
『光の窓』は、教科書・文学国語で学習する文章です。高校の定期テストの問題にも出題されています。
ただ、本文を読むと内容が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、『光の窓』のあらすじや要約、語句の意味などをわかりやすく解説しました。
『光の窓』のあらすじ
本文は、三つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。
第一段落のあらすじ
①生家の雨戸には、横並びに五つか六つ、細長い小窓が付いていた。戸板の微妙なずれによって、朝、まぶしい光の侵入がある。暗闇の中に差し込む光のトンネルの中に、さまざまに舞う無数のほこりが浮かび上がる。それがおもしろくて、いつまでも見ていた。私は、あのとき何を見ていたのか。光によって照らし出されたものよりも、通過する光そのもの、光の「働き」のほうに魅せられていたのではなかったか。
第二段落のあらすじ
②視覚の力は圧倒的だが、目を開けていながら、視界が空っぽになり、見えている眼前の風景を見ていないということもある。子供の頃はそうではなかった。見るとは実に不思議なことだ。フェルメールという画家が描いたものを、たいへん有名でとても人気があるらしい静謐な名画として鑑賞していた。しかし絵にはタイトルがあり、描いた画家があり、その人には名前もあった。値段までが付いていた。それが大人の世界なのだ。
第三段落のあらすじ
③大人になって、画家の名前を覚えようとしたとたん、それは誰かと分け合う情報となった。私は、固有名詞の流通する世界に抵抗しつつも従った。少しだけ努力して、かつて見た画家の名前を頭に入れた。大人になった私に、光に満ちあふれていた世界に、そうして少しずつ、言葉が侵入してきた。
『光の窓』の要約&本文解説
子どものころの私は、生家の雨戸に付いた無双窓から差し込む光の動きを、ただ不思議なものとして見つめていた。しかし大人になると、フェルメールの絵を見るときでさえ、タイトルや画家の名前といった情報が先に頭に入り、それが誰の作品でどんな価値があるかを考えるようになった。光に満ちあふれていた世界に、少しずつ言葉が侵入してきたのだ。私たちは、見ているようで、実は知識や言葉を通して世界を見ているのである。
(197文字)この文章「光の窓」(小池昌代)は、「見る」という行為の本当の意味を考える随筆文です。筆者の主張は、人は目に見えているものだけを見ているのではなく、知識や言葉を通して世界を見てしまっている、という点にあります。
筆者は子どものころ、家の無双窓から差し込む光をじっと見つめていました。ただ光そのものの動きや美しさを感じていたのです。
しかし大人になると、フェルメールの絵を見るときでさえ、「これは有名な画家の作品だ」「こんな価値がある」といった情報が先に頭に入り、純粋に見ることが難しくなります。つまり、私たちは「名前」や「知識」というフィルター越しに世界を見ているのです。
たとえば、何も知らずに見る夕焼けと、「有名な観光地の夕焼けだ」と知って見る場合とでは、感じ方が変わります。それと同じことが絵画にも起きていると筆者は言います。
この作品のテーマは、「本当に見るとはどういうことか」です。光あふれる世界の中で、できるだけ先入観にとらわれずに見る大切さを伝えています。全体の要点としては、「知識に縛られた見方」と「子どものころの純粋な見方」の対比を押さえることが重要です。
『光の窓』の意味調べノート
【開閉(かいへい)】⇒開けたり閉めたりすること。
【換気(かんき)】⇒室内の空気を入れ替えること。
【通過(つうか)】⇒通り過ぎること。一定の場所や点を過ぎること。
【想起(そうき)】⇒思い出すこと。心に思い浮かべること。
【渾然(こんぜん)】⇒いくつかのものが区別なく混じり合っているさま。
【無造作(むぞうさ)】⇒特に気にかけず、何気なく行うさま。
【形跡(けいせき)】⇒何かがあったことを示すあとやしるし。
【至難の業(しなんのわざ)】⇒きわめてむずかしいこと。
【倦怠(けんたい)】⇒あきたり疲れたりしていやになること。
【静謐(せいひつ)】⇒静かで落ち着いていること。
【賞賛(しょうさん)】⇒ほめたたえること。
【野蛮(やばん)】⇒文化の程度が低く荒々しいこと。
【豊満(ほうまん)】⇒肉づきがよく、ふくよかなこと。
【固有名詞(こゆうめいし)】⇒特定の人・場所・ものの名前を表す名詞。
【流通(りゅうつう)】⇒商品やお金などが社会の中を広く行き渡ること。
【堕落(だらく)】⇒正しい状態からくずれ、悪い方向へおちること。
『光の窓』のテスト対策問題
「暗闇の中に差し込む光」を比喩的に表した言葉を本文中から六文字でそのまま抜き出しなさい。
光のトンネル
『そのころ。その時。』という意味の言葉を本文から三字以内で抜き出しなさい。
当時
「フェルメールの絵に対する世間の評価」と「私の印象」をそれぞれ五文字、七文字で抜き出しなさい。
静謐な名画 野蛮な生なもの
「泥のようになまめかしい」とは、どのような状態のことか。
未熟なままできちんと分かれることなく、混ざり合っている状態。
「おまえ、堕落したな。」とあるが、どのようなことについて堕落したと述べているか。
固有名詞の流通する世界に従い、誰かと分け合う情報である「フェルメール」という画家の名前を頭に入れたこと。
次の内、本文の内容を表したものとして最も適切なものを選びなさい。
(ア)子どもは未熟な見方しかできず、大人になることで知識によって正しく世界を理解できるようになることを述べている。
(イ)光や絵を見る体験を通して、成長とともに見る行為が言葉や評価に支配されていく過程を描いている。
(ウ)絵画は画家名や評価を知ることで価値が定まり、理解が深まることを中心に述べている。
(エ)芸術を正しく味わうには、感覚よりも客観的な情報を重視すべきだと述べている。
(イ)
まとめ
今回は、『光の窓』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として活用していただければと思います。