で、他者との関わりに敏感になり、感情に基づく行動をとりつつ、理性でその行動に意味を与えてきたとされています。人間も同様に、感情に基づく行動が理性によって後付けされる場面が多いことがわかります。

続いて、道徳的な行動について述べられています。人は視覚的な情報によって判断を下し、他人に見られているときに道徳的な行動を意識的にとることが多いとされます。このように、道徳や社会規範は、まず他者の目を意識することで形成されますが、それを内面化することが社会的に成熟した個人を作る要因となります。しかし、現代では他者の目を意識する機会が減り、感情に基づいた行動が増加していると指摘されています。

最後に、現代社会の問題として、感情が社会的な実感を伴わずに、個人の欲求を満たす方向に流れている点が挙げられています。たとえば、現代ではSNSなどの影響で、他者との関わりを意識せずに自分の感情を優先する行動が増加しています。そのため、筆者は、感情が社会全体にとって有益な形で満たされる方法を再考する必要があると述べ、現代の個人重視の生活意識を見直すべきだと結論付けています。

『感情暴走社会の由来』の意味調べノート

 

【感情(かんじょう)】⇒人の心が感じる喜怒哀楽などの心の動き。

【理性(りせい)】⇒思考を基に物事を判断し、行動を制御する力。

【概念(がいねん)】⇒物事や現象を理解するための基本的な考え方や枠組み。

【情動(じょうどう)】⇒感情に基づく強い心の動き。

【道理(どうり)】⇒物事の正しい理屈や道筋。

【営み(いとなみ)】⇒日常的な活動や仕事。

【拮抗(きっこう)】⇒力や状態が釣り合って対立すること。

【葛藤(かっとう)】⇒心の中で相反する感情や意見が対立すること。

【無性に(むしょうに)】⇒理由もなく、ただ強く感じて行動すること。

【理不尽(りふじん)】⇒道理に合わない、不合理なこと。

【躊躇(ちゅうちょ)】⇒決断をためらうこと。

【介入(かいにゅう)】⇒他の人や事に自分が関わること。

【加勢(かせい)】⇒他の人を助けて支援すること。

【いさめる】⇒相手の誤りや悪い行いを注意して、改めさせようとする。

【仲裁(ちゅうさい)】⇒対立する者の間に入って解決を図ること。

【憤る(いきどおる)】⇒怒りを感じること。

【早急(さっきゅう)】⇒非常に急いで行動すること。

【かじを切る】⇒方針や方向を決めて進むこと。

【規範(きはん)】⇒社会で守るべき基準やルール。

【源泉(げんせん)】⇒物事が生まれる元や源。

【考慮(こうりょ)】⇒物事をよく考えて判断すること。

【表出(ひょうしゅつ)】⇒内面の感情や意見を外に現すこと。

【樹立(じゅりつ)】⇒新しいものを確立すること。

『感情暴走社会の由来』のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

ソガイされたように感じた。

②弱点をコクフクする。

③彼はビンカンな性格をしている。

④相手の立場をコウリョする。

⑤不公平にイキドオる。

⑥怒りがバクハツする。

解答①疎外 ②克服 ③敏感 ④考慮 ⑤憤 ⑥爆発
問題2「両者はしばしば拮抗し、感情の急激な高まりは理性の働きを阻害する。」とあるが、ここでの両者とは何か?
解答感情と理性
問題3「サル」と「ゴリラやチンパンジー」では、トラブルの対応の仕方がどのように異なるか?
解答サルはトラブルの当事者の強さや自分との親しさに応じて介入し、強いほうに加勢するが、ゴリラやチンパンジーは一方に加勢するよりもトラブルそのもの抑えようとする。
問題4「それが理性の源泉になるのだ。」とあるが、どういうことか?
解答人に見られているときの行動の規範を内面化し、社会人として人に見られていなくてもその規範に沿って振る舞うことが、理性の働きを生むもとになるということ。
問題5「現代の個人重視の生活意識」とは、どういうことか?
解答他者の存在を考慮せず、自分の感情のおもむくままに行動しようとすること。

まとめ

 

今回は、『感情暴走社会の由来』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。