現代文の教科書で、『科学的発見とは』という評論文を学びます。定期テストなどにおいても頻出の作品です。
ただ、実際に本文を読むとその内容や筆者の主張などがつかみにくいです。そこで今回は、『科学的発見とは』のあらすじや要約、テスト予想問題などをわかりやすく解説しました。
『科学的発見とは』のあらすじ
本文は4つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。
①見るということは、私たちの信念を形成する上で大きなウエイトを占めている。だが、事実を観察するということは、それほど単純ではない。
②科学哲学者ノーウッド・ハンソンは、一つの図を学生たちに示した。それを見た学生たちは、想像を膨らませて実にさまざまな答えを出し、中にはどこにも描かれていないものまで想像して答える者もいた。私たちは、直接視界にないものも補いながら見ることができるのである。
③私たちの観察は、観察する時の状況や観察者の持つ背景知識によって左右される。つまり、見るということはそれほど自明なことではない。見るという行為を私たちは幼い時からずっと続けてきており、膨大な量の学習を蓄積している。それによって、ただ点が並んでいるだけの画像が「人の動き」に見えるのである。
④観察することは多くの予断を伴うものであり、観察事実に意味を持たせるには、観察に先立つ理論がなければならない。発見と称する事柄は、ある意図にそってデータを再編し構築するものである。科学理論は、データから導出される外側からの要請による誕生ではなく、観察する主体が己の意図にそって構成し構築するという主体的要素を含むものなのである。
『科学的発見とは』の要約&本文解説
本文は、まず第一段落で問題点を指摘し、第二、第三段落で具体例を示し、第四段落で結論を述べるという評論文にありがちなパターンで構成されているのが特徴です。
まず筆者は、「百聞は一見に如かず」ということわざのような、「見たこと」こそ最も分かりやすくて説得力がある、という一般的な考えを根本から否定しています。つまり、「見る」ということは単純なことではない、ということです。※「見ること」=「観察すること」と考えて問題ありません。
このことを分からせるために、筆者は色々な図を学生に見せて「どう見えるか?」を検証していきます。そこで明らかになるのは、「人によって見え方が異なる」ということです。人は、同じ絵や図であったとしても、見る前に予断を持ちます。その事により、違うものが見えるのです。
これは普段の生活でもあることですが、筆者はこのことが「科学理論」においても重要だと述べています。科学理論は、「新聞をのけたら眼鏡が見つかった」というような単純なものではなく、「ある意図にそってデータを再編し構築するものである」という結論を述べています。
つまり、自分自身で主体的に先立って理論を作り、何を観察するのかを決める必要があるということです。そうでないと、見えているはずのものを見れなかったり、逆に見えないものを勝手に想像したりしてしまう可能性があるためです。
全体を通して筆者が主張したいことは、最後の第四段落と冒頭の第一段落に集約されていると言えます。
『科学的発見とは』のテスト問題対策
次の傍線部の仮名を漢字で書きなさい。
①信念をケイセイする。
②カンジンな時にいない。
③美しいモヨウを描く。
④タンテキに説明する。
⑤トウトツな発言をする。
⑥知識をチクセキする。
⑦工夫をコらす。
⑧ヒンコンな家庭に育つ。
⑨友人の死をナゲく。
⑩メガネを外す。
次の内、本文の内容を表したものとして適切でないものを選びなさい。
(ア)見るということはそれほど自明なことではなく、私たちの観察は、観察する時の状況や観察者の持つ背景知識によって左右される。
(イ)私たちは見るという行為を幼い頃からずっと続けてきており、さまざまなものを意識的に見て、膨大な量の学習を蓄積している。
(ウ)観察は千差万別であり、発見と称する事柄は、端的な事実の観察によるものではなく、ある意図にそってデータを再編し構築するものである。
(エ)観察することは多くの予断を伴い、観察事実に意味を持たせるには、観察に先立つ理論がなければならないことが分かる。
まとめ
以上、今回は『科学的発見とは』の要約やあらすじなどについて解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。なお、本文中の重要語句については以下の記事でまとめています。