『書かれた風景の中へ』の要約&本文解説、テスト対策問題

『書かれた風景の中へ』は、リービ英雄によって書かれた文章です。高校の教科書・文学国語にも掲載されています。

ただ、本文を読むとその内容が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、『書かれた風景の中へ』のあらすじや要約、意味調べなどをまとめました。

目次

『書かれた風景の中へ』のあらすじ

本文は、三つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①私にとって「日本語を読む」ということは、まず都市の風景の中にあふれている文字があちこちから追ってくる経験から始まった。つまり、本を読むというよりも、都市を「読む」ことから始まった。やがて、文学にゆかりのある風景を歩くようになり、目にする風景はどこも和歌に詠まれているという意味で、すぐれて「書かれた」風景であることに気がついた。さらに、日本語という書き言葉が少しずつ読めるようになると、三種類の文字を交えて目の前に現れたため、日本語自体は、ヨーロッパの言語や中国語以上に読んでいることを意識させるものだった。

②自分にも読めそうな日本語のテキストを求めて、東京の街を歩き回り、詩や散文として書かれた文字の集まりに目を向けた。ある書店では、「ペーパーバッグ」よりも小さく、気品のある何千冊もの文庫本に囲まれるという感覚を味わった。

③十九歳の秋、リュックの後ろのポケットに文庫本の『万葉集』と『古寺巡礼』を入れ、京都から明日香までを、時間を「南下」する感覚で歩いた。読みながら歩き、歩きながら読むという不思議な読書体験だった。『万葉集』の大和と『古寺巡礼』の大和は、似ているようで異なる。『万葉集』は風景そのもので、遺跡を訪ねても把握することはできない。その風景はすぐれて書かれた風景であり、詠まれた風景だった。明日香村にある万葉展望台に登り、のどかな風景に、柿本人麻呂が活躍した千三百年前の都市を思った。『万葉集』にある柿本人麻呂の長歌は、まだ読めなかったが、文庫本を閉じて、いつかは読めるようになるだろうという希望が湧き、しばらくは文字を忘れて、ただ風景を眺め続けた。

『書かれた風景の中へ』の要約&本文解説

200字要約

筆者にとって「日本語を読む」ことは、都市の風景の中にあふれた文字が追ってくる経験から始まり、本を読むより都市を読むことから出発した。やがて、文学ゆかりの風景を歩く中で、目にする風景は歌に詠まれた「書かれた」風景であると気づいた。さらに、『万葉集』と『古寺巡礼』を携えて京都から明日香まで読みながら歩く体験を通して、読むとは文字の理解にとどまらず、世界や風景を意味として読み取る行為であると実感した。 (199文字)

結論:この文章が一番言いたいこと

この文章の結論は、「読む」とは単に本の文字を理解することだけではなく、世界や風景そのものを意味として読み取る行為であるという点にあります。筆者のリービ英雄は、日本語を母語としない立場から、「読む」という行為を広く捉え直しています。


「都市を読む」とはどういうことか

筆者は、日本語を読む体験が、都市の中にあふれる文字に囲まれることから始まったと述べています。街には看板や広告、標識など多くの文字があり、私たちは普段からそれを日常的に読んでいます。筆者は、本を読む以前に、こうした都市の文字を読む経験を重ねてきました。ここから、読むとは机に向かって行うものだけでなく、日常生活の中にすでに存在する行為であると考えるようになります。


風景は「書かれている」という発見

さらに筆者は、文学に登場する場所を歩くことで、風景がすでに言葉によって「書かれている」ことに気づきます。ある場所が和歌や文学作品に詠まれると、その風景は単なる自然ではなく、意味を持ったものになります。たとえば、ただの山も、『万葉集』に詠まれていると知ることで、昔の人の思いと重なり、特別な景色として感じられます。このように、同じ風景でも、言葉を知っているかどうかで見え方が変わるのです。


読むことは世界の見方を変える

京都から明日香まで歩いた体験では、「読みながら歩き、歩きながら読む」という感覚が語られています。『万葉集』に描かれた風景と現実の風景は完全には一致しませんが、言葉を通して過去の世界を想像することができます。たとえば、小説の舞台を訪れると、その場所が特別に感じられるのと同じです。このように、言葉を知ることで世界の見え方は変わり、読むことは世界をより深く理解する行為となります。


読むことを強く意識した理由

筆者がこのように考える背景には、日本語を母語としないという立場があります。筆者は、街の文字を一つ一つ意識して読まなければならず、文字に追いかけられるような感覚を抱いていました。また、日本語は漢字・ひらがな・カタカナの三種類の文字を使い分けるため、読むたびに文字の違いを意識させられます。こうした経験によって、筆者は「読む」という行為そのものに気づき、それを深く捉え直すようになったのです。


筆者の主張まとめ

この文章のポイントは、「読む」という行為の意味を広げている点にあります。筆者は、読むとは単なる読解ではなく、風景や歴史、記憶と結びついて世界を理解することだと考えています。

つまり 「読む」=「世界の見え方を変えること」というのが筆者の一番伝えたい主張です。都市の文字、文学作品、実際の風景が重なり合うことで、人はより豊かに世界を読み取れるのです。

『書かれた風景の中へ』の意味調べノート

【定説(ていせつ)】⇒広く認められている決まった考えや説。

【意志(いし)】⇒物事をしようとする心のはたらき。

【ゆかり】⇒関係や縁のあること。

【母語(ぼご)】⇒その人が生まれて最初に身につけた言語。

【近代詩(きんだいし)】⇒近代に成立した自由な形式の詩。

【散文(さんぶん)】⇒韻律や形式にとらわれない普通の文章。

【万葉集(まんようしゅう)】⇒奈良時代に作られた日本最古の和歌集。

【大ざっぱ(おおざっぱ)】⇒細かいところにこだわらない様子。

【断片(だんぺん)】⇒全体の一部分や切れはし。

【遺跡(いせき)】⇒昔の人の生活のあとが残っている場所。

【把握(はあく)】⇒物事の内容や状況をしっかり理解すること。

【長歌(ちょうか)】⇒五七調を繰り返し、最後を七七で結ぶ和歌の形式。

【連想(れんそう)】⇒あることから別のことを思い浮かべること。

『書かれた風景の中へ』のテスト対策問題

問題1

次の仮名部分を漢字に直しなさい。

ボンチに町が広がる。

ダンペンだけでは分からない。

③要点をハアクする。

カツヤクする場面が増える。

テンボウが明るく見えてきた。

解答

①盆地 ②断片 ③把握 ④活躍 ⑤展望

問題2

「都市を『読む』」とは、どういうことか?

解答

都市の風景の中にあふれている文字そのものを読むこと。

問題3

「三種類の文字」とはそれぞれ何を指すか?

解答

漢字・平仮名・片仮名

問題4

「深い闇」とは、何についての比喩だと考えられるか?

解答

まだよく理解できない言葉に囲まれている状況。

問題5

「明るい光」とは、どういうことか?

解答

少しでも読めるかもしれないという希望。

問題6

「京都から明日香まで、時間を「南下」する感覚で歩いた。」とあるが、これはどういうことか?

解答

京都から明日香への旅は、地理的には北から南へと向かう一方で、平安時代に都が存在していた京都から飛鳥・奈良時代に都が存在していた奈良へと向かっており、それは時間を遡る旅であるということ。

問題7

「風景は、すぐれて書かれた風景だった。詠まれた風景だった。」とあるが、筆者は何に気付いたのか?

解答

目の前の風景は既に作品に描かれた風景であること。

まとめ

今回は、『書かれた風景の中へ』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として活用していただければと思います。

この記事を書いた人

大学卒業後、国語の添削員として就職。その後、WEB運営会社を起業し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。
「保有資格」⇒漢字検定1級・英語検定準1級・簿記二級・宅建など。

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